Numero TOKYO オンラインサロン Vol.1、ホンマタカシさんの写真講座1回目を終えて。 | Numero TOKYO
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Numero TOKYO オンラインサロン Vol.1、ホンマタカシさんの写真講座1回目を終えて。

トークの様子。私の手には03/04 Fall WInter のpurpleマガジン。表紙から中ページまでホンマさんが東京の人々を撮るという特集で、私も撮影していただきました。

Numero TOKYOオンラインサロンが始動しました。初回にご登場いただいたのは写真家のホンマタカシさん。2021年1・2月合併号「写真のチカラ」特集で、“写真を撮ることもよりも見て、扱うことを学ぼう!”と力強い視点を示してくださったので、その講義を聞きたく登壇のお願いをしました。東京造形大学大学院の客員教授として教鞭を振るうホンマタカシ流写真論は眼から鱗な話がたくさんあり、あっという間に75分が経過しました。

サロン前半はホンマさんの足跡を辿りながら、ご自身の写真スタイルを見つけるに至ったきっかけや、ご自身の展覧会のこと、何を撮ってもホンマタカシの写真になる秘技や理由、また、たくさんのカットを切らないという写真に対しての姿勢や写真家としての日々についても語っていただきました。

「風景を撮るようにファッションを撮り、ファッションを撮るように風景を撮っています」と冒頭に説明があったホンマタカシ流写真術とは??

広告写真を撮っていた時期もあったそうですが、その後の1991年、単身ロンドンに渡り、当時盛り上がっていたクラブシーンをよく撮影していたそうです。その時に出会ったi-Dマガジンの編集長から「自分の写真を撮らなくてはいけない」と言われたことで意識が変化したのだとか。写真のスタイルを作る前に、自身のバックグラウンドやフィロソフィーを掘り下げ、何を撮るべきなのかを見つけなくては! と気づいたのが30歳。東京に戻ろうと決意したそうです。

帰国後は、多くの雑誌や紙媒体を手掛けたそうですが、2011年に金沢21世紀美術館で開催した初個展『ニュー・ドキュメンタリー展』を機に、ご自身の作風にアートとしての文脈が増していったそうです。

この展覧会では、美術館の中に立ち読みできるスペースを作成。1991年から2011年までに撮り続けた紙媒体(雑誌)の作品を、もう一度撮影し→モノクロームに焼き直し→白い表紙をつけて今までの仕事の集大成として『re-construction』を制作したのだとか。

この展覧会はアートの分野を見せる場でありながら、自分が今までに活動してきた雑誌の仕事を同時に見せることで、とても重要かつ意味のあるアプローチができたと語るホンマさん。

2014年水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催された『拡張するファッション展』では、ファッションというテーマを美術館の中でどう見せるのかの挑戦だったそうです。

ロンドン在住時によく撮影をしていたクラブシーン。ファッションはその時代のドキュメンタリー性を孕んでいるので、『拡張するファッション展』ではファッション写真、ドキュメンタリー写真、ポートレート写真などをわけずに写真を展示したそうです。

こちらがロンドンで撮影をした、唯一の雑誌の表紙(91年のi-Dマガジン)です。

こんな感じで、同時に動画も見ながらホンマさんの写真哲学に触れていくと、ずっと疑問だった“なぜ、何を撮ってもホンマタカシに仕上がるのか?”の答えが見えてきました。

「やってることは変わらないんです。僕が変わらなくても時代が変わるし、向こうが変わるのでそれでいい。ジャンルを気にせず、自分のスタイルで自分のペースで撮りたいものを撮っているんです」

後半は、参加者が二回目に向けて提出する課題の説明。意図した写真ではなく、ふとした瞬間に撮った(けれど完成されていない)「失敗写真」についてスライドショーが展開されました。たくさんの魅力的な失敗写真のスライドを見ながら、ホンマさんの意図するところを汲み取る作業です。

音声をオフにしていた私は何度も、スライドに流れる失敗写真に笑みがこぼれたり大笑いしました。失敗写真は、作者がその時を逃すまい! と慌ててシャッターを切ったことにより意図するところではないものが映り込んでしまった偶然の産物でもあります。愛おしさを感じずにはいられません。

「決定的瞬間やシャッターチャンスは大きなテーマです。偶然(そこが)良くて、サクっと撮っていい作品に仕上がるのが一番いい。世界に、外にいいものがあるのだから、自分のほうでコントロールをするのはいやなんです。僕はニュートラルでいたいと思っています。失敗もありだと思うし、うまく撮れなかったなと思うこともある。それがなくてはすごくいい写真もまた生まれない。常に60点、70点に仕上げていたら100点は取れないのでは、と僕は思っています。そういう意味でも失敗写真はないのではないか?と思っています。撮ったあとに仕上がった写真を見て新しい発見がある、というのが僕にとっての最高の写真です」

「写真はいろんなところに接続できます。興味があるところにいけるのが写真です。ファッションとも料理とも建築ともアートとも接続できる、可能性が常にあるんです」と語る写真家・ホンマタカシがホンマタカシたらしめる真の理由に触れられた気がしました。

二回目の課題は「一般的には失敗と言われる写真をあえて撮る」です。

参加者が提出する課題から事前にいくつかをピックアップして講評いただけるそうで、いまから二回目が楽しみです。(ホンマさんに課題を提出できる方は、一回目より参加している方のみとなりますが、トークはお楽しみいただけますので一回目に参加できなかったかたも奮ってご参加くださいませ。)

私も写真を探してみようと思います。二回目も楽しみです。

Numero TOKYO SALON Vol.1

ホンマタカシがレクチャー「いい写真」とは? 【後編】
日時/2021年2月19日(金)19:30〜20:45
価格/後編のみ ¥3,000
販売期間/2021年2月14日(金)23:59まで
https://numerotokyosalon.stores.jp/

詳細は、Numero.jpのこちらまで!

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