『OUVERTURE of Something that Never Ended(終わらなかったものの序曲)』と題した短編映画で、グッチの最新コレクションを発表したアレッサンドロ・ミケーレ。
今回のコレクションを、既存のルールや常識に縛られない、まったくもって新しいスタイルで発表を試みたグッチのアレッサンドロ・ミケーレ。『OUVERTURE of Something that Never Ended(終わらなかったものの序曲)』と題された、アレッサンドロ・ミケーレ本人と映画監督ガス・ヴァン・サントとの共同監督によって制作された短編映画は、コレクションを発表するというタスクを超え、世界観を共有しながら、現代が抱える問題定義も行うといった力強いメッセージが込められています。
女優でありパフォーマーであり、作家、舞台俳優、ダンサーでもあるシルヴィア・カルデローニを主人公に『OUVERTURE of Something that Never Ended(終わらなかったものの序曲)』のストーリーが展開していきます。Episode.1 at homeではまるでシルヴィアの朝のルーティンを追いかけているようなフィルムワークが興味深いのですが、部屋のインテリアや登場する人物、音楽、目にするすべてがグッチ・ワールドに包まれ、オシャレなうえに、2021年SSの新作も拝見できるといった流れです。
Creative Director: Alessandro Michele Art Director: Christopher Simmonds Photographer: Gus Van Sant Hair stylist: Alexandra Brownsell Make Up: Thomas De Kluyver
また、ストーリーを追いかけていくと、現代社会が抱える問題についての言及もあり、ただコレクションを発表するだけのショートムービーではないのも特徴です。
ストーリーの中頃で、シルヴィアがバルコニーで赤いドレスを風になびかせ投げるシーンがあるのですが、そのドレスはまさに、アレッサンドロ・ミケーレがグッチでデビューを飾った2015年秋冬コレクションに登場したドレス。まさしく「序曲(Ouverture)」となったピースです。今後、他の最新ルックとともにOuvertureコレクションの一部として「Something That Never Ended」と書かれた赤いラベルをつけて販売される予定だそうです。そこもまた新しい試みですよね。
こちらは撮影現場のアレッサンドロ・ミケーレ監督とガス・ヴァン・サント監督。
またガス・ヴァン・サント監督以外の若手の映画監督と若手デザイナーをかけあわせた『GucciFestデザイナー』も同時に公開されています。こちらはアレッサンドロ・ミケーレが選んだ新進気鋭の15のインディペンデントブランドおよびデザイナーの作品をフィーチャーした15本のショートフィルムで、彼がデザインしたアイテムがひとつも出てこないあたりが新しいです。
Episode.1の公開とともに発表されたAHLUWALIAは、Black Lives Matterを創起させる「黒人の日常生活の美しさと強さ」をたたえる万華鏡のようなラブストーリーが描かれ、COLLINA STRADAはアバターを作って仮想現実を楽しむゲームスタイルで動画が流れていき、現代社会をまるごと体感しているようです。
これらのブランド/デザイナーたちは、グッチのサポートにより各種デジタルプラットフォームにて自身の最新コレクションを発表します。アレッサンドロ特有のフィロソフィとともに社会が抱える問題を新作コレクションの発表の中に組み込んでいく。常にオピニオンリーダーとしてファッション界を牽引するアレッサンドロ・ミケーレならではの展開です。
ちなみに昨日のEpisode.1に続きEpisode.2 at the cafeも公開されました。
そこでは、「Something That Never Ended」の赤いタグがついて販売されるシルヴィアが窓から投げた赤いドレスが登場します。
この『世界観で勝負をする」という今までにはないスタイルは、今後のコレクションを発表する新しいスタンダードになりうるのかもしれませんね。GucciFestに出展される全作品は、11月16日(日本時間17日)から22日まで特設ウェブサイト GucciFest.com、YouTube Fashionチャンネル、YouTubeグッチ公式チャンネル、Weiboにてお好きな時間にご覧いただけます。
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