VEJAの世界観を体験するフランス・トリップ vol.1【未来型ストア、ダーウィン編】 | Numero TOKYO
Fashion / Editor's Post

VEJAのブランド哲学と世界観を体験するフランス・トリップ vol.1【未来型ストア、ダーウィン編】

シンプルなローテクスニーカーに“Vロゴ”。海外はもちろん、日本でもファッショニスタの愛用者が多い、フランス生まれのスニーカーブランド「VEJA」。SDGsをスニーカーに取り入れ、社会的な活動をするブランドとしても有名なVEJAの、ブランド哲学と世界観を体験するフランス・トリップに参加させていただきましたので、レポートいたします!

スニーカーを通じてその背景や未来を“見る=VEJA”

VEJAは、高校時代からの友人同士であるフランソワ・ギラン・モリィヨン氏とセバスチャン・コップ氏が2005年にフランスで設立したブランド。もともと銀行員で、ITベンチャーの立ち上げを目指していたそうですが、グローバリゼーションの問題を、自分たち世代の消耗品の象徴である“スニーカー”を通して見つめ直そうと立ち上げたのが、VEJAでした。ブランド名のVEJAにはポルトガル語で“見る”という意味があり、その名が示す通り、スニーカーの先にある未来を「見る」、そしてその製造方法を「見る」存在になるという意思が込められているそう。

理想が詰まった未来の店舗、VEJA×ダーウィンへ!

さて、私の旅はここから。東京で現場の仕事を終え、ロケバスを飛ばしてもらい羽田へ。ギリギリで飛行機に乗り込み、パリ・CDGに着いて、ホテルへ寄る間もなくパジャマのままパリ・モンパルナス駅の特急電車に駆け込み!(周りの皆さんを巻き込んでの珍道中だったので、VEJAと関係ないですが、思い出としてシェアさせてください笑)そんなドタバタパジャマ姿(涙)で、電車に揺られること2時間半……着いたのが、ワインで有名なフランス南西部の都市、ボルドー。なぜ、ボルドーへ!?と思ったのですが、こちらにはVEJAの実験的な新しい店舗があるとのことで……。



ボルドーの右岸・バスティード地区にある最先端スポット、「DARWN(ダーウィン)」。元フランス軍の兵器庫だった場所をリノベーションし、環境保全や新しい生活スタイルを提唱しようという思いに賛同する50の団体や200のベンチャー企業などが集まった、エコロジーとイノベーションに特化した施設。2012年に誕生し、ショップやコワーキングスペースを中心に、オーガニックレストランや食料品店、イベント会場、スケートパーク、そして、高校や難民を受け入れる施設(!)なども同居しているという、日本にはない、ハイブリッドすぎる場所。

格納庫を再利用した外壁には、さまざまなアーティストのペイントが施され、どこをどう切り取ってもクールでオシャレ! アートは定期的に変わるそうなので、いつ訪れても楽しいはず。

このアーティスティックな場所はなんと高校の施設! 美人でオシャレなVEJAジャパンプレスのMARIKOさんを隠し撮り(笑)
このアーティスティックな場所はなんと高校の施設! 美人でオシャレなVEJAジャパンプレスのMARIKOさんを隠し撮り(笑)

購入よりもまずは修理。廃棄物を生まない努力を続けるストア

そんなボルドーの、いや世界の最先端といっても過言ではない、ユニークな施設ダーウィンに、VEJAは2020年6月、靴の修理とリサイクルを中心とした初のプロジェクトストアをオープン。

美術館や博物館に来たかのような文化的雰囲気が漂う店内。
美術館や博物館に来たかのような文化的雰囲気が漂う店内。

こちらのストアに販売されているのは、他の店舗とはまったく異なるアイテムたち。小さな欠陥のあるシューズに職人がリペアを施して生まれ変わらせた唯一無二のシューズたち(写真を撮り忘れたのですが、修理に関する説明が書かれたタグが付いています)、また、販売終了となった過去のコレクションや、商品化されなかった未発売のプロトタイプなどなど。ほとんどが1点限りのものばかりで、通常よりもかなりリーズナブル! 人と違ったVEJAのスニーカーが欲しい方にはたまらないラインナップで、ワクワクすること間違いなしです!!

このカウンターの文章にぜひご注目を!
このカウンターの文章にぜひご注目を!

ストアのメインは、靴修繕職人が常駐するリペアカウンター。ここでは、VEJAのスニーカーだけでなく、他ブランドのスニーカーの修理やクリーンニング、状態の悪いものは回収してリサイクルしてくれるそうで、おもしろかったのは、カウンターに「最もサステナブルなスニーカーは、今あなたが履いているものです」というセンテンスが書かれていること。えっ、ストアなのに!? と思うわけですが、VEJAでは顧客に買い替えよりも、修理をすすめるそうでして、だから、修理費用を可能な限り低く抑え、サステナビリティにおいてバランスの取れた運営を目指しているとのことでした。

サービス内容が書かれたメニュー表。日本よりちょっと安い!?
サービス内容が書かれたメニュー表。日本よりちょっと安い!?

ちなみに、修理するスニーカーの数によって価格は安くなるそうで、スニーカーだけでなく、他ブランドの革靴やヒールなども修理可能なので持ってきて良いとのことでした。

こちらが回収ボックス。左:履き古されたVEJAのスニーカー 右:他ブランドのスニーカー
こちらが回収ボックス。左:履き古されたVEJAのスニーカー 右:他ブランドのスニーカー

ストアの真ん中にディスプレイされているのが、スニーカーの回収ボックス。VEJAでは、廃棄物を最小限にとどめることを目的として、スニーカーをできる限り解体して使えるパーツを限界まで使い、リサイクルしているんだそう。現時点では、他ブランドのスニーカーは、その構成が追跡困難で危険な化学物質を含む可能性があるため、残念ながらリサイクルできないとのこと……。なので、それらは他のプロジェクト(寄付、アートなど)に再利用していく予定ということで、回収ボックスにインされていました。

このようなプロジェクトストアは、2021年7月にオープンしたパリの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエットをはじめ、ドイツのベルリンやスペインのマドリードなどにも拡大中で、今後数年間でさらに倍増させることを目標としているんだとか! 日本にも早くこんな素敵なストアを作って欲しい!と思いますよね。


話はダーウィンに戻りますが、ランチタイムには、シェアオフィスで働く人たちや地元の人たち&わんちゃんたちの憩いの場となり、にぎわっていました。テラスに並ぶ個性的でおしゃれなテーブルやチェアが気になったのですが、それらもヴィンテージ家具を修繕したものや、ダーウィンで製作したものということでした。

環境に配慮した建築が取り入れられている素敵なシェアオフィス。
環境に配慮した建築が取り入れられている素敵なシェアオフィス。


ランチはボリューミーなサラダとピザをいただきました。この施設で販売されているものは、すべて無農薬、オーガニックのもの! ダーウィンには農場もあり、ここで自給自足できることを目指しているんだそう。気になるショップもいろいろあってまわりきれなかったので、またいつか訪れたい場所の一つとなりました。

VEJA DARWIN – BORDEAUX
Darwin Eco-système

住所/87 Quai des Queyries 33100 Bordeaux
電話/+33 (0)5 56 77 88 37
営業時間/水~土 11:00〜19:00
日 11:00~18:00

EMME
TEL/03-6419-7712
URL/www.veja-store.com

Profile

清原愛花Aika Kiyohara コントリビューティング・ファッション・エディター/スタイリスト。大学時代よりさまざまな編集部を経て、2009年より『Numéro TOKYO』に参加。田中杏子に師事後、独立。本誌ではジュエリー&ファッションストーリーを担当。フリーランスのスタイリストとしては、雑誌や広告、女優、ミュージシャンの衣装を手がける。最近は、愛犬エルトン・清原くん(ヨークシャテリア)のママとして、ライフをエンジョイ中。Instagram @kiyoai413

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