『殺人の追憶』は舞台から始まった。韓国発の戯曲『私に会いに来て』が再演 | Numero TOKYO
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『殺人の追憶』は舞台から始まった。韓国発の戯曲『私に会いに来て』が再演


ポン・ジュノ監督の傑作映画『殺人の追憶』。2003年に公開され、その後世界的に高く評価されたこの映画には、原作となった舞台作品がある。韓国の劇作家キム・グァンリムによる『私に会いに来て』だ。その戯曲が、高橋いさをの上演台本・演出によって再び日本で上演される。

作品の題材となるのは、韓国で実際に起きた華城連続殺人事件。犯人を追う刑事たちを中心に、捜査が迷走していくなかで浮かび上がる焦りや執念、正義を信じる者たちの葛藤を描いていく。事件の謎を解くサスペンスである以上に、「真実を知る」ということに人間がどこまで執着するのかを描いた人間ドラマでもある。

映画版を知っている人なら、雨や田園風景、暗い取調室など、ポン・ジュノがつくり上げた強烈な映像がまず思い浮かぶかもしれない。しかし、その出発点となったのは俳優と言葉による演劇だった。限られた舞台空間で、証言や会話が積み重なり、犯人の輪郭が見えそうになるたびに再び遠ざかっていく。映像とは違う、生身の俳優が目の前で追い詰められていく感覚こそ、舞台版ならではの魅力になるだろう。

日本でこの戯曲を初めて舞台化したのが、今回の上演台本・演出を担当する劇作家・演出家の高橋いさを。2018年にも高橋の上演台本・演出によって日本初演されており、今回、再び彼自身の手で作品が立ち上げられる。俳優陣は、是近敦之、金光仁三、高畑こと美、佐藤銀平、伊藤ひとみ、鈴木夢、北乃颯希、中西良太らが出演する。

興味深いのは、映画を通して世界中の人々が知ることになった物語を、もう一度その原点である演劇へ戻して見ることだ。映画でカメラが切り取った刑事たちの表情や沈黙を、舞台では客席と同じ空間に存在する身体として受け取ることになる。

事件の「答え」を知ることだけが、この作品を見る目的ではない。真実が見えない状況の中で、人は何を信じ、何を正義と呼び、どこまで他者を疑うのか。映画を知っている人にこそ、その物語がもともと持っていた演劇としての強度を確かめてみてほしい。

HARUBERRY OFFICE produce ISAWO BOOKSTORE vol.10『私に会いに来て』
原作/キム・グァンリム
訳/後藤温子
上演台本・演出/高橋いさを
出演/是近敦之 金光仁三 高畑こと美 佐藤銀平 伊藤ひとみ 鈴木夢 阿紋太郎 井上遥 北乃颯希 中西良太
日程/2026年11月18日(水)~22日(日)
会場/新宿シアタートップス
料金/一般 前売6,000円・当日6,500円 学生 前売5,000円・当日5,500円
※11月18日終演後、キム・グァンリム×高橋いさをのアフタートークを予定。
URL/https://haruberryoffice.com/

Text:Reiko Nakamura

 

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