プラダ(PRADA)は、2027年春夏ウィメンズコレクションを現地時間の9月22日に、ミラノにあるプラダ財団 Depositoで発表。ランウェイ形式で開催されたショーのフロントロウには、アンバサダーを務めるSANA(TWICE)やジェヒョン(NCT)のほか、イ・ドヒョン、ユマ・サーマン&マヤ・ホーク母娘、ミシェル・ウィリアムズ、ナオミ・ワッツら豪華セレブリティに加え、日本からもXGのCHISAが参加した。
本コレクションのテーマは、そのものズバリ「THE SKIRT」。ブランドを指揮するミウッチャ・プラダとラフ・シモンズは、ウィメンズのワードローブにおける普遍的なアイテムのスカートを多様な変化を通じた探究を試みた。プラダは1988年から2000年代初頭にかけて、スカートをフィーチャーした巡回展『ウェイストダウン』を開催しており、ミウッチャおよびブランドにとって、スカートというピースが芸術表現においていかに特別なものであるかがよく分かる。そのため、本コレクションでは、全ルックにスカートが登場。マテリアル、プロポーション、ディテールなど、多彩なアイデアを投影するための唯一で不変の要素として機能させる。
プッチーニのオペラ『蝶々夫人』を、エレクトロ・ビートとエディットしたマルコム・マクラーレンの『Madam Butterfly』と共にショーはスタート。ファーストルックは、ブラトップとラップスカートの組み合わせで、足元にはカーブヒールのパンプスを合わせた。スリットに沿った配色部分に目を凝らすとベルクロ素材のパネルになっており、スリット幅やシルエットを変化させることができる。このギミックはコレクションを通じて多用されており、ベルクロ部分をスパンコールやビジューで装飾したり、ペンシルスカートのウエストラインに合わせて横使いするなど、キーアイテムとして機能。また、スカートを主役に据えたコレクションとあって、他にも台形スカートの内側にフリル付きのペチコートをレイヤリングしたデザインや、シルエットを保形するための内部構造である「クリノリン」をシアーな素材で露出させ、内側にあしらったボウモチーフを透けさせるなど、多彩なバリエーションが披露された。
コレクションノートによれば「スカート自体が自律したオブジェでありながら、周囲の衣服との関係性の中で意味を変化させていくものである」とあるように、ダブルのライダースジャケットやオーバーフィットのカバーオール型ジャケットといったタフなレザーアイテムには、繊細なプリーツスカートやミニ丈のプリントスカートを組み合わせた。一方でコレクションを通じて頻出した、ミニマルなブラトップやバンドゥがスカートの存在感を強調。絶妙なコントラストの塩梅やバランスの妙によって、フェミニンにもマスキュリンにも振れる汎用性の高さを雄弁に伝えてくれる。
また、ヒッピーテイストのフラワーモチーフと花柄のエンブロイダリーを組み合わせたワンピースに、ランジェリー風のブラトップを合わせたものなど、朴訥な印象のルックも。ディテールを重ねたレイヤリングからは、女性の多面的な現実と人生の複雑を多層的なスタイリングと着せ替えによる演出で表現した、2026年秋冬コレクションとの類似性も見出せる。
他にも、初見でのちょっとした違和感が、後々、好奇心に訴えかけるようなルックやピースも散見された。中盤以降で登場した、オールオーバープリントのスカートとバンドゥを組み合わせた一連のルックがその好例だろう。フォーキーなムードの木の葉柄と大胆なオプティカルパターン、またはサイケデリックな渦巻き模様とオリエンタルなボタニカルプリントなど、柄行きやタッチのチグハグさが、却って印象に残った。同様に、マレットヘアを想起させるユニークなヘアスタイルや、まるで80年代のMTVチャンネルから飛び出したかのようなカーリーウェーブも目を惹く。
先述した2026年秋冬コレクションでは、エイジングや生活の痕跡を表現した加工が話題を呼んだが、そこには画一的な美的規範への抗いと不完全な美しさへの執着が見て取れる。振り返れば、2025年春夏ウィメンズコレクションでも、アルゴリズムによって導かれる限定された世界に警鐘を鳴らしていたのも記憶に新しい。おしなべて綺麗にまとまりすぎたファッションや芸術表現へのミウッチャとラフによる抵抗と考えるのは、早計だろうか。

スタイリングや“こなし”のテクニックで、フレッシュに魅せてくれたのが終盤に登場した2種のルックだ。ワンピースのフロントジップを開けてブラトップを覗かせ、ウエストマーク的にナイロン素材のオーバースカートを巻いたルックは、どこか野暮ったさが残るクラシカルな格子柄をとびきりコンテンポラリーに昇華していた。また、クレリックシャツにビスチェを合わせ、生地の分量をたっぷりとったスカートを腰元で手繰り寄せていたルックも秀逸。パキッとしたプラダらしいカラーパレットとスカートの端を持ったままランウェイを歩くモデルがチャーミングに映る。ショーのラストに登場した共生地のチャーム付きチューブトップも可愛らしく、肩肘の張らないクリエイションにはどこか余裕すら感じさせた。
“スカート”の創造言語にフォーカスを当てた本コレクション。限られた枠組みの中で創造性を追求するというチャレンジは、鑑賞者のイマジネーションを拡張するという点においても成功と言えよう。
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Text: Tetsuya Sato
































