世界が注目する才能ウーゴ・ビアンヴニュに独占インタビュー。「ミス ディオール」アニメーションフィルムで美しい世界を描く | Numero TOKYO
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世界が注目する才能ウーゴ・ビアンヴニュに独占インタビュー。「ミス ディオール」アニメーションフィルムで美しい世界を描く

ディオールを象徴するフレグランス「ミス ディオール」を色彩豊かに表現したアニメーション フィルムが完成。本作を手がけたのは、ウーゴ・ビアンヴニュとフェリックス・ドゥ・ジヴリが創設した、フランスのアニメーションスタジオ『Remembers』のチームだ。ナタリー・ポートマン共同プロデュースのもと、今年公開された初長編監督作『ARCO/アルコ』がアヌシー国際アニメーション映画祭長編グランプリを受賞するなど、世界的に注目を集めたことも記憶に新しい。

このフィルムで描かれているのは、クチュールとフレグランスの本質的な対話。物語の案内役を務めるのは一匹のミツバチだ。クリスチャン・ディオールが愛したローズとラ コル ノワール城の庭園、最愛の妹カトリーヌの面影、ミス ディオール誕生の着想源となった蛍の光に包まれるプロヴァンスの夜の情景……。あるいは、1947年にパリで発表された伝説の「ニュールック」のコレクション。グラースとパリの記憶を行き交いながら、随所にボトルを彩るピンクのリボンや千鳥格子など、ミス ディオールを象徴するタイムレスなコードが物語を鮮やかに彩っていく。

その制作を手がけた、フランス出身の若きアニメーション監督、ウーゴ・ビアンヴニュ(Ugo Bienvenu)に独占インタビュー。

──リボンや千鳥格子、ミツバチなどメゾンを象徴するコードを通じて、過去から未来へ、南仏からパリへ、香水からファッションへ、とつながれていくストーリーの美しさに感動しました。メゾンのアーカイブをひもとき、ミス ディオールの歴史やルーツを理解し、一つひとつ掘り下げていったとのことですが、メゾンの歴史に触れてどのような印象を持ちましたか?

「フレグランスの歴史や、クリスチャン・ディオールの妹のカトリーヌ・ディオールについて、そしてメゾンについて多くのことを学びました。ディオールのクリエイションを通じて、私たちがすでに知っていること、あるいは直感的に感じとれることも多くあります。しかし、このフレグランスにインスピレーションを与えた妹のカトリーヌの物語には非常に惹かれました。彼女はロマンティックで、歴史的ともいえるドラマチックな人生を歩んでおり、私たちにとって素晴らしいインスピレーションの源となっています」

──カトリーヌはフランスのレジスタンス運動に参加した大胆で勇気ある女性で、「ミス ディオール」のインスピレーション源として知られています。そして、この香りの中核を成すのが「ローズ」。メゾンにとって大切なローズの存在が、とても軽やかに可憐に表現されているのが印象的でした。ローズを描く上でこだわった点があれば教えてください。

「本作におけるローズは2つの手法で描かれています。一つは絵の具を用いて手描きされたもので、もう一つはデジタル(コンピュータ)で制作されたものです。いずれの方法においても、より“野生のローズ”らしく見えるようデザインに変化を持たせることにこだわり、一輪一輪が唯一無二の存在となるように工夫を凝らしました」

──実際に「ミス ディオール」を香って、香りとの対話からどのようなインスピレーションを受けましたか。

「ダイナミックで、若々しく、ロマンティックでありながら、時代を超越したエレガンスも感じました。このフレグランスが決して真新しいというだけのものではなく、メゾンと創始者の歴史に深く根ざしたものであることを強調しながら、どこか軽やかさも感じさせるキャンペーンにしたいと考えました」

──軽やかな表現、温かみのある作画のタッチ、草花の色使い、風のそよぎ方など、ジブリ作品とともに育ってきた私たち日本人にはどこか親しみやすさを感じます。創作においてジブリ作品、あるいは宮崎駿氏に影響を受けている部分はありますか?

「はい、ジブリ作品は私たちの主要なインスピレーションの源でもあります。 ただし、単なる模倣にはしたくありませんので、創作にあたっては自分たち独自の明確なスタイルを築き上げるように心がけています」

──この作品における美的なアプローチについて教えてください。

「アートディレクションにおいて、全面的に創作の自由が与えられていました。生き生きとした自然の穏やかな美しさを描くため、背景美術には、いまではほとんど用いられなくなった技法を選びました。それは1980年代に遡る日本の職人技によるガッシュ(不透明水彩)技法で、膨大な時間を要するため、現在ではほとんど用いられていません。また、あえて説明的なナレーションは入れないことにしました。このフィルムは、あくまで詩的で、余韻を残すものであるべきだと考えたからです。私たちは、説明よりもカタルシス(感情の解放)を大切にしています。ディオールのチームも、私たちの方向性を尊重してくれました。ディオールには、このフィルムをひとつの実験的なラボ(研究所)のように育んでいく力と意志がありました。私たちにとってそれは、思索し、創造し、そして形にしていくための、豊かな時間でした。美のために捧げられる時間という贅沢 ——それこそが私たちとディオールを結ぶものであり、このフィルムはそれを見事に物語っています」

物語は3つの異なる場面で展開する。追憶に根ざしたクリスチャン・ディオールの創造のビジョン。ミス ディオールのインスピレーションの源であり、1947年の「ニュールック」とも深く結びついている妹カトリーヌへの愛。そして、このフレグランスの歴史を彩ってきた歴代の広告キャンペーンへのオマージュ。本作で色彩と詩情も豊かに描かれた「ミス ディオール」のフレグランスの世界は、そのままディオールというメゾンの歴史を辿る美しき物語でもある。オートクチュールから受け継がれるディオールのサヴォアフェールを、アニメーションから感じて。

ミス ディオール オードゥ パルファン 30ml ¥12,430・50ml¥18,040/Dior(パルファン・クリスチャン・ディオール)
ミス ディオール オードゥ パルファン 30ml ¥12,430・50ml¥18,040/Dior(パルファン・クリスチャン・ディオール)

「ミス ディオール」は、1947年にディオールのファーストコレクション「ニュールック」と共に誕生したフレグランス。グラース ローズ アブソリュートをはじめとしたディオールの花々が咲き誇る、グリーンでウッディなシプレーの香り。メゾンの象徴である千鳥格子やダガー ボウが施されたボトルとともに、現代を生きる若い女性たちを輝きで彩る香りとして、タイムレスに愛され続けている。

Photos and Images : Courtesy of Parfums Christian Dior Edit & Text : Naho Sasaki

 

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