
東京・白金の東京都庭園美術館にて「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」が開催されている。20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー。日本国内の作品が一同に会す貴重な機会となる。そして本展の大きな魅力のひとつは、ルーシー・リーの作品が旧朝香宮邸で展示されること。暮らしの気配を感じる空間で、うつわの表情を楽しめる貴重な機会。8月の毎週金曜日には「サマーナイトミュージアム」も開催。9月13日(日)まで。

東京都庭園美術館の本館は、1933年に朝香宮家の自邸として竣工したアール・デコ建築。そんな空間にルーシー・リーのうつわが展示されている。ケースに収められてはいても、展示室にはカーテン越しに透ける庭園の緑、柔らかな光、そこにはかつての暮らしの気配が満ちている。



リラックスした空間で作品をながめていると、思わず、このうつわには、採れたて青菜のお浸し、筑前煮、ポタージュかしら……? などと、食卓に置かれた姿や、繊細な陶器をどのように扱おうかなど、暮らしの中まで想像が広がっていく。



ろくろから生み出される、温かみがあって優雅なフォルム、象嵌や掻き落とし技法、フツフツとした質感の熔岩釉。

作品にはルーシー・リーが追求してきた技法についても解説が添えられ、制作初期から円熟期までの歩みを作品とともに辿ることができる。

そして本館2階の書斎には、戦時中に生計を支えるために制作したという、小さな陶製のボタンたちが並ぶ。かつて、ファッションデザイナーの三宅一生もルーシー・リーと交流があり、彼女の陶製ボタンを使ったコレクションを発表している。

また、2025年にはJWアンダーソンとウェッジウッドとルーシー・リー財団のトリプルコラボレーションも発表された。こちらは1964年にウェッジウッドのためにルーシー・リーがデザインしたティーカップなどが製品化されたもの。時代を超え、ファッションの世界でも今なお影響を与え続けている。

旧朝香宮邸の本館を巡ったあとは、新館の展示室へ。時代も様式も異なるホワイトキューブの展示空間では、本館とは違う角度から作品と向き合うことができる。

本展では、ルーシー・リーの作品だけでなく、ウィーンで出会ったヨーゼフ・ホフマンやロンドン時代に知り合ったバーナード・リーチ、ハンス・コパー、濱田庄司など、交流のあった作家たちの作品もあわせて展示される。
日本を中心とする東洋のやきものからの影響が、作家によってそれぞれの作風に展開しているのも興味深い。彼女が生きた時代、そしてその造形の源を感じられらる展覧会、ぜひ訪れてほしい。

ルーシー・リーの世界に浸った後は、庭園の散歩もおすすめ。器で出会った美しい色彩やきらめきが、自然の中にも見つけられるかも。さらに、8月の金曜日には21時まで開館する「サマーナイトミュージアム」や、ワークショップなどのイベントも開催される。ぜひチェックして。
「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」
会場/東京都庭園美術館(本館+新館)
場所/東京都港区白金台5–21–9
期間/2026年7月4日(土)〜 9月13日(日)
時間/10時〜18時(入館は閉館の30分前まで)
8月7日、14日、21日、28日(金)は21:00まで開館「サマーナイトミュージアム2026」(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日
観覧料:一般1,400円、大学生(専修・各種専門学校含む)1,120円、高校生・65歳以上 700円
※「サマーナイトミュージアム2026」開催日の17時以降の入場は、学生無料、一般、65歳以上は団体料金適用となります。 ※日時指定予約制
URL:www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/lucie-rie/
Text:Hiromi Mikuni
