世界の名画がハイジュエリーへ。ダミアーニ「ARTE MAESTRA」をコモ湖からレポート|ジョルジョ・ダミアーニ氏インタビュー | Numero TOKYO
Fashion / Editor's Post

世界の名画がハイジュエリーへ。ダミアーニ「ARTE MAESTRA」をコモ湖からレポート|ジョルジョ・ダミアーニ氏インタビューPROMOTION

洗練されたメイド・イン・イタリーのジュエリーで世界的に知られ、現在も創業家による経営を続けるダミアーニ(DAMIANI)。2026年6月11日、イタリア・コモ湖を舞台に、新たなハイジュエリーコレクション「ARTE MAESTRA」を発表しました。ファッション・エディターの清原愛花が現地で行われたお披露目会を訪れ、世界の名画から着想を得た全8作品を取材。さらに、ダミアーニ・グループ副社長であり、創案・調査・開発責任者も兼任するジョルジョ・ダミアーニ氏に、コレクション誕生の背景や作品選定、1年以上に及んだ制作の舞台裏について伺いました。

イタリア・コモ湖を望む16世紀に建てられた歴史的邸宅、VILLA PLINIANA(ヴィラ・プリニアーナ)

今回のコモ湖滞在では、「ARTE MAESTRA」の発表会とガラディナーに加え、俳優・池田エライザさんを迎えたNuméro TOKYOのスペシャルシューティングも敢行。

情熱と職人技、そしてたゆまぬ美への探求によって紡がれてきた、100年を超えるメゾンの伝統。その結晶ともいえる、芸術とハイジュエリーが響き合う唯一無二の世界を紐解きます。

色鮮やかなフラワープリントドレスを纏い、石造りの回廊を抜けて展示会場へ
色鮮やかなフラワープリントドレスを纏い、石造りの回廊を抜けて展示会場へ

会場であるVILLA PLINIANAの写真を見た瞬間から、今回は絶対にドルチェ&ガッバーナを着たいと思っていました。この日はジョルジョ氏へのインタビューとジュエリー取材が控えていたため、華やかさがありながらも、“仕事のできそうなエディター”を意識した、花柄ワンピースをチョイスしました(笑)。

展示会場は、美しく修復された天井フレスコ画が広がる豪華なサローネ
展示会場は、美しく修復された天井フレスコ画が広がる豪華なサローネ

美術品のように展示されたハイジュエリーを真剣に見つめる池田エライザさん
美術品のように展示されたハイジュエリーを真剣に見つめる池田エライザさん

《プリマヴェーラ》の花々と詩情が息づく、ロマンティックな『FLORÉA』

ネックレス:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、エメラルド(ブリリアントカット)1,058石/総計65.64カラット、イエロー・ブルー・ピンクサファイア(ペアシェイプおよびマーキスカット)93石/総計25.53カラット、ルビー(ペアシェイプおよびマーキスカット)32石/総計9.79カラット、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)386石/総計2.93カラット
ネックレス:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、エメラルド(ブリリアントカット)1,058石/総計65.64カラット、イエロー・ブルー・ピンクサファイア(ペアシェイプおよびマーキスカット)93石/総計25.53カラット、ルビー(ペアシェイプおよびマーキスカット)32石/総計9.79カラット、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)386石/総計2.93カラット

壮麗なフレスコ画が天井一面に施された歴史的な一室でお披露目された『ARTE MAESTRA』の幕開けを飾るのは、サンドロ・ボッティチェリの名画《プリマヴェーラ》から着想を得た『FLORÉA』。色鮮やかな宝石によって描かれた花園は、ダミアーニらしい華やかさとロマンティシズムを凝縮した、コレクションを象徴する一作です。

二つの色調の1,000石を超えるエメラルドが一面に敷き詰められ、その深く豊かなグリーンは、まるで生命に満ちた森のよう。その上には、ホワイトゴールドとダイヤモンドで象られたデイジーや、三色のゴールドで仕立てられた花々が咲き誇り、サファイアやルビーが鮮やかな彩りを添えています。

精緻な花々が重なり合う姿は華やかでありながら、どこまでもフェミニン。絵画に描かれた儚い自然の美しさを、永遠に色褪せないハイジュエリーへと昇華した、ロマンティックなマスターピースです。

《メドゥーサ》の妖艶な魔力を宿す、彫刻的な『MALÌA』

ネックレス:ピンクゴールド、認定ペアシェイプルビー1石(カラー:ビビッドレッド/ピジョンブラッド/産地:ミャンマー/6.11カラット)、認定ペアシェイプルビー13石(カラー:インテンスレッド/産地:ミャンマー/総計29.032カラット)、オーバル・ブリリアントカットアレキサンドライト624石(総計36カラット)、ブラックダイヤモンド(ブリリアントカット)283石(総計10.98カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)946石(総計45.46カラット)
ネックレス:ピンクゴールド、認定ペアシェイプルビー1石(カラー:ビビッドレッド/ピジョンブラッド/産地:ミャンマー/6.11カラット)、認定ペアシェイプルビー13石(カラー:インテンスレッド/産地:ミャンマー/総計29.032カラット)、オーバル・ブリリアントカットアレキサンドライト624石(総計36カラット)、ブラックダイヤモンド(ブリリアントカット)283石(総計10.98カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)946石(総計45.46カラット)

カラヴァッジョの《メドゥーサ》から着想を得た『MALÌA』。蛇の髪を持つゴルゴン・メドゥーサの強烈な眼差しと、魅惑と不穏が入り混じる緊張感を、絡み合う蛇のような彫刻的フォルムで表現したネックレス。

ピンクゴールドで形づくられた流麗な蛇には、アレキサンドライトやブラック、ブラウンダイヤモンドが緻密に敷き詰められ、その頭部にはペアシェイプのルビーが妖しく輝きます。さらに中央には、6カラットを超えるミャンマー産のピジョンブラッドルビーをセット。深く鮮烈な赤と、光によって表情を変えるアレキサンドライトの対比が、カラヴァッジョの劇的な明暗表現を思わせます。

実は、コレクションの概要を初めて拝見したときから、私が最も実物を楽しみにしていたのがこちらのネックレス。池田エライザさんにぜひ纏ってもらいたい!と、撮影を心待ちにしていました。ところが、撮影時にはすでに売約済みとなっており、残念ながら着用しての撮影は叶わず。それほどまでに、一目で人を惹きつける抗いがたい魅力を宿した作品なのです!

ジョルジョ・ダミアーニ氏によると、とりわけ困難だったのが、色や品質の揃ったミャンマー産ルビーを集めること。希少な石を選び抜き、これほど力強く調和させた『MALÌA』は、宝石そのものの美しさと、メゾンの卓越したクラフツマンシップが一体となった、妖艶なジュエリーアートです。

スペシャルシューティングでは、同じ『MALÌA』の世界観を宿すブレスレットを主役に。蛇が複雑に絡み合う彫刻的なフォルムに、鮮烈なルビーが妖しく煌めく、こちらも思わず見惚れてしまうほど美しい逸品です。

《睡蓮》の光と水面の揺らめきを映し出す、幻想的な『EN-PLEIN-AIR』

ネックレス:ホワイトゴールド、エメラルド(エメラルドカット)1石(カラー:ビビッドグリーン・ムゾ/産地:コロンビア/10.23カラット)、ブルー・グリーン・バイオレット・イエローサファイア(ブリリアントカット)1,130石(総計 51.72カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)177石(総計7.44カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)195石(総計70.76カラット)
ネックレス:ホワイトゴールド、エメラルド(エメラルドカット)1石(カラー:ビビッドグリーン・ムゾ/産地:コロンビア/10.23カラット)、ブルー・グリーン・バイオレット・イエローサファイア(ブリリアントカット)1,130石(総計 51.72カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)177石(総計7.44カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)195石(総計70.76カラット)

クロード・モネの《睡蓮》から着想を得た『EN-PLEIN-AIR』。水面に映る光や色、大気の移ろいを、多彩なサファイアやダイヤモンドによって幻想的に表現したネックレスです。思わず目が奪われるのが、中心に輝く、10カラットを超えるコロンビア産エメラルド。その周囲に浮かぶ睡蓮の花々と色石が、光を受けるたびに表情を変える、詩的で幻想的なクリエイションです。

こちらも資料を拝見したときから、その淡く揺らめくような輝きに魅せられ、撮影を楽しみにしていた作品の一つ。朝靄に包まれたコモ湖や、雨に濡れた静かな水辺で撮影したら、きっと美しいだろうと想像を膨らませていました。残念ながら今回はそのシチュエーションこそ実現しませんでしたが、まるで光を映した水面のように繊細で、どこか夢の中の景色を思わせるネックレスにうっとりとしていました。

《神奈川沖浪裏》の圧倒的なエネルギーを造形した『IMPETUOSA』

ネックレス:ホワイトゴールド、認定トリリアントカット・ダイヤモンド1石(カラー: F/クラリティ: VS1/3カラット)、ブルーおよびライトブルーサファイア(ブリリアントカット)731石(総計52.49カラット)、パライバトルマリン(ブリリアントカット)63石(総計3.11カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)347石(総計22.22カラット)
ネックレス:ホワイトゴールド、認定トリリアントカット・ダイヤモンド1石(カラー: F/クラリティ: VS1/3カラット)、ブルーおよびライトブルーサファイア(ブリリアントカット)731石(総計52.49カラット)、パライバトルマリン(ブリリアントカット)63石(総計3.11カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)347石(総計22.22カラット)

葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》から着想を得た『IMPETUOSA』。まるで生き物が爪を立てて襲いかかるような巨大な波の迫力を、ブルーとライトブルーのサファイア、パライバトルマリン、ダイヤモンドによって彫刻的に表現したネックレスです。

日本から参加するチームとして、この北斎の作品だけは、どの国よりも美しく撮りたい! 撮影前から、どのような光や構図でその魅力を引き出そうかと、何度も思いを巡らせていました。

実物を目にして心を掴まれたのは、波がうねる圧倒的な勢いと、波頭に弾ける細かな泡まで感じさせる立体感。そして、浮世絵を象徴する藍を思わせる、深く澄んだブルーのグラデーションです。波の頂の下に配された3カラットのトリリアントカットダイヤモンドは、遠景に静かに佇む富士山へのオマージュ。荒々しく躍動する波と、揺るぎない富士山の静けさが、一つのネックレスの中で見事に共存しています。

日本美術を愛する世界のコレクターに、ぜひ手にしていただきたい、纏っていただきたい。そんな誇らしい気持ちにさせてくれる、力強くも繊細なマスターピースです。

《接吻》の濃密な装飾美を宿す、荘厳な『ESTASI』

ネックレス:イエローゴールド、ホワイトゴールド、認定クッションカット・スピネル1石(カラー:ヴィヴィッド・オレンジレッド/産地:タンザニア/7.134カラット)、ブリリアントカット・ルビー8石(総計0.08カラット)、オニキス8石(総計1.32カラット)、バゲットカットダイヤモンド5石(カラー:G–H/総計3.42カラット)、ブリリアントカットダイヤモンド135石(カラー:G–H/総計0.94カラット)
ネックレス:イエローゴールド、ホワイトゴールド、認定クッションカット・スピネル1石(カラー:ヴィヴィッド・オレンジレッド/産地:タンザニア/7.134カラット)、ブリリアントカット・ルビー8石(総計0.08カラット)、オニキス8石(総計1.32カラット)、バゲットカットダイヤモンド5石(カラー:G–H/総計3.42カラット)、ブリリアントカットダイヤモンド135石(カラー:G–H/総計0.94カラット)

グスタフ・クリムトの代表作《接吻》から着想を得た『ESTASI』。黄金の色彩やモザイクのような装飾性を、幾何学的なフォルムと貴石によって再解釈したネックレスです。

イエローゴールドの“タイル”には、バゲットカットとブリリアントカットのダイヤモンド、オニキスが配され、ルビーをあしらった円形モチーフと交互に連なることで、重厚で緻密なリズムを生み出しています。中心に輝くのは、7カラットを超えるオレンジレッドのスピネル。

《接吻》が持つ煌びやかで甘美な世界観を映しながら、実物はさらに重厚で、彫刻的かつ建築的。王道のクラシカルさを湛えたその佇まいは、エライザさんにも驚くほどよく似合っていました! スペシャルシューティングでは、クリムトの絵画に漂う濃密で装飾的なムードを重ね、一枚の絵画を切り取ったような世界観を目指しました。完成したビジュアルは8月28日に公開予定。どうぞ楽しみにお待ちください。

《秋日閑猫》の静謐な美を描く、フェミニンな『IMPRESSIONI D’AUTUNNO』

ネックレス:ピンクゴールド、ラウンドカボションカット・ジャパニーズコーラル6石(総計81.80カラット)、グリーン・ブリリアントカット・ツァボライト837石(総計10.10カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)341石(総計3.70カラット)
ネックレス:ピンクゴールド、ラウンドカボションカット・ジャパニーズコーラル6石(総計81.80カラット)、グリーン・ブリリアントカット・ツァボライト837石(総計10.10カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)341石(総計3.70カラット)

朝鮮王朝時代の画家、チョン・ソン(鄭敾)の《秋日閑猫》から着想を得た『IMPRESSIONI D’AUTUNNO』。穏やかな秋の風景に宿る静けさや、自然の繊細な色の移ろいを、ピンクゴールドの葉やツァボライト、ブラウンダイヤモンドによって表現しています。

クリムトや北斎のように、着想源となった作品の世界観をドラマティックに映し出すというより、こちらは一つのハイジュエリーとして自然に纏いやすい印象。オーガニックなフォルムと柔らかな色彩がとてもフェミニンで、さまざまなスタイルにすっと馴染みそうです。

つるんと艶やかなピンクのジャパニーズコーラルは、とても優しい色合いで、グリーンのツァボライトやピンクゴールドに愛らしいアクセントを添えています。静かな美しさのなかに可憐さを宿した、とにかくチャーミングなクリエイションです。

《GRAY FORM》のリズムを貴石で奏でる『PENTAGRAMMA』

ネックレス:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、ファンシーカラーダイヤモンド13石(カラー:ブルーイッシュグリーン、ファンシーピンクパープル、ファンシーインテンスオレンジイエロー、ファンシーブラウンイエロー、ファンシービビッドグリーンイエロー、ファンシーグリーングレー、ライトピンク、ファンシーピンクブラウン、ファンシーオレンジブラウン、ファンシーパープリッシュピンク、ファンシーブラウンイエロー、ファンシーディープブラウンイエロー/ペアシェイプ、マーキス、クッション、エメラルド、ラウンドカット/12.05カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)442石(総計23.46カラット)
ネックレス:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、ファンシーカラーダイヤモンド13石(カラー:ブルーイッシュグリーン、ファンシーピンクパープル、ファンシーインテンスオレンジイエロー、ファンシーブラウンイエロー、ファンシービビッドグリーンイエロー、ファンシーグリーングレー、ライトピンク、ファンシーピンクブラウン、ファンシーオレンジブラウン、ファンシーパープリッシュピンク、ファンシーブラウンイエロー、ファンシーディープブラウンイエロー/ペアシェイプ、マーキス、クッション、エメラルド、ラウンドカット/12.05カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)442石(総計23.46カラット)

ワシリー・カンディンスキーの《GRAY FORM》から着想を得た『PENTAGRAMMA』。形や線、色彩を音楽のように捉えた画家の世界観を、五線譜を思わせる幾何学的な構造と、色とりどりのファンシーカラーダイヤモンドによって表現しています。

今回私たちのシューティングで着用はしませんでしたが、こちらも着想源となった絵画のイメージにとらわれすぎず、特別な日のハイジュエリーとして纏いやすいデザイン。大ぶりなダイヤモンドをさらりと着けこなすイタリアンマダムに、昔から強い憧れがある私としては、思わずその姿を重ねずにはいられませんでした。

今世でそこまで辿り着けるかは分かりませんが(笑)、いつの日かこんなネックレスを堂々と纏ってみたい。そんな夢まで抱かせてくれる、華やかでモダンなコレクションです。

《ひまわり》の生命力を太陽の輝きへと変えた『RADIOSA』

ネックレス:イエローゴールド、ホワイトゴールド、認定エメラルドカット・ダイヤモンド1石(カラー:ファンシーイエローブラウン/クラリティ:VVS2/21.50カラット)、ファンシーイエローダイヤモンド(ペアシェイプカット)87石(総計18.88カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)49石(総計3.59カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)566石(総計76.12カラット)
ネックレス:イエローゴールド、ホワイトゴールド、認定エメラルドカット・ダイヤモンド1石(カラー:ファンシーイエローブラウン/クラリティ:VVS2/21.50カラット)、ファンシーイエローダイヤモンド(ペアシェイプカット)87石(総計18.88カラット)、ブラウンダイヤモンド(ブリリアントカット)49石(総計3.59カラット)、ダイヤモンド(ブリリアントカット/カラーG–H)566石(総計76.12カラット)

フィンセント・ファン・ゴッホの代表作《ひまわり》から着想を得た『RADIOSA』。画面いっぱいに咲き誇る花々の力強い生命力と、南仏の太陽を思わせる鮮烈な輝きを、イエローゴールドと色彩豊かな宝石によって表現したネックレスです。

主役となるひまわりのモチーフは、花びらの一枚一枚まで立体的に仕立てられ、今にも太陽に向かって開いていくような躍動感に満ちています。さらに、このお花の部分は取り外しが可能で、ブローチとして身につけることもできる仕様。壮麗なハイジュエリーでありながら、装いやシーンに合わせて異なる楽しみ方ができる、ダミアーニらしい細やかな感性が息づいています。

こちらもひと目で視線を奪う、存在感抜群のクリエイション。エライザさんであれば、その圧倒的な華やかさにも負けることなく、コモ湖の太陽の下で生き生きと纏ってくれるのではないかと、撮影前から期待を膨らませていました。

太陽の光をそのままジュエリーに閉じ込めたかのような、明るく力強い輝き。華やかに、そして太陽のような笑顔で周囲を照らす女性にこそ似合う、幸福感に満ちたマスターピースです!

8つの名画を起点に、それぞれ異なる色彩や造形、物語をハイジュエリーへと誘った「ARTE MAESTRA」。絵画の印象をそのまま写し取るのではなく、宝石の個性や職人の技術と響き合わせながら、身に纏うことのできる新たな芸術へと見事に昇華されています。

では、なぜこの8作品が選ばれ、どのようなプロセスを経て、これほど多彩なクリエイションが生まれたのでしょうか。コレクションの創案から調査、開発までを率いたダミアーニ・グループ副社長、ジョルジョ・ダミアーニ氏に、「ARTE MAESTRA」誕生の背景と、1年以上に及んだ制作の舞台裏を伺いました。

ジョルジョ・ダミアーニ氏が語る、「ARTE MAESTRA」誕生の舞台裏

──今回の「ARTE MAESTRA」は、世界の名画をハイジュエリーへと昇華する、大胆で詩的なコレクションです。このコレクションをコモ湖で発表することに、どのような意味を込めたのでしょうか?

「まず申し上げたいのは、この場所が先にあり、そこに合わせてコレクションを制作したわけではないということです。順序はその逆で、まずコレクションの制作を始め、その世界観を発表するのに最もふさわしい場所を考えました。コモ湖は、非常にロマンティックで特別な場所です。なかでもこのヴィラは個人所有で、通常は一般に貸し出されておらず、借りることも簡単ではありません。今回、幸運にもこの特別な空間を使用することができました。この新しいコレクションを、コモ湖のこの特別なヴィラで発表することには、大きな意味があると考えました」

──前回の「ODE ALL’ITALIA」はイタリアの美を讃えるコレクションでしたが、今回は世界の芸術へと視点が広がっています。この二つは、ジョルジョさんの中でどのようにつながっていますか?

「二つのコレクションに、直接的なつながりがあるわけではありません。昨年は、イタリアの海辺や自然、美しい都市や土地からインスピレーションを得て、私たちの美しい国、イタリアそのものに捧げました。一方、今年はアートに目を向けました。過去500年にわたる絵画の歴史を築いてきた、世界的に名高い画家たちとその作品からインスピレーションを得ています。クリエイティブチームにとっても、非常に刺激的な経験でした。昨年の「ODE ALL’ITALIA」がイタリアへのオマージュだったとすれば、今回の「ARTE MAESTRA」は、偉大な画家たちと芸術そのものへのオマージュです」

──コレクションのテーマは、ジョルジョさんが決めるのですか?

「はい、最終的には私が決めます。ただし、私ひとりで決めるわけではありません。家族をはじめ、クリエイティブチームやマーケティングチームとブレインストーミングを重ね、私たちにとって最もふさわしい方向性を選びます」

──数ある名画の中から、今回の8作品はどのように選ばれたのでしょうか?

「まず幅広いリサーチを行い、さまざまな可能性を検討しました。そして、過去500年にわたる美術の歴史と、その国際的な広がりを表現できる作品を選びました。私とクリエイティブチームで美術の歴史を紐解きながら、どの芸術家と作品が最もふさわしいかを話し合いました。特定の一作を起点にしたのではなく、異なる時代や背景を持つ作品のバランスを見ながら、全体を組み立てていきました」

──絵画をジュエリーへと置き換える際、最も大切にしたことは何でしたか? 色彩、フォルム、あるいは作品が持つ物語性でしょうか?

「答えは、今のご質問のなかにすべて含まれていると思います。どれか一つではなく、色彩やフォルム、感情、そして作品の背景にある物語など、すべての要素の組み合わせです。作品ごとに異なりますが、それぞれの絵画から受け取ったさまざまな要素を融合し、ジュエリーとして表現しました」

──完成したジュエリーをご覧になったとき、最も驚きや感動を覚えた作品はどれでしたか?

「とても難しい質問ですね。どの作品にも大きな情熱を注いでおり、私にとっては一つひとつが特別なので、一作だけを選ぶことはできません。ボッティチェリの《プリマヴェーラ》に着想を得た『FLORÉA』も、カラヴァッジョの《メドゥーサ》を再解釈した『MALÌA』も、非常に印象的な作品です。葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》に着想を得た『IMPETUOSA』では、壮大な波の迫力と、その奥に佇む富士山までをジュエリーで表現しました。モネの《睡蓮》をもとにした『EN-PLEIN-AIR』も含め、どの作品の背景にも、それぞれの物語があります」

──今回のコレクションの中で、技術的に最も挑戦的だった作品はどれですか? また、職人技が最も発揮されたポイントを教えてください。

「これも一つに決めるのは難しいですね。作品ごとに、それぞれ異なる難しさがありました。職人の手仕事が特に複雑だったものもあれば、宝石の選定に非常に長い時間を要したものもあります。たとえば『MALÌA』に使われているミャンマー産ルビーは、すべての石の色や発色、品質を揃えるため、選定に長い時間をかけました。『IMPETUOSA』も制作が非常に困難なネックレスでした。ブルーとライトブルーのサファイア、パライバトルマリン、ダイヤモンドを緻密に組み合わせ、波の奥に見える富士山を表現するため、三角形のトリリアントカット・ダイヤモンドも特別にオーダーしました。コレクションの制作を始めたのは、およそ14〜15カ月前です。完成までには1年以上を要し、なかには発表のわずか1週間前に完成した作品もありました」

ダミアーニファミリー。グループ社長のグィド・ダミアーニ氏〈左〉、副社長のシルヴィア・ダミアーニ氏〈中央〉、同じく副社長のジョルジョ・ダミアーニ氏〈右〉
ダミアーニファミリー。グループ社長のグィド・ダミアーニ氏〈左〉、副社長のシルヴィア・ダミアーニ氏〈中央〉、同じく副社長のジョルジョ・ダミアーニ氏〈右〉

VILLA PLINIANAの中庭にて、ジョルジョさんのインタビューを終えて
VILLA PLINIANAの中庭にて、ジョルジョさんのインタビューを終えて

世界のアートをハイジュエリーへと落とし込む——ありそうでなかったこの実験的なテーマは、ダミアーニだからこそ実現できた、大胆な挑戦だったのではないでしょうか。そこには、100年以上受け継がれてきた卓越した技術と美意識に加え、今なお家族で経営を続けるメゾンならではの自由な発想と、恐れず新たな領域へ踏み出す姿勢を感じました。

今回はジョルジョさんに直接お話を伺い、昨年インタビューさせていただいたシルヴィアさんに続いて、ダミアーニファミリーのものづくりへの情熱に触れることができました。残すは長男のグィドさんのみ!(笑)取材を重ねるたび、その温かさに満ちたメゾンとファミリーを、ますます好きになっています。これからも、ダミアーニの挑戦と進化を応援していきたいと思います。

ジョルジョ・グラッシ・ダミアーニ
Giorgio Grassi Damiani
1971年、イタリア・アレッサンドリア生まれ。1990年に一族が経営するダミアーニへ入社し、金細工の技術をはじめ、宝石や原材料の評価・買い付け、国際流通、商品開発など幅広い経験を積む。現在はダミアーニ・グループ副社長、創案・調査・開発責任者として、グループのジュエリーブランドを統括。原材料の選定から製造、クリエイションまで、生産工程のあらゆる段階を指揮している。1994年、「ホンコンライツ」ネックレスでダイヤモンド・インターナショナル・アワードを受賞。

Profile

清原愛花Aika Kiyohara コントリビューティング・ファッション・エディター/スタイリスト。大学時代よりさまざまな編集部を経て、2009年より『Numéro TOKYO』に参加。田中杏子に師事後、独立。本誌ではジュエリー&ファッションストーリーを担当。フリーランスのスタイリストとしては、雑誌や広告、女優、ミュージシャンの衣装を手がける。最近は、愛犬エルトン・清原くん(ヨークシャテリア)のママとして、ライフをエンジョイ中。Instagram @kiyoai413
 

Magazine

JULY / AUGUST 2026 N°198

2026.5.28 発売

Beyond The Border

ボーダーを超えて

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