高橋一生×斎藤工×水上恒司が語る、Prime Original ドラマ『犯罪者』で挑んだクライム・ミステリーの新境地 | Numero TOKYO
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高橋一生×斎藤工×水上恒司が語る、Prime Original ドラマ『犯罪者』で挑んだクライム・ミステリーの新境地

原作は『相棒』『TRICK2』などの人気テレビドラマの脚本で知られる作家・太田愛のデビュー作『犯罪者』。警察、政治、巨大企業の思惑が複雑に絡み合う群像劇を昇華したクライム・ミステリーの傑作を、国内外の映画賞を席巻した『エゴイスト』で知られる松永大司監督が映像化した。Prime Originalドラマシリーズ『犯罪者』の主演を務めるのは、高橋一生、斎藤工、水上恒司という日本の映像界に欠かせない三者。高橋は通り魔事件の真相を追う刑事、相馬亮介。斎藤は相馬と旧知の関係で元テレビマンのフリーライター、鑓水七雄。水上は物語の発端である通り魔事件の被害者、繁藤修司。三者三様の背景と思惑と信念を抱える人物を演じ合い、見えない真実に向かっていく。トリプル主演の三人に聞いた。

見えない真実を追う三人の物語

──高橋さんと斎藤さんのお二人は、斎藤さんの監督作『blank13』をはじめ、何度も共演されていますが、『犯罪者』での刑事と旧知の元テレビマンでフリーライターという間柄の再共演について、率直にどう思いましたか?

斎藤「一生さんと作品でご一緒できるということは僕にとってご褒美ですね。『シン・ウルトラマン』で僕はウルトラマンになる男・神永新二を演じましたが、一生さんがウルトラマンの声を担当していて、同じ意識体としてご一緒したこともあるので、他の方とは比べられないくらい特別な存在です。『犯罪者』の現場でもそうだったんですが、一生さんがフォーカスされていることが結果的に作品の向かうべき推進力になっていく。一生さんが監督や制作陣と構造的な部分に対してディスカッションをしてくれることが、作品の向かうべき方向の解像度を明らかに上げてくださるんです。作品がより強固なものになるために一生さんが果たされている役割を考えると信頼しかありません。またご一緒できて本当に幸せでした」

高橋「そんな風に言っていただけて、嬉しい限りです。僕こそ、工さんはご縁さえあればいくらでもご一緒したいと思っている方なので、またご一緒できて嬉しかったです。『blank13』に声をかけていただいた時から始まり、ドラマ『東京独身男子』があり、今話していただいたように同一人物を演じたこともあります(笑)。『工さんがいてくれたら大丈夫』と思えるほどの強度を持って、そこに存在してくださる方はなかなかいません。緒にお芝居をさせていただく中でいつも発見があるのと同時に工さんの存在にとても支えられています。深く信頼しています」

──水上さんは、高橋さんと斎藤さんと共演することをどう受け止めましたか?

水上「劇中で3人の関係性を面白く作っていく中で、僕が3分の1を担うわけです。すべてをかけてぶつかっていくという、ここ最近あまり湧き出てきていなかったエネルギーがお二人のおかげで引き出されました。その土壌を松永監督が作ってくださり、しかもその環境が4カ月間も続いたのでとても幸せでしたね」

高橋「恒司さんはぶつかっていかれる方なんです。『ここってどういうことなんですか?』とか『ここって僕はどうあるべきなんですか?』という、現場でどういう風に存在するべきかということを、(松永)大司さんや工さんや僕に対して常に探っています。あと、妥協しないし諦めないんです。わからないことを何となくこなしてしまう人が意外と多い中で、恒司さんはわからないことをわからないままにしないということを力強くやってくださっていたので救われました。見ていて勉強になりましたね」

水上「このお二人と渡り合えたとは思っていませんが、渡り合うためには諦めてはいけないし、そうするしかありませんでした。監督からOKをいただいても、いただかなくても、ずっと『これで良いのかな』と考え続けることが、僕が今回、修司という役を任せてもらったからにはやるべき仕事なのかなと思いました」

斎藤「僕は映画が好きでこの世界に入りましたが、今回ご一緒する前から、水上さんのことをかつての日本映画黄金期の銀幕スターのような骨太さがある唯一の若い俳優さんだなと思っていました。独特の引力に惚れ惚れするものがあって、今回その真髄に触れられたなと思います。先ほど水上さんは『3分の1』とおっしゃいましたが、原作を読んだ時に、相馬さん、さらに修司というフィルターを通してサバイブしていく物語だと感じました。『今修司の心はどういう状態なんだろう』ということが頭に浮かび、修司越しに物語が転じていきます。演じていてもそういう想いがずっとあり、今作の中央には修司の心がある。修司は水上さんでなければ成立しなかったと今も強く思います」

──まさに修司が抱えているものが物語のキーになっていますが、演じる上でどんなことを大事にしたのでしょう?

水上「修司は大人びようとはしていますが、年齢には抗えないので、大人びたい子供という印象がありました。修司を作っていく上で、相馬と遣水に委ねる匙加減のグラデーションが重要だと思いましたね」

『犯罪者』を形づくった対話の時間

──クランクイン前に2週間のリハーサルがあったそうですが、どんな意義のある期間になったと思いますか?

高橋「ベースを作れるということはとても強いことだと再確認しました。俳優部にとってもスタッフの方々にとってもきっと助かることなんじゃないかなと。もちろんその時々のグルーヴは大事かもしれませんが、それは現場に入れば自ずとで出てくるものなので、それを言い訳にしてはいけないなと思いました。僕はもともとリハーサルが好きな方なんですが、俳優にとっての助走としてしっかりとしたリハーサルが必要な作品はあって。この3人の会話が作品の肝になっている『犯罪者』は、リハーサルを通して『相手はこういう考えなんだ』とか『こういう風に演じようとしているんだ』ということを感じる中でキャラクターが立体的になっていきました。現場で衣装を着てからではなくて、自分の状態でぶつかり、いろいろと意見交換をして、3人のベースになる関係性を作っていけたことはとても贅沢な時間だったんじゃないかなと思います」

斎藤「同じくそう思います。そうあるべきだなと思いました。俳優を食材に例えたことで原田芳雄さんがブチ切れたことがあるらしいのですが(笑)、仮に俳優が食材だとしたら、リハーサルがないと素材のまま現場に行って、調理に向かうわけです。でも、リハーサルをすることで塩こうじに漬けておいて本番を迎えられるんですよね。本番以外の時間を通して、オンとオフを繋げていくことが作品にとっては必要だと思いますし、役者の生業はその時間にあるのかなとすら感じました」

水上「リハーサル期間があることに対して、松永監督が『僕はこういうやり方じゃないと撮れないんだよね』とおっしゃっていて、なかなか言えないことだなと思いました。おかげでリハーサルの意味を認識できましたし、いろいろな面で固定観念が覆りました。ただただシーンをなぞっていって『そんな感じでOK』という風に終わるのではなく、その時々のできあがっている関係性を踏まえて、役者と監督が『こうしたい』とか『それは違う』と意見交換をしていったことで、リハーサルの時点で修司を生きる上でのヒントがたくさん得られました。なおかつ役者として本当にたくさんの学びがありましたね」

──今作が2026年に配信される意義について何か考えましたか?

斎藤「太田さんによる原作自体が、描けないものを描こうとするような作品になっていますが、このプロジェクトは通例を覆すようなものだと思っています。僕もその輪に入れてもらうこともあるんですが、旬と呼ばれる人を集めて何度も同じようなテーマを描いている民放のドラマもある中で、ストリーミング時代ということも踏まえ、通例を変えようという想いを持った人たちが集まっているという期待値を最初から感じました。撮影中も仕上げの段階でもずっと強いモチベーションを感じるチームでしたね」

水上「リハーサルができる/できない問題も含めて、日本の映像業界に根付いていて、なかなかすぐには変えられないものは少なくはないと思うんです。でも、相馬と鑓水と修司のように、歴史に名が残るような存在ではないけれど、通例を変えようとした人たちがいました。今作が配信されることは何かを変えるきっかけのひとつになるんじゃないかと思っています。特に業界の方に、なぜこういう作り方をしたか、なぜこういう映像が撮れたのかっていうところから関心を寄せてもらった上で観てもらえたら嬉しいですね。視聴者の方に向けての発言ではなくて恐縮なのですが」

高橋「序盤を観ていただくだけで、この作品における“犯罪者”という言葉が何を含んでいるかということを感じ取ってもらえる構造になっていると思います。そこにやる意義を強く感じました。そういった作品をお芝居で表現するには、些細な傷をつけられるかどうなのかにかかってくると思っているのですが、ざっくり切るというのではなく、何かに切り込んだという跡を残しておけることが俳優としてとてもありがたいことだと思いました。また、意図しているわけではないのに孤独になっていってしまう人たちや、社会において生き辛さを感じている人に僕は共感しやすいんですが、相馬はそちら側の人間なので、シンパシーを感じながらお芝居をしていました」

キャリアを重ねて見えてきたこと

──お仕事において、それぞれ「これだけはやらない」と思っていることがあれば教えてください。

高橋「まず、自分の世界があることが大事だと思います。自分の世界がないと他人と交われないですから。自分のベースにある世界から始めていかないことには、周りの人たちそれぞれが持っている世界と交じっていく基準がなくなってしまうんです。みんなが自分と違うことを考えているということがわかったとしても、自分の意見がしっかりあったとしたら、しっかりと出していくべき。なので、まずは自分の中で作り上げた自分の世界をどこにでも持っていきたいと思っています」

斎藤「スケジュールの都合上、同時にいくつものチャンネルを持ってこなしている方はたくさんいらっしゃいますが、僕は作品を縫えないということがわかりました。そう気付けたのは20代30代があったからこそ。足し算ではなく引き算というか。絞り込まないと結果的に周りの方に迷惑をかけてしまう。自分の不得意なことやウィークポイントを見つめることは中年の定めなのではないかと思っています」

水上「とある先輩役者さんの言葉がきっかけで、恥ずかしながらも自分は外部からの評価に振り回されているということに気付きました。今も完全にそれが払拭はできていないのですが、自分が発する言葉も含めて、一つひとつのお仕事において自分が何ができたか/できなかったかということを、他人の評価ではなく自分で自分の評価をする。その先輩というのは横にいらっしゃる一生さんなんですが(笑)」

高橋「(笑)」

水上「先ほど一生さんは、『まず自分の世界があることが大事』とおっしゃっていましたが、どの業界、どのコミュニティにおいても、自分の世界を持ち続けられる人は、自分で自分の評価ができているのだと思います。 それは決して人の意見を受け入れずに鎖国のような状態にすることではなく、自分の世界を自分で守っていくということ。削られていくことが多い世の中になっていることで、ますますそこが大事になるんじゃないかなと思っています」

Prime Original ドラマシリーズ『犯罪者』
配信日/7月17日(金)よりPrime Videoで世界独占配信
主演/高橋一生、斎藤工、水上恒司 ほか
原作/太田 愛『犯罪者』(角川文庫/KADOKAWA)
監督/松永大司
脚本/櫻井武晴
音楽/川井憲次
制作/PROTX
製作著作/PROTX
Ⓒ PROTX

衣装/高橋一生:すべてCOMME des GARÇONS HOMME DEUX(コム デ ギャルソン 03-3486-7611) 斎藤工:すべてsuzuki takayuki(スズキ タカユキ 03-6419-7680) 水上恒司:すべてZegne(ゼニア カスタマーサービス 03-5114-5300)

Photos:Ayako Masunaga Hair & Make-up:Mai Tanaka(Issei Takahashi/MARVEE), Komomo Sato(Takumi Saitoh), Kohey(Koshi Mizukami) Styling:Arata Kobayashi(Issei Takahashi/UM), Shinichi Mita(Takumi Saitoh), Takumi Noshiro(Koshi Mizukami) Interview & Text:Kaori Komatsu Edit:Naomi Sakai

 

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