太古の自然が息づくサンクチュアリ。世界遺産のインドネシア・コモド諸島初の5つ星ホテルへ | Numero TOKYO
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太古の自然が息づくサンクチュアリ。世界遺産のインドネシア・コモド諸島初の5つ星ホテルへ

日常の喧騒を離れ、圧倒的な自然に身を投じたい。そんな渇望を満たしてくれる場所が、インドネシアの秘境、コモド諸島だ。バリ島から東へ国内線でわずか1時間という距離にありながら、そこにはユネスコ世界遺産にも登録された、太古の息吹がそのまま残る聖域が広がっている。

専用ボート付きでコモド諸島ツアーもスムーズな「アヤナ コモド」

コモド諸島とは、インドネシアの小スンダ列島にあるコモド島、リンチャ島、パダール島などからなる国立公園のこと。恐竜の末裔とも称される世界最大のトカゲ「コモドドラゴン」が唯一生息するコモド島をはじめ、ピンクビーチが広がるパダール島など、大自然の魅力にあふれている。

島々へのクルーズツアーやダイビングの出発点となるのが、フローレス島の西部に位置する港町・ラブアンバジョ。バリ島よりも広大な面積を持つフローレス島は、独自の言語や文化、そして手つかずの自然が共存する場所だ。

この野生味あふれる環境において、快適な滞在を約束してくれるのが、ラブアンバジョ初の5つ星ホテル「アヤナ コモド ワエチチュビーチ(以下、アヤナ コモド)」だ。2018年にオープンしたリゾートで、かつてG20やASEANの会議も行われた、インドネシアを代表するデスティネーションの一つでもある。

建物の最大の特徴は、島の起伏に寄り添うように設計されたデザインだ。全室オーシャンビューを誇る客室やダイニング、プールからは、クリスタルブルーの海と点在する島々が一望できる。朝、カーテンを開けた瞬間に広がる碧の世界は、何ものにも代えがたい贅沢な風景だ。

リゾート内には、海と一体化したようなインフィニティプールや最新設備を整えたジム、そして心身を癒やすスパも完備されている。

フローレス島のエッセンスをまとったダイニングやバー体験

食体験もまた、リゾートを選ぶ上での重要なファクターだろう。「アヤナ コモド」にはフローレス島をはじめとしたインドネシア料理に加え、インターナショナル料理や日本料理など複数の選択肢がそろう。

オールデイダイニング「リンチャ」では、インドネシア料理とインターナショナル料理の融合を楽しめる。

朝食ブッフェには、パンダンペーストを練り込んだ鮮やかな「パンダン・パン・スイス」や、栄養価の高さから注目されるモリンガを使用した「モリンガ・バン」が並ぶ。また、インドネシア各地の伝統的なスイーツ「クエ」も充実しており、ココナッツの風味が豊かな「ウィンコ・ババット」や、パームシュガーシロップでいただく「クエ・ルピス」など、多様な食文化に触れることができる。

夕暮れ時、空がドラマチックな色に染まり始めたら、リゾートの最高層に位置する「ユニーク ルーフトップバー」へ。ここでは、フローレス島の物語をグラスに注ぎ込んだかのような、独創的なシグネチャーカクテルがゲストを待っている。

繊細なマティーニグラスで供される「ルエン」は、この地域の名前を冠し、島の高潔な女性への敬意を込めた一杯だ。ロンドンドライジンをベースに、キリリとした酸味と潮風を思わせるアロマは、火照った身体を心地よく引き締めてくれる。一方、深みのある色合いが印象的な「マニス」は、現地の言葉で「甘い女性」を意味する。赤ワインのシラーズに地元のフローレスコーヒー、ラズベリー、シナモンを合わせた一杯は、ベリーの酸味とコーヒーの香ばしさが重なり合うエレガントな仕上がりだ。

波打ち際に位置する「キシック」は、砂浜にテーブルを並べた、究極のオーシャンサイドダイニング。ここでは、その日に水揚げされたばかりの新鮮な海の幸を、インドネシア伝統の調理法で味わうことができる。

メインは、ゲストが自ら食材を選び、好みのスタイルで調理してもらう。ロブスターや鯛、大ぶりな海老を、インドネシアの辛味調味料サンバル、醤油ベースのソースなどでいただく。

サイドディッシュには、空芯菜の辛味和え「プレチン・カンクン」や、ココナッツフレークとスパイスを和えた野菜料理「サユール・ウラブ」を添えて。夜が深まれば、焚き火の灯りが幻想的な雰囲気を醸し出す。ラグジュアリーでありながらも、原始的な生命力に満ちたフローレス島ならではの夜を過ごせる。

最上階11階に位置する「メサ ロビーラウンジ」からの、オーシャンパノラマビューも素晴らしい。

14時から提供されるアフタヌーンティーは、「ジャジャン・バサール」というスイーツや、肉料理のルンダンをアレンジしたセイボリーなどインドネシアらしい逸品が並ぶ。ローカルのコーヒーやモリンガティーなどと共に、潮風を感じながら過ごす午後のひとときも格別だ。

黄金色に輝くサンセットディナークルーズへ

「アヤナ コモド」を拠点にする最大の利便性は、リゾート専用の全長250メートルの桟橋が完備されていることにある。通常、コモド諸島をめぐるアイランドホッピングは、ホテルから公共港まで車で移動し、そこからボートに乗り換えるのが一般的だ。

しかしここでは、客室からそのまま桟橋へと向かい、リゾートが所有するボートに乗り込むことができる。これにより移動時間を2時間ほど節約できるというのは、限られた滞在時間を最大限に楽しみたいトラベラーにとって、何よりもありがたい。このストレスフリーな環境やサービスこそが、ラグジュアリーなのだと感じる。

ホテルの桟橋からは「AYANA Lako Sae(アヤナ ラコ サエ)」も出航しているので、ぜひサンセットディナークルーズへも繰り出したい。

16時にリゾートを出航し、お茶やシトラスを効かせた爽やかなウェルカムドリンクが、心地よい潮風とともにゲストを迎え入れる。自由なスタイルでくつろげるソファ席に身を委ね、流れるアコースティックギターのライブに耳を傾けるひとときは、都会では決して味わえない贅沢な時間だ。

航海が進むにつれ、絶妙なタイミングで配られるアペタイザーが食欲を刺激する。そしてこのクルーズ最大のハイライトは、カラン島周辺で訪れるマジックアワーだ。

太陽が水平線へと沈み、空が黄金色から深い紫へと溶け合うその瞬間、島から数万羽ものコウモリが一斉に飛び立ち、空を覆い尽くしながら対岸へと渡っていく。コウモリの大群という数の圧倒もまた、コモド諸島ならではの大自然だと思い知らされる。

18時30分、夜の帳が下りる頃には、船上でディナーブッフェがスタートする。キャンドルの灯りとDJが紡ぐ都会的なリズムが交錯する中、大海原の上で美食を楽しむ。この野生と洗練が完璧に調和した時間こそ、贅沢というのだろう。

都会の喧騒、日々のタスク。すべてを忘れさせてくれる圧倒的な自然と、そこに調和する極上のホスピタリティ。コモド諸島での滞在は、単なる休暇を超え、内面をリセットし明日への活力を養う時間となるはずだ。

AYANA Komodo Waecicu Beach(アヤナ コモド ワエチチュ ビーチ)
住所/Labuan Bajo, Flores, Kabupaten Manggarai Barat, Nusa Tenggara Tim. 86554 Indonesia
TEL/+62 385 2441000
URL/www.ayana.com/ja/labuan-bajo/komodo/

取材協力:アヤナ コモド ワエチチュ ビーチ

 

Photos & Text:Riho Nakamori

Profile

中森りほ Riho Nakamori 東京生まれ、東京在住のフリーランスライター・編集者。食や旅などライフスタイルを中心とした各種メディアで活躍。年間100日ほど仕事やプライベートで国内外を旅している。Instagram: @tokyo.and.elsewhere
 

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