
新国立劇場の小川絵梨子芸術監督は、自身が翻訳・演出を手掛けた『ピローマン』、ミハイル・ブルガーコフの『白衛軍 The White Guard』、チェコ・ブルノ国立劇場の『母』、アメリカで活動するアヤ・オガワ『鼻血 -The Nosebleed-』など日本の観客が無意識に抱く演劇観を良い意味で裏切る作品を多く紹介してきた。残酷な世界を描きながらも、そのなかに鋭いユーモアを宿す作品群に、何度も目を開かれる思いをさせられてきた。
そんな小川監督も任期最後のシーズンを迎える。4月からは「いま、ここに──」と題し、「いまを生きること」と「小さな希望」をめぐる3つの物語が、3か月連続で上演される。
その幕開けを飾るのが、ミュージカル『マチルダ』の脚本でも知られるデニス・ケリーによる一人芝居『ガールズ&ボーイズ』だ。ひとりの女性の語りによって進行する本作は、愛、結婚、仕事、そして出会いと喪失をたどりながら、順調に見えていた人生が予期せぬかたちで崩れていく過程を描く。軽やかな語り口の奥に潜んでいた違和感が、やがて取り返しのつかない現実として立ち上がるとき、個人の物語は現代社会の歪みへと接続していく。
ロンドン初演、さらにブロードウェイ公演でも高い評価を受け、「観客は軽妙な語りに導かれながら、気づかぬうちに逃げ場のない現実へと引き込まれていく」と評された本作。その緻密な構造と、観る者に強い心理的衝撃を与える力が広く称賛されている。
今回は、この濃密な一人芝居を、真飛聖と増岡裕子のWキャストで上演。演出は、新国立劇場でも『私の一ヶ月』『誤解』で、繊細な心理の揺らぎと大胆な空間構成を両立させてきた稲葉賀恵が手がける。語りの質感が作品の印象を大きく左右する本作において、異なる個性を持つ二人の俳優がどのような世界を立ち上げるのか。同一戯曲でありながら、全く異なる様相を見せる舞台となりそうだ。
舞台『ガールズ&ボーイズ』
作/デニス・ケリー
翻訳/小田島創志
演出/稲葉賀恵
出演/真飛 聖 増岡裕子(Wキャスト)
公演日程/2026年4月9日(木)~26日(日)
会場/新国立劇場 小劇場
チケット料金/A席7,700円 B席3,300円
問い合わせ/新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス
URL/https://www.nntt.jac.go.jp/play/girls_and_boys/
