市川染五郎主演!祖父、父に続き三代目の『ハムレット』へ | Numero TOKYO
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市川染五郎主演!祖父、父に続き三代目の『ハムレット』へ

近年上演が続く『リア王』が、円熟した俳優の底力を味わう演目だとすれば、『ハムレット』は若い俳優たちにとって力試しの場ともいえる作品だ。

今回、歌舞伎界で成長著しい市川染五郎が出演する『ハムレット』も、彼の実力を知らしめる舞台の一つになるだろう。

父を殺した叔父と、その叔父と再婚した母への疑念に苦悩する若き王子。「生きるべきか、死ぬべきか」という有名な独白に象徴されるように、『ハムレット』は内面の葛藤を語る独白の多い作品として知られている。シェイクスピアの悲劇のなかでも、とりわけ心理劇としての魅力を持つ。

市川染五郎の家である松本幸四郎家は、言わずと知れた歌舞伎役者の名門だ。しかしこの家系は、代々、歌舞伎の枠を越えて新しい舞台にも挑戦してきた俳優を輩出している。歌舞伎役者が歌舞伎以外の舞台に出演することが一般的になった今とは違い、高祖父の七代目松本幸四郎、曾祖父の初代松本白鸚がシェイクスピア劇『オセロー』に出演した際には、大きな話題となった。祖父の二代目白鸚もまた、この『ハムレット』を演じ、そのほかにも『ラ・マンチャの男』や『王様と私』といったミュージカルの大作で名を残している。父の当代松本幸四郎も染五郎時代に『ハムレット』を演じているほか、テレビドラマなどへの出演も多い。

染五郎もまた、その流れに漕ぎ出そうとしている。

昨年9月の歌舞伎座では『菅原伝授手習鑑』に出演。「筆法伝授」・「寺子屋」の苦悩を抱える武部源蔵と、力強く躍動する「車引」の梅王丸という対照的な役を演じ分けた。今年の「新春浅草歌舞伎」では『梶原平三誉石切』の梶原平三を懐の深い人物として描き、多くの歌舞伎ファンから称賛を集めた。いずれも、若い俳優の挑戦という枠を超える舞台だったと言えるだろう。

武部源蔵の苦悩が深く重いものだとすれば、ハムレットの苦悩は時に刹那的で、爆発を見せる若者らしいものだ。これまで年齢に不相応なほどの落ち着きを見せてきた染五郎が、この役にどのような感情を吹き込むのか興味が深まるばかりだ。

共演陣も充実している。オフィーリア役には舞台初挑戦となる當真あみ、叔父のクローディアス役には善人から悪役まで数多く印象的な演技を見せる石黒賢、ガートルードには元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香光、ポローニアス役にはテレビドラマや三谷幸喜作品でもおなじみの梶原善が配されている。

また、演出はトニー賞にも複数回のノミネートがある演出家のデヴィッド・ルヴォー。長くTPTの演出家として日本の演劇にも造詣が深く、若手歌舞伎役者を起用した今回の作品をどのように演出するのか、楽しみだ。

舞台『ハムレット』
出演/市川染五郎 當真あみ 石川凌雅 横山賀三 梶原善 柚香光 石黒賢ほか
作/ウィリアム・シェイクスピア
演出/デヴィッド・ルヴォー
翻訳/松岡和子

<東京公演>
公演日程/2026年5月9日(土)~30日(土)
会場/日生劇場
チケット料金(全席指定・税込)/S席14,000円 A席9,000円
主催/松竹・梅田芸術劇場

<大阪公演>
公演日程/2026年6月5日(金)~6月14日(日)
会場/SkyシアターMBS
チケット料金(全席指定・税込)/S席14,000円 A席9,000円
主催:松竹・梅田芸術劇場

<愛知公演>
公演日程/2026年6月20日(土)~6月21日(日)
会場/名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
チケット料金(全席指定・税込)/14,000円
主催/メ~テレ・メ~テレ事業
共催/一般財団法人稲沢市文化振興財団

公式URL/https://hamlet2026.jp/

Texr:Reiko Nakamura

 

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