季節限定!アイスランドの青い氷の洞窟へ【ダージリン コズエが行く、人生最高の旅】 | Numero TOKYO
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季節限定!アイスランドの青い氷の洞窟へ【ダージリン コズエが行く、人生最高の旅】

旅のプロ、ダージリン コズエによる連載。世界中のあらゆるデスティネーションを行き尽くし、現在も国内外問わず旅に赴く玄人トラベラーが語る、“人生最高の旅”。

フランスに引っ越してからというもの、欧州内の移動が非常に便利だなと思うことが多々あります。ミラノなどはパリから飛行機で日帰り出張が可能ですし、ロンドンもユーロスターに乗って日帰り旅もできます。

パリに住みはじめてからというもの、1年目はフランスの生活に慣れたり、仕事で異文化の違いに予想以上に面食らったりして、思っていたより疲れてあまり旅に出られませんでした。

しかしこの冬、絶対ここは行く!と決めていた場所がありました。
アイスランドにある氷の洞窟、クリスタルアイスケーブです。

ということで、11月の中旬に有給を使ってサクッと訪れてきました。

アイスランドの国際線のゲートウェイとなるのは、首都レイキャビックに近いケプラヴィーク国際空港で、パリからだと飛行機で約3時間半です。

「氷と火の国」とよばれるアイスランドには、たくさんの火山や氷河があり、ダイナミックな自然に囲まれています。その氷河の美しさを体感できるひとつが今回の旅の目的であった「氷河の中にできた氷の洞窟」です。

この氷の洞窟に入ることができるシーズンは11月から3月くらいまで。安全面、自然保護の面からも専任ガイドなしでは入ることができません。

私自身、初のアイスランドということで、あれこれと見てみたいものもあったので、1日目にレイキャビックの街で軽く散策&宿泊し、2日目から1泊2日で氷の洞窟と南海岸を訪れるレイキャビック発着の少人数のツアーに参加しました。

というのも、レイキャビックから氷の洞窟近くまで片道380kmほどあるので、氷の洞窟近くのホテルに1泊分の宿泊が込みのツアーに参加するのが得策だと思ったのです。そしてツアー後にはレイキャビックへ連れて帰ってくれ、1泊して翌日パリへ帰るという弾丸の3泊4日間にしました。

まだ暗いうちにチェックアウトしたら、今回の旅の目的である氷の他洞窟へ向けて、ヨークルスアゥルロゥン氷河湖(Jökulsárlón Glacier Lagoon)へと向かいます。

ここで氷の洞窟へ行く専用ガイドさんと同流し、ヘルメットとアイゼンを渡され、スーパージープと呼ばれる巨大なジープに乗り込みます。

写真の右奥に写り込んでいる私たちのガイドさんはたぶん180cmくらいだと思うのでスーパージープの大きさがわかるかと思います。

すごく運転が優しいガイドさんだったのですが、スーパージープは右へ左へと揺れながら、オフロードを30分ほど走ります。

そして到着したのは、一面がダークグレイの広大なエリア。

さすが火山の国!
火山岩や火山灰などが混じったものに白い氷が薄くはっています。

ハイキングシューズにアイゼンをつけ、滑らないよう足元に気をつけながらガイドさんについてゆっくりと歩いていきます。

静まり返った早朝の冷たい空気の中、一歩踏み出すたびに、氷の上でシャリ、シャリという音色が聞こえ、またトレッキングブーツに装着したアイゼン越しに氷のつるりとした感覚や、霜柱を踏んだ時のようなジャリとした音が足裏に響きます。

歩き始めてスタートして15分〜20分ほどすると、ガイドさんが立ち止まり「では、ここが入り口ですので気をつけて入っていきましょう」と。

え?これが入り口なの?と想像と全く違った地中にぽっかり空いている穴に向かって我々13名のグループが1列に並んで洞窟に入っていきます。

穴の入口付近を中から振り返った様子はこんな感じで、ゴツゴツとした岩のような氷の壁や氷の天井に囲まれ空洞ができているのです。

そこをガイドさんについて、しばらく低姿勢で歩いて行きます。

中は思った以上に大きな空洞が数箇所かあり、光が差しこみ美しいグラデーションがかかったアイスブルーの世界が広がっていました。

しかもここの氷の洞窟、アイスブルーなだけでなく、火山灰などがまじっているので、ところどころチャーコルグレーの点やラインが入っており、場所によっては薄いブルーグレイのような色の氷の壁を見ることができます。

自然によってできた氷の造形の美しさだけでなく、アイスランドの火山要素も含まれたその自然美に私はすっかり魅了されてしまいました。

世界各地を旅すると、そこならではの「自然要素」が入ったものを見ると、つい嬉しくなってしまうのです。

最近はSNSだけではなく、AI技術のおかげもあり、一点の曇りもないような完璧な写真や、本物かそうでないかわからないような写真が私たちの周りには多く存在します。

でもね、特に大自然系の旅の醍醐味って、行って実際に見たときに多少イメージと異なるものを見つけて「なんだこれ?」という疑問が生まれた瞬間に知的好奇心の扉が開かれ、そこで知った世界の美しさこそ、旅の面白さだなっていつも思います。

私は、アイスランドの氷の洞窟で、火山灰がうっすら入った氷に惹かれてしまい、中でも洞窟の一部がブラックダイヤのような艶やかさと輝きを放ったところではじっと氷が溶けて流れていく様子や空気を含んだ氷の造形を長い間見ていました。

自然のものなので、気象条件などによっても見え方は変わりますし、日によっては氷の洞窟に入れないこともあります。温度によって氷は溶けていくので、この日と全く同じ形というのは見えないでしょう。それも含め、この一瞬に出会えたダイナミックな自然の中にある儚さというのは、素晴らしいものです。

さて、氷の洞窟から出てくると、朝日もいい感じに上がってきていました。
写真奥の山の斜面に見える氷河の美しいこと。火山の大地とのコントラストもいいですね。

ということで、再びスーパージープで揺られながら、スタート地点のヨークルスアゥルロゥン氷河湖へ戻ってきました。

出発時点では薄暗くてよく見えなかったのですが、氷河湖というだけあり、氷山がゴロゴロと浮かんでいるではありませんか。

氷河と氷山の関係を雑に説明すると、山などの傾いた斜面に雪が積もり、それが蓄積され氷となり、重くなって傾斜にそって流れた氷の塊を氷河(Glasier)といい、その氷河の一部崩れて海に流れ出るのが氷山(Ice berg)です。

「氷山とか見ると、南極旅を思い出しちゃうなー」、なんてひとり感じながら、南国のビーチリゾート派だった私も寒い地域の自然を楽しめるような旅ができるようになったもんだなと、自然が教えてくれた旅の喜びを噛み締めてしまいました。

次回は、アイスランド南西部の絶景ポイントをご紹介します。

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Photos & Text:Darjeeling Kozue

Profile

ダージリン コズエ Darjeeling Kozue 20代で世界一周の旅を経験し、30代で世界中のブティックホテルやデザインホテル、ラグジュアリーリゾートなどを巡ってきた旅のエキスパート。海外旅行のガイドブックや雑誌などの編集経験もあり。本業は、外資系企業でジェネラル マネージャーを務めている。Instagram: @cozykozue
 

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