「タナカダイスケ(tanakadaisuke)」が2026-27年秋冬コレクションを東京・三越劇場にて発表。石膏彫刻やステンドグラスに囲まれたロココ様式の歴史的空間に、繊細な光を宿したルックが静かに現れる。夢と現実の境界線のように曖昧なその空気がブランドの幻想的なムードを際立たせていた。ブランド設立5周年という節目に開催されたショーのテーマは「Hitting the Star」。届かない光に思わず手を伸ばしてしまうような衝動や憧憬の想いがコレクションに込められている。
タナカダイスケといえば、きらめくビジューと繊細なレースをまとったスタイルが象徴的。日常使いとは少し距離のあるロマンティックな表現でありながら、毎シーズン欠かさず乙女心をくすぐるアイテムを届けてくれる。
今季はラフで肩の力を抜いたカジュアルアイテムが多く見られた。ネイビーのカーディガンや気負わないシルエットの起毛トップスといった、日常着に近いピースをベースにしながら、繊細な装飾やスタイリングでリラックスした佇まいの中にブランドらしい詩的なムードを漂わせている。

特に印象的だったのはファーストルック。端正なチェック柄のベージュセットアップはテーラリングの精度が際立つクラシカルな佇まい。胸元にあしらわれた刺繍のディテールがさりげなくアイデンティティを印象づけている。華美な装飾のイメージが強いブランドだからこそ、この削ぎ落とされたデザインの幕開けは鮮やかな裏切りだった。

後日、展示会を訪れて改めて感じたのは細部への執念とも言える作り込み。ショーではミニマルに映ったスタイルも、近くで見ると襟元の装飾やパーツ使いに驚くほどの手数が潜んでいた。

個人的に胸を掴まれたのはやっぱりレースをふんだんにあしらったミニドレス。縦編みのレースを横に連ね、そこへ大粒ビジューを手作業で編み込んだ一着は、もはや衣服というよりアートピース。

光に反射して輝く大きなビジューは眺めているだけでため息が出るほど美しい。手仕事で仕上げるという時間と技術を惜しまないクラフトの重みがこのドレスには宿っている。
火花が弾ける瞬間を閉じ込めたかのようなスターモチーフのバッグやアクセサリーは、テーマを視覚的に際立たせる存在でありながら、それぞれが単体でも主役級の輝きを放つ。細部まで一貫してテーマを貫くこのこだわりが、きっとタナカダイスケというブランドに根強いファンを生み出している理由のひとつでもあるはず。
ショーを見終えたあとに残るのは、強い衝撃ではなく静かな高揚感。装飾は控えめにもできるし、極端にも振れる。その振り幅を自在に操りながら、日常に幻想を差し込むようなコレクションだった。5周年という節目を迎えたタナカダイスケは、新たなフェーズの到来を予感させた。





