
2025年10月、「TAKANAWA GATEWAY CITY」に開業したJWマリオット・ホテル東京。その29階に位置するモダン地中海料理「セフィーノ/Sefino」では、ミシュランスターシェフとして知られるアグスティン・バルビの監修による、洗練された味覚の旅が楽しめる。

エントランスを抜けると、まず目に入るのがバースペース。ここでスパイスやハーブをマセラードしたシーズナルモクテルとフィンガーフードを楽しんでから、その後、メインダイニングへと案内される。

昼と夜で表情を変えるセフィーノの店内。一段低くなったソファー席も用意し、ハイエンドだけれど肩肘張らないリラックスしたムードが漂う。夜には、落ち着いた夜景が窓の外に広がる。

セフィーノの料理を監修するシェフのアグスティン・バルビは、アルゼンチン出身でヨーロッパにルーツを持ち、日本および香港で研鑽を積む中で文化や記憶に根ざした独自の料理哲学を確立。2020年に香港で自身のレストラン「Andō」を開業し、日本の食材とスペインの伝統を融合させた革新的な料理が高く評価され、2021年にミシュラン一つ星を獲得し、「Asia’s 50 Best Restaurants」にも選出された実力の持ち主。さらに2025年には「The Best Chef Awards」において最高位のThree Knivesを受賞するなど、国際的にも注目を集めている。


この日はディナーのPresentationコース全7品(¥25,000)をいただいた。ウェルカムドリンクには、スペインなどで親しまれる「マセラード」を用意。果物やハーブ、スパイスをアルコールに漬け込んだ自家製のリキュールで、爽やかな酸味が口に広がり、料理への期待感を高めるかのようだ。

お次は、プレゼンテーションも美しいフィンガーフード。この日はハマチのタルタルに青リンゴや玉ねぎを合わせたもの、北海道かぼちゃをさまざまなな食感で楽しめるタルト、熊本県産の和牛に白トリュフやきのこを合わせた一品が提供された。日本食材をふんだんに使用しているのもセフィーノの特徴。

絶品だったのは、海藻を練り込んだフォカッチャ。外はカリッと香ばしく、内側はふんわりと柔らかな生地がぎっしり詰まっており、何度もお替わりしたくなるほど。合わせるのは、スペイン・バレンシア地方の希少なエキストラバージン・オリーブオイル。世界的にも流通量が限られた貴重なオイルで、フレッシュなオリーブの香りと豊かな風味をダイレクトに楽しめる。

大間のマグロをタルタル仕立てにし、アンダルシア地方に伝わるニンニクとアーモンドをベースにした冷製スープをソースにアレンジして添えた一皿。パセリオイルやチリオイルを垂らし、見た目も鮮やか。上にトッピングした海ぶどうがミネラル感を演出しながら、食感のアクセントにも。

皮目をパリッと香ばしく焼き上げた山口県産の甘鯛に、ブールブランソースと海のニュアンスを感じさせる軽やかなエスプーマを添え、海を一皿で表現。下には、アオサと舞茸のソテーを包んだクレープ状の生地が隠れており、皿全体でひとつの世界観が完成する。

続く肉料理は仔羊のロースト。臭みがなく、しっとりとした肉質に驚いた。ラムと野菜のソースのほか、ひよこ豆のピューレや、アルゼンチンのチミチュリソースを添えて味変も自在。ニンニクやパセリ、オレガノなどを用いて作るチミチュリソースは、アグスティン・バルビシェフの父のレシピだという。子供時代によくバーベーキューをした思い出から生まれた一品だそう。

コースも終盤に差し掛かり、そろそろお腹も満たされてきた頃に登場するのが、スペインの家庭で親しまれるお米料理「アロス・カルドソ」。秋田県産のお米を鉄鍋でじっくり炊き上げ、炒めた野菜やキノコの出汁をたっぷり効かせた、ほっとする滋味深い味わい。目の前で鍋から取り分けてくれるのも家庭料理ならではの温かさを感じられ、フォカッチャと同じく、ついお替わりしたくなる。

デザートは、香港の「Andō」のスペシャリテであるチョコレート。ラム酒に浸したシフォンケーキ、ルイボスティーのアイスクリーム、温かいチョコレートのムースなどが重なり、異なる温度の素材が奥行きのある味わいを演出する。

ミニャルディーズは、ヘーゼルナッツのアイスクリームやティラミス、いちごやチョコレートを使った小菓子まで、小さな芸術のよう。

ワインは約200種類700本を用意し、スペイン、フランス、イタリアを中心にセレクト。珍しい世界の瓶ビールも各種取り揃えている。
日本の食材と地中海料理が出合い、アグスティン・バルビの感性によって一つの皿に表現されるセフィーノ。高輪の景色を眺めながら、肩肘張らない空間で、五感が刺激される新しい食体験に触れられるはず。
モダン地中海料理「セフィーノ/Sefino」
営業時間/ランチ 金・土のみ12:00 ~15:30
ディナー 火・土 18:00~21:30
定休日/日・月
URL/www.sefinotokyo.com/
Text: Yukiko Shinto
