注目のアーティストファイル vol.2 現代美術家・沼⽥侑⾹ | Numero TOKYO
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注目のアーティストファイル vol.2 現代美術家・沼⽥侑⾹

活況を呈する日本のアートシーンで、いま注目のアーティストを紹介する連載。第二回は、アイロンビーズをピクセルに見立て、独自の表現を追求する現代美術家の沼田侑香。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年10月号掲載)

現実世界に現れたバグのインパクト

菓子モチーフのアイロンビーズ作品と画像によるインスタレーション。『Computer drawing “キャベツ太郎”』2022年(展示風景:個展「SUPER〈Fiction〉MARKET」LONGY Gallery) Photo:松尾宇人
菓子モチーフのアイロンビーズ作品と画像によるインスタレーション。『Computer drawing “キャベツ太郎”』2022年(展示風景:個展「SUPER〈Fiction〉MARKET」LONGY Gallery) Photo:松尾宇人

これは仮想か現実か? 歪んだデジタル画像が実体を伴い、目の前に現れ出たかのよう。

「コンピューターのバグやグリッチなど、モニターの中でしか起こり得ない現象を現実世界に配置することで、デジタル社会に入り込むような感覚になるのではないかと考えています」

ウィンドウズXPをモチーフにした大型インスタレーション。『Surfing the Net to the Moon』2024年(展示風景:「Art Squiggle Yokohama 2024」山下ふ頭) Photo:市川森一
ウィンドウズXPをモチーフにした大型インスタレーション。『Surfing the Net to the Moon』2024年(展示風景:「Art Squiggle Yokohama 2024」山下ふ頭) Photo:市川森一

公園で遊んだ幼少期に始まり、身をもってデジタル社会への移行を実感してきたという沼田侑香。自らの体験をふまえ「時間の経過や、目で実物を見たり、物質に触れたりすることの重要性を軸に置き、アナログとデジタルを行き来する時代の流れを反映したい」と語る。その表現を問うなかで出合ったのが、おもちゃ売場のアイロンビーズだった。

『Boy eating ice cream』2023年
『Boy eating ice cream』2023年

「ピクセルの表現は画像の拡張子であるJPEGと同じ見え方のため、モニターから現実世界に取り出すことができる状態だと考えます。一粒ずつビーズを並べる工程も時間がとてつもなくかかる行為ですが、作品を見る側も、現実世界でのリアルな時の流れを感じることができるのでは」

その言葉どおり、風刺の効いたモチーフが緻密で膨大な手作業と結び付き、見る者を惹き込む。

「すべてが自動化した100年後の未来から、現代の時代性を振り返ってもらえるような作品になればいいなと思っています」
 

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Select & Text:Keita Fukasawa Edit:Miyu Kadota

Profile

沼⽥侑⾹ Yuka Numata 1992年、千葉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了。デジタルネイティブ世代としてバグやエラーに着目し、主にアイロンビーズなどの素材を用いて情報の歪みや視覚のノイズを再構成する。近年の主な展示に「瀬戸内国際芸術祭2025 夏会期」(香川県・引田エリア、2025年)、「POSITIONS Berlin Art Fair」(ドイツ・ベルリン、2024年)など。
URL/www.yukanumata.com/
 

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