李禹煥、ナムジュン・パイクらでたどる 日本と韓国、アートの80年展 @横浜美術館 | Numero TOKYO
Art / News

李禹煥、ナムジュン・パイクらでたどる 日本と韓国、アートの80年展 @横浜美術館

田中功起『可傷的な歴史(ロードムービー)』(2018年) 個人蔵
田中功起『可傷的な歴史(ロードムービー)』(2018年) 個人蔵

横浜美術館(神奈川県・横浜)にて、2025年2月から実施されてきたリニューアルオープン記念展の最後を飾る展覧会が開催。日本と韓国の国公立美術館の共同による企画展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」は、2026年3月22日(日)まで。

 

近年、韓国文化が国際的に大きな広がりを見せている。日本においても、ドラマや映画、音楽、ファッション、メイクなど、さまざまな分野で強い影響力を持つ存在となった。そんな気になる“おとなりさん”との関係を、アートを通して見つめ直す展覧会が開催されている。

本展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」は、日本の植民地支配から朝鮮半島が解放された1945年以降の日韓美術の関係史をひも解くもの。会場には、韓国の国立現代美術館所蔵の作品19点を含む約160点が集結。日本初公開作品や本展のために制作された新作も交えながら、両国の歩みをたどる試みとなる。

安齊重男『1970年代美術記録写真集 「ナムジュン・パイク 1978年5月 草月会館」』(1978年) 東京都現代美術館蔵 ©Estate of Shigeo Anzaï, Courtesy of Zeit-Foto
安齊重男『1970年代美術記録写真集 「ナムジュン・パイク 1978年5月 草月会館」』(1978年) 東京都現代美術館蔵 ©Estate of Shigeo Anzaï, Courtesy of Zeit-Foto

展示のなかでとりわけ存在感を放つのが、ビデオアートの開拓者ナムジュン・パイクだ。生涯を通じて日本のアーティストやクリエイターと親交を結び、日本の美術界に大きな影響を与えたパイクを軸にして、日韓アーティストらの交流などが紹介される。
また、1965年の日韓国交正常化以降は、もの派を代表する李禹煥(リ・ウファン)、韓国の現代アートをけん引した朴栖甫(パク・ソボ)、日本の抽象絵画の先駆者である山口長男、そしてアメリカ歴代大統領と自分の顔を組み合わせた写真シリーズで知られる郭徳俊(クウァク・ドゥク=ジュン)らの作品を通して、両国が互いに刺激を与え合ってきた歴史を振り返るほか、中村政人やイ・ブルといった新世代の作家の作品も展示され、現在と未来へのつながりを感じられる構成に。

李禹煥『線より』(1977年) 東京国立近代美術館蔵 ©Lee Ufan
李禹煥『線より』(1977年) 東京国立近代美術館蔵 ©Lee Ufan

会場は、約3年におよぶ大規模改修工事を経て、2025年春に全館オープンした横浜美術館。本展は、「おかえり、ヨコハマ」、「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」に続く、リニューアルオープン記念展の最後を飾る展覧会となる。

日韓国交正常化から60年という節目に合わせ、韓国の美術館との共同企画として開催される本展は、横浜美術館での開催後、韓国・ソウル近郊の国立現代美術館 果川館へ巡回する予定だ。

どうぞ、お見逃しなく。

 

※掲載情報は12月23日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

横浜美術館リニューアルオープン記念展
いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年
会期/2025年12月6日(土)〜2026年3月22日(日)
会場/横浜美術館
住所/神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
料金/一般 2000円、大学生 1600円、中学・高校生 1000円、小学生以下 無料
時間/10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館/木曜日、年末年始(2025年12月29日(月)~2026年1月3日(土))
TEL/045-221-0300
URL/yokohama.art.museum

Text:Manami Abe

 

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2026 N°193

2025.11.28 発売

The New Me

あたらしい私へ

オンライン書店で購入する