イタリア北部・ドロミーティの壮麗な山々を舞台に、自然の息づかいとともに、自分らしい輝きを放つ女性像を描く。光を透かすチュールや繊細なビジュー、温もりある質感のレイヤーが溶け合い、静けさと強さ、エレガンスと自由が共存するスタイルを映し出した。自然のリズムに寄り添いながら、内なる光を纏う“新しいレディ”の物語。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年1・2月合併号掲載)

クラシックなシルエットを再定義したボクシーなジャケットに、脚線を描くパンツを合わせて。エネルギーあふれるレッドカラーが、自由と喜びを映し出す。

柔らかなホワイトニットにフリンジが揺れ、雪解けのような温もりを宿す。編み地が光を受けて陰影を生み出し、肌に寄り添うような立体感が漂う。静けさの中に確かな強さを感じさせる、穏やかなラグジュアリー。

石造りの家で、ワインを片手に笑う。そんな旅先での出会いが、佇まいに奥行きを添えてくれる。レースの繊細さと深いワインレッドが響き合い、優雅さの中に“生きる喜び”をそっと滲ませて。

壁に寄りかかる光と影。フラワーレースのブラウスと、ストライプがリズミカルなスカートが時間の層を織りなす。柔らかさと大胆さ、そのどちらも纏うことで新しいバランスが生まれる。

ブルーにレッドの花柄が大胆に咲くロングドレス。片腕を伸ばし、風と遊ぶ姿はまるで彫刻のよう。軽やかでいて、挑発的。自由とは、重力に逆らう心のこと。

建物の白をキャンバスに輝く、フューシャピンクのミニドレス。ふんわりと広がるラッフルヘムが、少女のような自由を思い出させる。足もとはクラシックなバレリーナで引き締め、無垢さに宿る知性を忍ばせて。

肩を包むフェザーがボリュームを与え、軽やかなビジュードレスの縦の落ち感と対をなす。相反する要素が響き合い、自然が形づくる優雅なコントラストが浮かび上がる。

ディーププラムのトップに、同色のプリーツスカーフを無造作に巻いて。丸みを帯びたフェルトハットが光を受けて、やわらかな陰影を描く。静寂の中に潜む意志が、控えめな強さを語る。

射し込む影が揺らぐテラスで、身体を預けるようにくつろぐ午後。シフォンブラウスとベビーピンクのトレンチコートを重ねたテクスチャーが、時間と温度の移ろいを吸い込む。気取らない強さは、リラックスした瞬間にこそ現れる。

後ろへと流れるロングヘムのフローラルドレスが、水面のきらめきを受け止める。レザーブーツで引き締めた佇まいは、儚さと意思を併せ持つ、まさに現代のミューズ像。

山の稜線を背に、エメラルドグリーンのスーツが映える。構築的に仕上げられたフォルムで、自然の中でこそ際立つタイムレスな存在感を放って。

傾く太陽がジャカードドレスの織りを際立たせる。ミニマルな装いにイヤリングの光が呼応し、沈黙の中の華やぎを描く。その静寂こそが、エレガンスの証。
Photos:Brendan Freeman Styling:Sofia Lazzari Hair & Makeup:Maria Toniolo Model:Sabine Glud at The Hive Management Casting Director:Marina Fairfax Production:Raw Production Styling Assistant:Francesca Marshall, Julia Sukhodoeva Text:Shiori Kajiyama Edit:Maki Saito
