再生医療の未来を担う幹細胞研究に着目し、20年以上続けるディオールが、スキンケアにおけるエポックメイキングとなる新たな知見を発表。さらに、革新的技術を搭載するディオール カプチュールからも新たな製品がお目見え。その全貌に迫る。
ディオール サイエンスが掲げる“リバース エイジング”。これは単なる見た目の若返りに限らず、細胞の自然な営みをブーストすることで肌、そして体がもつ機能を発展させ、根本からの若返りを図ろうとするものだ。そして、サイエンスを語るうえで欠かせないのが“リバース エイジング ボード”である。
iPS細胞研究の権威であるクヌート・ウォルツェン氏、老化のエピジェネティック リプロミングという革新的な技術を開発した細胞の若返り研究のパイオニアであるヴィットリオ・セバスティアーノ氏、そして臨床皮膚科や生化学、美容医学の分野で70以上の化学論文を執筆するパトリシア・オジルヴィ氏をはじめとする、世界有数の科学者たちと連携。肌老化に関わる12のエイジングマーカーに基づき、専門的な研究を重ねている。
パルファン・クリスチャン・ディオールのスポークスマンであるヴィルジニー・クトゥロー氏はこの連携について「世界的な権威の方々の知識、技術を集約し、新たなテクノロジーを開発し、それだけではなく、その有用性を確認するためのプラットフォームを開発。肌にとって必要なものを求め、日々研究に邁進しています」と語る。そして、今回、老化のスピードをスローにするだけではなく、若返りさえも可能にすることができる新知見を発表した。

まず、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)准教授 クヌート・ウォルツェン氏との共同研究から届いたのは、酸素運搬体と幹細胞に関する知見だ。
「細胞に酸素を適切に運搬する“酸素運搬体”の働きに着目することで、細胞に酸素を適切に供給することが可能になりますが、幹細胞においても細胞呼吸能が向上することを確認。さらに非常に興味深いことに、エネルギーを産生し、さまざまな役割を担うミトコンドリアの数も増えたのです。科学界が定めた老化の定義である12の項目のうちのひとつであるミトコンドリアに関するこの発見は、今後の研究に大きな影響を与えると考えています」(ウォルツェン氏)
「ミトコンドリアを活性化させることで、老化細胞を除去するNK細胞の働きの最適化が進み、コラーゲン産生が進むことも新たにわかっており、I型コラーゲンにおいてはその産生を3倍に増加させ、皮膚の再生能力と質を高めることが実証されています」(LVMHグループ ビューティ部門 リサーチ&イノベーション ディレクター マリー・ヴィドー氏)
「この酸素運搬体を通してのミトコンドリアのアプローチは、細胞が適切な機能を果たすために適切な酸素供給ができるというのも特筆すべき点。酸化ストレスを引き起こすことなく、エネルギー産生などミトコンドリアの働きを活性化できるのです」とは、幹細胞研究を専門とするヴィットリオ・セバスティアーノ氏。
新たな細胞を生み出すために必要なエネルギーを再生し、肌の再生を促すミトコンドリアの働きを活性化し、さらに老化を進める大きな要因である老化細胞を除去するN K細胞の働きを最適化。まさに不老を叶える革新的なアプローチなのだ。

さらにディオールが20年以上続ける幹細胞研究から、新たなコラーゲンに関する知見も。「目元は美容医療などを用いた治療が難しいゾーンであるにもかかわらず、他のパーツに比べてコラーゲンの減少のスピードが早いうえ、1.3倍も失われやすく、まぶたのコラーゲン密度は25歳から75歳の間に50%も減少。まぶたのたるみをはじめ、さまざまなエイジングサインを引き起こします。特にアジア人は上まぶたの面積が広いため、その影響は顕著といえます。そこで着目したのが、表皮と真皮の境目にある基底膜に存在する4つのコラーゲンであり、新たな次世代コラーゲン フラグメントです。このコラーゲン フラグメントは、一般的に化粧品に用いられる海洋性コラーゲンの1/27サイズで、美容医療のリコンビナントコラーゲン注射から着想を得たもので、肌の深層まで浸透。ヒトのコラーゲンと同じ配列を持っているため同化し、さらに肌細胞が認識することで4種のコラーゲンの産生が促されます」(皮膚科医・スキンコンセプト ミュンヘン創設者 パトリシア・オジルヴィ氏)
今、トレンドの肌育注射さながらに、肌の内部からふっくらと密度を高める効果が期待できるのだ。


ヒアルロン酸をチャージするヒアルショット、肌の質感をなめらかに導くレチショットに続き、ショットシリーズに新たに加わるのが「ディオール プロ コラジェンショット」だ。酸素運搬に着目するディオールサイエンスから生まれた「ディオール カプチュール ル セラム」との共通成分であるOX―Cトリートメントとともに次世代コラーゲン フラグメントを配合。さらにディオール サイエンスこだわりのハリをもたらす独自のポリマーも採用されている。「複数の天然ポリマーを黄金比率で組み合わせ、天然ポリマーの強みである保湿効果を保持しながら、合成ポリマーさながらのハリ感を実現。スキンケアやベースメイクを重ねるとモロモロとフレークが出がちというポリマーの難点もクリアにし、みずみずしいジェルテクスチャーを叶えています」(LVMHリサーチ アジア イノベーション センター 東京 シニアエンジニア・スキンケア 三谷謙太氏)
ふっくらと生き生きとした目元のために使い続けたい、新たな名品アイケアの登場だ。

プロコラジェンショットとともに、2つのアイテムがディオール カプチュールのラインナップに加わる。「ディオール カプチュール アイ クリーム」は、ディオール カプチュール共通成分であるOX-Cトリートメントに加え、チャーガエキスやピュアカフェインといった有用成分を配合。軽やかに肌にフィットし、潤いをもたらしながら、光を分散させるパール粒子により瞬時に輝く目元へ。クマやくすみ、疲れた印象に悩む人は、こちらをぜひ。
そしてもうひとつは、すでに人気を集めるクリームのリッチタイプ、「ディオール カプチュール クレーム リッシュ」。年齢を重ねることにより減少する肌のセラミドNPに着目。肌が外的刺激から水からを守る機能を担うが、乾燥状態ではより顕著にこの機能が弱まることから、セラミドNPの減少を抑制。リッチなのにスッとなめらかなになじむクリーミィなテクスチャーで、深層まで栄養を届けふっくらとなめらかで、健やかな肌に。
LVMHグループ ビューティ部門 リサーチ&イノベーション ディレクター マリー・ヴィドー氏曰く「肌は、体において最大の器官であり、外部環境からみずからを守るための防壁。肌へのアプローチは体を健康に導くことにつながりますし、肌細胞の若返りのメカニズムは全身のリバース エイジングにもつながると考えています」とのこと。まさに夢のある研究であり、大いなる期待を持って肌を委ねたくなるアイテムの登場だ。
Portraits: Wataru Fukaya for Christian Dior Parfums Interview & Text : Hiromi Narasaki Edit : Naho Sasaki
