
2022 年上演のフランス・オデオン劇場『ガラスの動物園』、2025年上演のチェコ・ブルノ国立劇場『母』と、注目の海外作品を招聘してきた新国立劇場。
この11月はアメリカを舞台に演劇作品を生み出している、アヤ・オガワの『鼻血―The Nosebleed―』を上演する。本作は2017年から長いディベロップメント期間を経て、21年秋、ニューヨークのジャパン・ソサエティでワールドプレミアを迎えて以降、毎年アメリカの各地で上演を繰り返してきた。

アヤ・オガワは東京生まれの劇作家、演出家、翻訳家で、多様な視点や世界各地の形式・影響を取り入れ、アメリカの伝統的なアイデンティティや美意識に挑戦すると同時に、アメリカ現代演劇の国際化やアジアとアメリカのアーティスト交流を促進している。 また、日本の現代戯曲を英訳する活動を行っており、岡田利規(チェルフィッチュ主宰)などの作品を手掛けてきた。

『鼻血』は「“失敗”の探究」から生まれた作品だとオガワは語る。その例として、作品についてのインタビューで「15年前に父親が亡くなった時に葬式を行わなかった事」を挙げた。このエピソードからも分かるように、この作品は日系移民の子どもとして生きてきたオガワ自身の経験をベースに、父親との間にある文化や世代間のギャップ、また親として子どもを持ってから生まれた親子間の問題などが色濃く投影されている。

テーマは深いが、劇中では観客とのコミュニケーションを取るシーンが含まれるなど、ユニークな演出も随所に見られる。
時に滑稽で、優しく、独創的な作品は、「自分がやったこと、やらなかったことで間違っていたこと、後悔していること」がどのように受け継がれ、(次の世代に)伝わっていくのか、そして赦しを得るために何が必要なのかを問いかけていく。
誰の心の中にもある近しい人々にまつわる苦い失敗の体験をとおして、観客一人一人に問いかける作品だ。
舞台:海外招聘公演『鼻血─The Nosebleed-』 <英語上演/日本語字幕付>
作・演出/アヤ・オガワ
字幕翻訳/広田敦郎
芸術監督/小川絵梨子
主催/新国立劇場
出演/ドレイ・キャンベル アシル・リー クリス・マンリー アヤ・オガワ 塚田さおり カイリー・Y・ターナー
公演日程/2025年11月20日(木)~24日(月・休)
会場/ 新国立劇場 小劇場
チケット料金(税込)/A席 ¥7700 B席 ¥3300 Z席(当日)¥1,650
チケット申し込み・お問い合わせ/ 新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
URL/新国立劇場Webボックスオフィス https://nntt.pia.jp/
