写真家トーマス・ルフの個展が 開廊30周年のギャラリー小柳で開催 | Numero TOKYO
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写真家トーマス・ルフの個展が 開廊30周年のギャラリー小柳で開催

Thomas Ruff『Substrat 41 III』(2009年) © Thomas Ruff / Courtesy of Gallery Koyanagi
Thomas Ruff『Substrat 41 III』(2009年) © Thomas Ruff / Courtesy of Gallery Koyanagi

現代写真界をリードする写真家トーマス・ルフの個展「Two of Each」が、2025年12月13日(土)まで開催。東京・銀座のギャラリー小柳にて、同館の開廊30周年記念展の一つとして実施される。

 

ドイツを代表する写真家、トーマス・ルフ。アカデミー時代の師であるベッヒャー夫妻の表現方法を受け継ぎながら、既存の写真やイメージを再構成するなど、多様な手法を通じて写真の本質を問いかけてきた。日本では2016年に東京国立近代美術館と金沢21世紀美術館で回顧展が開かれ、多くの人に鮮やかな印象を残している。

本展では、ルフの代表的なシリーズに加え、本邦初公開となる作品も展示される。
鮮やかな色彩が印象的な代表作『Substrate』は、日本の成人向けコミックやアニメのイメージを幾重にも重ねるなどしてイメージの解体を試みたもの。また、日本初公開の「flower.s」は、20世紀ドイツの女性写真家ルー・ランダウアーによる花のフォトグラムに着想を得たシリーズで、草花をライトテーブルに並べてデジタル撮影し、画像の明暗を反転させて制作された。

Thomas Ruff『untitled#14』(2022年) © Thomas Ruff / Courtesy of Gallery Koyanagi
Thomas Ruff『untitled#14』(2022年) © Thomas Ruff / Courtesy of Gallery Koyanagi

Thomas Ruff『flower.s_07』(2018年) © Thomas Ruff / Courtesy of Gallery Koyanagi
Thomas Ruff『flower.s_07』(2018年) © Thomas Ruff / Courtesy of Gallery Koyanagi

展示作品のなかでもとりわけ関心が寄せられているのは、ルフが久しぶりにカメラを手に取った「untitled#」だ。ワイヤーで作った構造物に回転や振動を与えて長時間露光で撮影したこのシリーズは、1950〜60年代の実験写真の表現を現代に引き寄せ、“光と影の線的な戯れ”を映し出している。

なお本展では、タイトルのとおり、各シリーズから2点ずつを並べて展示。作品同士の微妙な差異や対比が、イメージの多義性を浮かび上がらせる。

98年にギャラリー小柳で開催されたルフの個展から27年。同館の30周年記念の一つとして開催される本展を、どうぞお見逃しなく。

 

※掲載情報は10月23日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

トーマス・ルフ「Two of Each」
会期/2025年10月18日(土)〜12月13日(土)
会場/ギャラリー小柳
住所/東京都中央区銀座 1-7-5 小柳ビル 9F
料金/無料
時間/12:00〜19:00(11月7日(金)〜9日(日)は、10:00〜18:00)
休廊/日・月曜日、祝祭日 *但し、11月9日(日)は開廊
TEL/03-3561-1896
URL/www.gallerykoyanagi.com

Text:Manami Abe

 

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