【Editor’s Letter】装飾の美学——着飾ることの歓び | Numero TOKYO
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【Editor’s Letter】装飾の美学——着飾ることの歓び

2025年9月27日(土)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numéro TOKYO)』2025年11月号に寄せて。編集長・水戸美千恵からのエディターズレター。

今シーズンのランウェイでは、卓越したクラフツマンシップによる装飾が施されたアイテム、シルエットやカッティングによって飾られたルックが目立ちました。モードの世界において「装飾」が再び問い直されているようです。歴史の引用、最先端テクノロジーの活用など、装飾にまつわる要素が新しい感性と出会っています。

装飾とは何でしょう。

実用や機能とは無関係な「意味」。時に贅沢であり、そして何よりも人間的なもの。今号では、装飾をめぐる美学について掘り下げてみました。

「私たちはなぜ飾るのか」を芸術人類学者の鶴岡真弓さん、『東大ファッション論集中講義』が話題の平芳裕子さん、“盛り”を研究している久保友香さんの3人にお伺いしました。それは自己表現であり、社会や共同体とのつながりであり、人との関係性を深める行為、今を生きるための手段の一つです。

装飾は、時代と文化を反映し、記憶と感情を織り込んだ生きた言語のようなもの。ファッションであり、アート。“装飾する楽しさ”を再発見するきっかけになりますように。

life in layers

ネックレス(SV)¥132,000/ BLANC IRIS(ブランイリス・ジャポン)
ネックレス(SV)¥132,000/ BLANC IRIS(ブランイリス・ジャポン)

パリ発のジュエリーブランド「BLANC IRIS」。クリエイティブディレクター荒木弘美さんとデザイナーのソフィー・クルーゼルさんによるモダンでシックなデザインは「自分自身が身に着けたいと願うもの」というこだわりから。全てイタリアの熟練した職人によるハンドメイド。新作の「Fragments」コレクションは、砕け散ったガラスや鏡のかけらがインスピレーションソース。シンプルすぎないチョーカーを探していたので、うれしい出合い。シンプルながらも存在感があり、首に沿うような付け心地もいい。Tシャツスタイルからブラックドレスまでスタイリングを楽しみたいです。

ビヨンセ(・ノウルズ・カーター)がアメリカンウイスキー「Sir Davis」を手がけているのをご存じでしょうか。ジャパニーズウイスキーの愛好家で、理想とするウイスキーの味わいを実現するために、グレンモーレンジィ・アードベッグを手がけたことで知られるビル・ラムズデン博士との共同開発で、数年の歳月をかけて完成させたというこだわり。禁酒法時代に農業を営みながら密造酒を造っていた曽祖父デイヴィス・ボーグに敬意を表し命名。出身地のテキサスを象徴する馬が描かれたメダリオンが施されたボトルも美しい。アメリカンオーク樽で熟成された後にシェリー樽で二次熟成され、柑橘系の果実を思わせる香りとレーズンのようなニュアンス、クローブ・シナモンを思わせるスパイス感とシルクのようになめらかな口当たり。個人的にとても好きなテイストです。

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Profile

水戸美千恵Michie Mito 編集長。大学時代にジャーナリストアシスタント、ライターとして書籍、雑誌に携わる。卒業後扶桑社へ入社し、女性ファッション誌を経て『NumeroTOKYO』創刊1年目より副編集長に就任。連載「YOUのテキトーく」「佐久間由美子が聞く 女性表現者たちの闘い」を担当。好きなものは、ファッション、食、旅、アート。座右の銘は「いつも心にナンシーを」。
Instagram: @mitomichie
 

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