【連載】まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド vol.6 人に聞きづらい、デリケートゾーンのトラブル
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【連載】まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド vol.6 人に聞きづらい、デリケートゾーンのトラブル

毎月の生理、デリケートゾーンの悩み……我慢できてしまう小さな不調を見逃していませんか。不調があって当たり前と見過ごしていると、思わぬ病気や妊娠時のトラブルの原因に。連載「まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド」では、産婦人科医の安部まさき先生が、専門的な視点から女性の体と心に寄り添うアドバイスをお届けします。

「デリケートゾーンのトラブルは、恥ずかしいという思いもあり自分で解決しようとしがちですが、ぜひ婦人科へ。疾患が潜んでいたり、将来の妊娠時のトラブルに発展したりしてしまうことも。早めに治療して、完治させておくことが大切です。とてもセンシティブに感じがちですが、誰もがなりえること。抱え込まずに相談しましょう」(安部まさき先生)

なかなか聞きづらい、デリケートゾーントラブル

なかなか相談しにくいことかもしれませんが、自分で解決しようとせず、早めに婦人科を受診しましょう。放っておくと、妊娠中のトラブルにつながることもあるので、しっかり治しておくことが大切です。

具体的に、どんなトラブルがある?

──話しづらいぶん、どんな種類のトラブルがあるかも把握できてないように思います。

代表的な疾患としてよく知られているのが「カンジダ症」です。デリケートゾーンには、良い菌と悪い菌がバランスをとりながら常在していますが、ストレスや疲れ、生活習慣の乱れなどで免疫力が下がると、このバランスが崩れ、悪い菌が増えやすくなります。
カンジダ菌もその常在菌のひとつで、普段は特に悪さをしませんが、増えすぎると強いかゆみや、カッテージチーズのような白くてボロボロしたおりものが見られるようになります。
症状が出た場合は、婦人科を受診し、まずは診断を受けましょう。治療では、クリニックで腟内洗浄を行い、腟剤や塗り薬などの抗真菌薬を使うことが多いです。
一度かかると繰り返しやすい傾向があるため、再発を防ぐためには、体調管理や日常生活の見直しも大切です。

──ほかにはどんな疾患が?

性交渉が原因で起こり、比較的多いのが「クラミジア感染」です。おりものが増えたり、軽い下腹部痛、かゆみなどがありますが、気づかない無症状のケースも。
放っておくと、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こし、不妊や子宮外妊娠のリスクが高まります。だからこそ、早めの検査と治療が大切です。治療は、抗生剤できちんと完治させる必要があります。
男性はかゆみや排尿時の違和感が出やすいですが、こちらも無症状の場合があるので注意が必要です。感染の可能性がある場合は、パートナーと一緒に医療機関で検査・治療を受けましょう。そうしないと、再感染を繰り返すことになりかねません。

──性感染症というと、大ごとな気がしてしまいます……。

最近では、「梅毒」の感染者が増えているという報告もあります。初期には手や体に湿疹のような症状が出ることがありますが、潜伏期間があるため気づかないうちに進行してしまうことも。そのほかにも、膿のようなおりものが出る「淋菌感染症」や、悪臭のある泡状のおりものと強いかゆみを伴う「トリコモナス膣炎」、カリフラワー状のイボができる「尖形コンジローマ」、水ぶくれやただれを伴う「性器ヘルペス」など……性感染症にはさまざまな種類があります。
また、HIV、いわゆるエイズも性感染症の一つで、無症状の相手からでも感染する可能性があります。意外と身近にある問題と捉えていただいたほうが良いかもしれません。

──ではどうすれば防げる?

やはりコンドームで予防するのが一番です。望まない妊娠を防ぐ避妊グッズと思われていますが、一番は性感染症を防ぐグッズです。彼に装着して、と言えないという話も聞きますが、自分の体を守ると考えて! また、コンドームをしていてもうつってしまう場合があり、「トリコモナス膣炎」はサウナや岩盤浴でうつることも。コンドームで予防すると同時に、定期的な婦人科検診やブライダルチェックをするのがオススメです。無症状でも感染しているケースが多いことを、頭に入れておいてくださいね。

──カンジダに関しては市販薬もありますよね?

症状だけでは自己判断しにくいという側面があります。たとえば、カンジダだと思っていたら、実は性感染症や大腸菌などが原因の細菌性腟症だったという事もあります。その場合、治療法が異なるので、誤った薬を使ってしまうと症状が長引いたり悪化してしまうことも。何度も同じ症状を繰り返したり、なかなか治らない場合は婦人科へ。自己判断しないことが大切です。

日常的なかゆみやにおいを防ぐには?

──セルフケアでできることを知りたいです。

デリケートゾーンを清潔に保つことが重要です。通気性の良い下着を身につける、ナプキンやおりものシートはこまめに変えて長時間同じものを使い続けないことが大事です。また、基本的なことですが、睡眠の確保やストレスを溜め込まないこともやはり大切。菌バランスを乱さず、トラブルの起こりにくい体を保つことも大切です。

──デリケートゾーン専用のソープもありますが?

デリケートゾーンの皮膚は薄くて繊細。乾燥しやすくバリア機能が壊れやすいので、やさしくケアすることが大切です。清潔に保つために、ゴシゴシ擦って洗いすぎてしまう方も多いですが、やさしく洗いましょう。pHバランスなどデリケートゾーンに合わせた専用の洗浄料を使うのがおすすめ。膣内まで洗う方もいますが、基本的に洗う必要はありません。洗った後はぜひ保湿を。乾燥するとかゆみの原因になるため、専用の保湿ジェルやクリームなどを使うと良いでしょう。

──そういった製品を選びときのポイントは?

香料や添加物の少ない製品のほうがベター。とても繊細で刺激に弱いパーツであることを意識して、刺激の少ないものを選ぶようにしましょう。

セルフケアでできること

・通気性の良い下着を身につける
・おりものシートやナプキンはこまめに変える
・優しく洗う
・コンドームは避妊のためではなく性感染症から守るため!
・なるべく保湿する

安部まさき先生からひとこと

「セルフケアでかゆみなどのトラブルを起こさないようにしながら、コンドームをちゃんとつけて予防。自分を守る意味でとても大事なことです。ただ、中には無症状の性感染症もあるので、年1回でもいいので定期的な婦人科受診を受けてくださいね!」

なのはなレディースクリニック
住所/埼玉県さいたま市見沼区東大宮5丁目33-12 柏洋ビル1F
TEL/048-878-8338
公式サイト/https://nanohanalc.com/

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Photo:Kouki Hayashi Styling:Ako Tanaka Hair &Makeup:Kei Kouda Interview & Text:Hiromi Narasaki Illustration:Akari Kuramoto Edit:Saki Tanaka

Profile

なのはなレディースクリニック院長。産婦人科医。金沢医科大学医学部卒業後、自治医科大学産婦人科学講座 病院助教、国際医療福祉大学病院産婦人科などを経て、すべての女性がなんでも気軽に相談できるクリニックを目指し、なのはなレディースクリニックを開院。2026年夏頃には出産可能な病院を新設予定。女性特有の病気はもちろんのこと、ライフステージなどにもよって変化する悩みに寄り添い、最適な医療を提案。Numero TOKYOを愛読するファッショニスタでもあり、中でもコムデギャルソンをこよなく愛するという一面も。
 

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