社会の変化とともに、その意義や形を進化させて人々から長く愛され続けるジャケット&コート。現代を生きる女性はどのように纏い、表現するのか。岸本佳子が映し出す、春先にぴったりなアウターの新美学。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年4月号掲載)

端正なジャケットとパンツのセットアップに、センシュアリティを忍ばせるのが今春のスタイル。ランジェリーライクなトップやオーバーサイズのジャケットから覗く素肌が、上品な佇まいとは裏腹にどこか危うく、魅惑的な女性像を描き出す。

ガブリエル・シャネルのように、社会の厳しいまなざしから自らを解き放った女性たちへのトリビュートとなるシャネルの春夏コレクション。メゾンのアイコニックなノーカラージャケットは、繊細なレースを大胆に採用し生まれ変わった。自由に飛躍するしなやかな女性にこそ着てほしいルック。

シンプルなデザインと金ボタン、かっちりとした生地使いで、エターナルに活躍してくれるハーフコート。そこに、鎖を彷彿とさせるリングがあしらわれたハードなスカートを合わせる。クラシカルな雰囲気にパンクなディテールを加えることで、鮮烈な個性が際立ってくる。

大胆なリボンモチーフのブラトップをジャケットに重ねた、まさにロマンティックを象徴するセットアップのコーディネート。ウエストシェイプされたデザインのジャケットと、ゆったりとしたシルエットのパンツのバランスが奏でる女性らしさ。モノトーンでまとめ上げ、洗練されたムードを放って。

カッティングで魅せる、モダンなジャケットスタイル。構築的なラインは身体を美しく際立たせ、知的な印象を与えてくれる。ブリティッシュトラッドなムードを纏い、しなやかな表情で街を歩こう。

「ソフト」と「パワー」という対立する2つの概念の調和を試みたルイ・ヴィトン。真っ白なやさしい生地に包み込まれるケープのようなコートは、首元にアシンメトリーな襟と華奢なリボンをあしらい、フェミニンなディテールをプラス。春風のような軽やかさで魅了しながらも、どこかパワフルなエネルギーが感じられる。

美しく透ける、シアー素材のコート。生地が重なることで色の濃淡が表れ、繊細な奥行きを生み出す。そこから覗くのは、ブランドのアイコンともいえるコーンブラ。アウターとランジェリーの調和が官能的な魅力を生み出し、自信に満ちたオーラを放つ。

フォーマルな印象のテーラードジャケットを、柔らかく、ラフな雰囲気で着こなす。淡いトーンでまとめたルックも、ビジューのドレスを合わせることで華やかな印象に。一方、ジャケットの裾をデニムにインすれば、抜け感ある大人のカジュアルスが完成。

今シーズン、グッチのキーアイテムとなったスーパーロングコート。タンクトップとホワイトデニムというシンプルなコーディネートに、ユニークなアクセントをもたらす。ブランドの独創性が際立つ、新たなカジュアルスタイルを纏ってみたい。

肩やデコルテを大胆に魅せる、アシンメトリックなワンショルダージャケット。ベルトでウエストマークすることで女性らしいシルエットをさらに強調させる。ボディの力強い美しさを讃えた、今を生きる女性にふさわしい一着。
Photos:Fauve Bouwman Fashion Director:Yoshiko Kishimoto Hair:Jun Goto Makeup:Yuka Washizu Edit:Shomi Abe Text:Makoto Matsuoka