初期作から最新VR作品まで。雨宮庸介展@ワタリウム美術館(東京・外苑前)
「雨宮庸介展| まだ溶けてないほうのワタリウム美術館」が開催中。東京の美術館では初の個展となり、25年ぶりに公開される初期作など、代表作が一堂に会す。
雨宮庸介は1975年茨城県生まれ。山梨県在住。代表作のひとつ、2014-3314年のプロジェクト「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」では、リンゴや石や人間などのありふれたモチーフを扱いながら、超絶技巧や独自の話法などにより、いつのまにか違う位相に身をふれてしまう感覚や、認識のアクセルとブレーキを同時に踏み込むような体験を提供する。
本展は、ワタリウム美術館を舞台に制作された最新VR作品を中心としながらも、「溶けたりんごの彫刻」や「石巻13分」の記録映像、「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」のペーパーなど、雨宮の代表作を一堂に公開。
最新作のVR作品は、VRのヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかぶって体験するというもの。「VR はいまだ素人だけどVとRについては 25 年以上のベテラン」と話す雨宮らしく、通常「ここではないどこか」に行くためのHMDをあえて「どこかではないここ」に再注目させるためのデバイスとして定義し直したものだ。
2024年春に山梨県立美術館からはじまり、同年たてつづけに行われた、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「Kyoto Interchange」などで発表されたVR作品への取り組みの一年間の総決算というべき新作だ。
ワタリウム美術館という場所が作家にどう影響し、科学反応を起こすのか。東京の美術館での個展は初となる本展に、ぜひ注目を。
※掲載情報は1月2日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「雨宮庸介展| まだ溶けてないほうのワタリウム美術館」
会期/2024年 12月21日(土)〜2025年3月30日(日)
会場/ワタリウム美術館
住所/東京都渋谷区神宮前3-7-6
開館時間/11:00〜19:00
休館日/月曜日(1月13日、2月24日は開館)、12月30日〜1月3日
料金/大人 1,500円、大人ペア 2,600円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上の方・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方、および介助者(1名様まで)1,300円、小・中学生 500円
URL/www.watarium.co.jp/
Text:Akane Naniwa