北杜巡りの拠点に!自然と一つになる「THE NATURE 八ヶ岳」で気軽にアウトドア体験
東京から約2時間とアクセスのしやすさと標高1,000mの美しい自然が魅力の八ヶ岳南麓。近年では、山梨県北杜市(小淵沢や白州エリア)は移住組や二拠点生活をする感度の高い人たちが集まり、こだわり生産者におしゃれなカフェやレストラン、ショップが増えてきている注目エリアです。
そんな北杜の新たな宿泊施設として、2024年8月中旬にトレーラー型キャビン「THE NATURE 八ヶ岳」がオープンしました。キャンプに憧れるもテントは無理だし、ましてやキャンプ道具も持っていないド素人でも気軽に焚き火をしたり、アウトドア気分を味わえる絶好の新スポットを拠点に初秋の八ヶ岳の自然を堪能してきました。
トレーラー型キャビンと聞いて、いわゆるキャンピングカーなるものをイメージしていましたが、想像を遥かに超えてきました。外観も内装ももはや車ではなく林の中に佇むヴィラといった趣。黒を基調としたスタイリッシュなキャビンは、内も外も国産杉材をふんだんに用い、ナチュラルながらモダンな雰囲気。外で寝てると錯覚しそうなほど巨大な2面のガラス窓からは自然のパノラマが広がるメインベッドルーム、大きく開くガラス扉からウッドテラスへ続く、インドア&アウトドアリビング。そして、壁にはアートやアートブックがディスプレーされ、今どきなバイオエタノール暖炉も。
オーナーの大野修一さんは、もともと五つ星ラグジュアリーホテルに長年務めていただけあり、快適に贅沢な気分を味わえる、細部まで行き届いた設備や要素がありながらも、環境への配慮や自然の中での滞在を最大限に生かすいい意味でのほったらかしや不便さが共存していて、わがままゲストのツボをしっかり押さえています。
そもそもなぜトレーラー?というと、豊かな自然を感じる滞在体験としては、なにも自然を壊して造られた豪華なリゾートホテルである必要はなく、もっと自然に寄り添い、その恵みをダイレクトに感じられる宿泊施設があってよいはず、との思いから、自然の中に設置できるトレーラーハウスに注目し、THE NATURE 八ヶ岳に先立ち、2年半前に同敷地内にトレーラーハウス型宿泊施設のタイニーホテル THE NOMAD(ザ ノマド)をオープン。
簡易な工事で、電気、水道さえ整えれば簡単に設置できるため、地方の職人不足や建築費高騰、別荘廃屋化といった社会的課題に対応しながら、自然を壊さず環境にも優しい上に、すぐに暮らしが始められ、もし将来ライフスタイルが変わっても移動できるというサスティナブルという観点でも別荘や二拠点ライフの新たなスタイルとして意識の高い人たちの間で注目を集めているのだそう。
トレーラーというこのミニマルな空間で自然を堪能できる非日常体験が新鮮だという利用客からの声を受け、さらにスケールアップし進化させたのが、このTHE NATURE。THE NOMADでは食事も提供するホテルスタイルなのに対して、THE NATUREは民泊やバケーション・レンタルスタイルで、誰にも干渉されずに自分たちの時間軸で自由気ままに過ごしてもらうため、基本的に食事は自炊。
だからキャビン内のキッチンには、大型冷蔵庫や冷凍庫、最新の調理家電や調理器具、食器類も一通り必要なものがしっかり完備されている。さらに広いウッドテラスには、焚き火台兼バーベキューグリルも設置され、心ゆくまでバーベーキューや焚き火まで楽しめ、存分にキャンプ気分に浸れる。
そして、宿泊に関する手続きがスマホ一つで完結するのも便利。キャビンへの入室も事前にメールで送られるコードを入力して開錠。到着した瞬間から、プライベートな時間が始まります。焚き火やバーベキューをするのもどうぞご自由に。屋外の焚き火は21時までですが、炎の揺らぎに癒され足りないなら、寒い季節には屋内でバイオエタノール暖炉も事前申し込み(有料)にて使用できます。
キャビンは、主寝室と2段ベッドからなるTHE STAGE(ザ・ステージ)とメインとサブの2つの寝室を持つちょっと広めのTHE LOFT(ザ・ロフト)の2タイプ(それぞれ定員4名)。各1棟ずつ、敷地にゆったりと設置され、隣のキャビンとの距離も離れているので、気兼ねなく過ごせます。私が今回宿泊したのは奥まった木立の中にある<ザ・ステージ>。20平方メートルとは思えぬ、ゆったりとしたリラックス空間で、気分を変えてのワーケーションにもぴったり。デジタルデトックスできたら理想的ですが、Wifiも完備しているので、目の前に自然が広がる環境でのデスクワークは癒されつつしかもはかどりそう。
ディナーには、せっかくの環境なのでテラスで焚き火を起こして、野菜メインのバーベキューに挑戦。慣れぬ火加減の調整に手こずりつつも、のんびり火を育てながら、わいわいと調理するのもなかなか楽しい。
自炊派には、近隣農家さんのオーガニックの新鮮野菜をはじめとした地元食材を中心にいろいろ揃う、地元っこ行きつけのスーパー「ひまわり市場」や道の駅などで食材も調達できます。大いにテンションの上がるバーベーキューの後は、夜空を明るく照らす月の下で、揺らぐ炎を眺め、虫の声や風の音に耳を傾け、ダラダラと焚き火で作ったポップコーンをつまみにワインが進みます。
夜を夜らしく自然のあかりで過ごしていると、普段寝付きの悪いのに自然に眠くなるから不思議です。そんなテラスでの秋の夜長を感じた癒しのひとときでした。
ですが、自炊は面倒、どうせならゆっくりしたい、とことんラクしたいという方には、食事付きの宿泊プランを事前予約すれば、提携している近隣の美味しいお店からのデリバリーも可能ということで、一例をご紹介。
ディナーメニューは、白州でヴィーガンの無添加フードやナチュラルワインを提供するカフェレストラン「Pinch of Soul Vegan」のヴィーガンバーガー。実はここ、メイクアップアーティストとしても活躍する野田憲賢シェフが腕をふるうお店(なんと偶然にも20数年来の知人だった!)。毎週水曜は、青山のDOWN THE STAIRSにてVegan Wednesdaysの1日シェフとして店頭で調理し、土日には青山ファーマーズマーケットにフードトラック「POS KITCHEN〜 Somewhere」を出店しているのでこちらもチェックを。
季節限定シーズニングメキシカンバーガーとサイドディッシュのセット。タカキビとヒヨコ豆を使ったオリジナルのヴィーガンパテに、トマト、オニオン、アボガト、スプラウト、コリアンダーをサンドし、グリルド・トマトがベースの特製オリジナルソースとたっぷり添えて。バンズは小淵沢のパン屋「桑の実」の国産全粒粉小麦のヴィーガンブレッドを使用。サイドディッシュには、地元の無農薬リーフサラダに自家製オニオンドレッシング、コーンのサルササラダ、オーガニックポテトのガーリック&ローズマリーのグリルドポテトという罪悪感なく満足度高めなラインナップです。
翌日の朝食も、せっかくなら地元の美味しいブレックファーストを手軽に味わおうという時には、朝食付き宿泊プラン(事前予約)を利用するのもおすすめです。
朝は軽めにという方には、北杜のコーヒーと焼き菓子、リジェネラティブグッズを扱う「CAMILOTA」のマフィン&コーヒーのライトミールセット「Muffin Breakfast」。ヴィーガン、グルテンフリーを主に、長野県原村産の玄米粉を使用した焼きたての玄米マフィン。この日は、オーガニックトマトを使った自然の甘さを生かした自家製トマトジャムと、さつまいも抹茶の二種のフレーバー。食材の組み合わせやスパイスの使い方が独特です。ポットで提供するコーヒーも、背景のストーリーにこだわった「OVERVIEW COFFEE」の豆を使用。栽培方法を見直し、土壌の再生と気候変動の問題の解決へ寄与することをミッションに発足したスペシャルティコーヒーロースターなのだそう。
しっかり朝食を取りたいなら、オーガニックデリカテッセン「KOMA」のヘルシー料理のブレックファストボックス「Veggie Breakfast」を。
KOMAは、東京で会社生活を経た後、ロンドンの人気デリ「Ottolenghi」で料理を学び、ヘッドシェフを務めた小野絢子さんが帰国し、「Ottolenghi」「NOPI」で料理長を務めたポーランド人のパートナーDawid Nowosadzkiさんと共に立ち上げたお店。オリジナルに開発した山梨県産の大豆100%のフレッシュソイミートと地元の旬の野菜を中心にした体が整う、地中海〜中東料理をベースにしたヘルシーメニューが楽しめます。(ちなみに小野さんの実家は生信玄餅で有名な老舗和菓子処「金精軒」)
オリジナルのフレッシュソイミートを使った、北アフリカ、チュニジア発祥のイスラエル料理「シャクシュカ」に目玉焼きをトッピング。ココナッツミルクから作った自家製ココナッツヨーグルトソースを添えて。北杜産の野菜をふんだんに使ったサラダには、パウダー状のドライハーブにセサミが入った中東ではポピュラーなスパイスを。
もちろん、もっとサクッと簡単に済ませたい、夜中に小腹がすいてしまったという方には、部屋には冷凍食品やレトルト食品のパスタなども揃い、さらに地元のナチュラルワインやクラフトビールなどホテルのミニバー感覚で冷蔵庫にアルコール、ドリンクも用意されています(気が利いている!)。
美味しい食のデリバリーサービスだけでなく、今後、THE NATURE 八ヶ岳では、トレッキングや乗馬や星空観察、早朝ヨガセッションなど、八ヶ岳ならではの多彩なネイチャーアクティビティで心身の健やかさを取り戻せるリトリートプログラムを発信していく。そして、八ヶ岳を皮切りに、今後、福島、ニセコなど全国の豊かな自然あふれる土地にオープン、展開予定。日本の美しい自然を活かすトレーラー型のパノラマキャビンでの宿泊体験を通して、自然と一体化するような非日常体験を味わってもらい、ウェルネスツーリズムによる地方創生を目指していくのだそう。
また、このトレーラー型キャビンは購入も可能なので、二拠点生活を考えている人にとって、すぐに暮らしが始められる上に、サステナブルかつ新しい別荘の形として検討してみるのも良さそうです。
THE NATURE 八ヶ岳
住所/山梨県北杜市大泉町谷戸8599
URL/https://the-nature.life/yatsugatake
北杜めぐりの近隣おすすめスポット
知らなかったキース・ヘリングの本質に触れる
「中村キース・ヘリング美術館」
2007年のオープン以来、八ヶ岳からキース・ヘリングの作品や活動を紹介してきた中村キース・ヘリング美術館。大自然に溶け込みながらもアートのような存在感を放つ現代建築は「混沌から希望へ」をテーマに北川原温が設計。誰もが見たことのあるポップでキャッチーな作風の奥に潜む狂気や生と死、ストリートアート、子供のためのワークショップといったビジュアルコミュニケーションを通じて、キース・ヘリングが社会に発信してきたメッセージや彼の本質に触れた気がしました。
中村キース・ヘリング美術館
住所/山梨県北杜市小淵沢町10249-7
開館時間/9:00〜17:00(入館16:30まで)
URL/https://www.nakamura-haring.com/
素材に徹底的にこだわる
「金精軒」の生信玄餅をお土産に!
前述の「KOMA」小野さんのご実家でもある和菓子店「金精軒」。甲州街道の宿場町、台ヶ原宿の旅籠が菓子店になって120年という店構えからは老舗の風格が漂う。山梨名物としてお土産の定番、信玄餅も金精軒では、防腐剤、合成保存料を不使用の優しい素朴な味わいが自慢です。
なかでも極上生信玄餅は山梨県産の梨北米だけを用い、砂糖を極力減らし、アルプスの天然水と地元産大豆のきな粉を使用し、米のおいしさを最大限に引き出している逸品。柔らかな食感とほのかな甘みで、もちだけも美味しく、きな粉黒蜜をかけても美味しい絶品スイーツでした。ちなみに、道路を挟んだお向かいは、こちらも300年の歴史を持つ山梨の銘酒「七賢」の酒蔵。
台ヶ原金精軒
住所/山梨県北杜市白州町台ヶ原2211
TEL/0551-35-2246
営業時間/9:00〜17:00
定休日/木曜・元日
URL/https://kinseiken.co.jp/
こちらの和菓子店「金精軒」のほど近くに(駐車場は共通)デリカテッセン「KOMA」の店舗も!
住所/山梨県北杜市白州町台ヶ原149-1
TEL/0551-30-9023
林の中で至福のコーヒータイムを
「terasaki coffee kobuchisawa」
甲府が本店の、自家焙煎の浅煎りスペシャルティコーヒー&エスプレッソ専門店の小淵沢店。自然に囲まれながら、ほんのり漂うコーヒーの香りがたまりません。世界観ごとゆっくりと味わってほしい。
terasaki coffee kobuchisawa
住所/山梨県北杜市小淵沢町10184-2
TEL/0551-33-9590
営業時間/9:30〜16:00(10〜3月)〜17:00(4〜9月)
定休日/木曜
Instagram @terasakicoffee_kobuchisawa
地元の憩いの場的な人気カフェ「sundaysfood」
北杜カルチャーの発信地、ギャラリートラックスのすぐ近くにある、クラフト感たっぷりの外観が目を引くカフェ。甲斐駒ヶ岳を一望するロケーションで、美味しいナチュラルワインとお料理を。兵庫県から移住したオーナーが作るお好み焼きが実は人気だとか。
sundaysfood
住所/山梨県北杜市高根町五町田1227-1
TEL/0551-88-9011
営業時間/9:00〜15:00(L.O.)
定休日/日曜、月曜
Instagram @sun.days.food
ナチュラルワインを調達するなら、信頼のセレクト「Soif」
生産者の想いの込められた、その土地が純粋に表現された、ヨーロッパ産のナチュラルワインを中心に厳選して扱う、北杜市長坂町にある自然派ワインショップ「Soif」も北杜にいったらぜひ立ち寄りたいお店。
Soif
住所/北杜市長坂町長坂上条2539-43
営業時間/11:00〜19:00
定休日/水曜・不定休
URL/https://www.soif.jp/
Text:Masumi Sasaki