SEVENTEENのエスクプスや清野菜名が来場「Loewe」2025年春夏コレクションの削ぎ落として生まれた曲線美
ロエベ(Loewe)は、パリにて2025年春夏コレクションを発表した。会場となったヴァンセンヌ城の中庭には、SEVENTEENのエスクプスやグローバルブランドアンバサダーのテイラー・ラッセル、バイフォーンのほか、日本から清野菜名が来場した。
ショースペースの外壁には、バッハの楽譜が描かれていた。そんな大胆なファサードに対して、会場内は真っ白でミニマルな空間。中央にはイギリスの現代美術作家、トレイシー・エミンによる彫刻が置かれ、静かに空間を支配していた。「あらゆるノイズを取り除いたとき、何が起きるか」。今季のショーは、この問いかけが起点となる。
ジョナサン・アンダーソンは、本コレクションでラディカルに削ぎ落とすことにフォーカスし、精巧な構造技術の探求によって“輪郭線”を軽やかに映し出した。印象的だったのは、繊細なシルクを使用し、内側にクリノリンのような骨組みやワイヤリングを施した花柄のドレス。モデルの動きと合わせてゆるやかな弾みを見せ、そこから流れるように続く裾が風に乗って柔らかく揺れ動く。
フレアのシルエットや動きのあるフォルムは、さまざま形や素材へと姿を変えて次々と登場した。テーラリングは曲線的な流動体として再解釈され、ドレープは流れるように線を描く。計算されたパターンやカッティング、厳密なアウトラインによって、シンプルながらもブランドらしいユニークなシルエットを生み出した。
生地を一つ一つ裂いて作られたものや、マザーオブパールの貝殻を服に落とし込んだものなど、職人技が光る繊細なピースも。
ロエベの本拠地にちなんで名付けられた台形型のバッグ「マドリード」も新たに発表。長く絶妙な細さの持ち手やくったりとやわらかなレザーを使用したボディは、今回のコレクションを体現するようなしなやかさ。
モーツァルトやショパンといった音楽家の肖像画や、マネの「笛を吹く少年」、ゴッホの「ひまわり」などの名画をフェザーの上にプリントしたTシャツは、コレクションに彩りを加えた。最後は会場の外壁に描かれた楽譜と同様に、バッハの肖像画をプリントしたルックで締めくくる。
ジョナサン・アンダーソンが洋服を削ぎ落として新たな息吹をもたらしたシルエットは、「あらゆるノイズ」を取り除いたときに聞こえてくるメロディやリズムのよう。削ぎ落としてもなお、彼でしか表現できないユーモアのあるクリエイションが顕在しているのであった。
Loewe
ロエベ ジャパン クライアントサービス
TEL/03-6215-6116
URL/www.loewe.com
Text: Makoto Matsuoka