BTSのJINやNewJeansのハニも来場。“さりげない壮大さ”がテーマの「Gucci」2025年 春夏 ウィメンズコレクション
グッチ(Gucci)は、2024年9月22日に2025年 春夏 ウィメンズコレクションをトリエンナーレ・ミラノ・デザイン・ミュージアムで発表。新たにグローバル・アンバサダーに加わったBTSのJINをはじめ、NewJeansのハニ、ガルフ、ダコタ・ジョンソン、デボラ・ハリーなど豪華セレブリティがフロントロウで見守る中、ランウェイ形式のショーが行われた。
会場となったのは、6月にメンズコレクションを発表したのと同じトリエンナーレ・ミラノ・デザイン・ミュージアム。場内はブランドを象徴する鮮やかな“グッチ ロッソ アンコーラ”のランウェイを中心に、複数の空間で仕切られており、奥に進むにつれホワイト、イエロー、オレンジ、深紅の“グッチ ロッソ アンコーラ”へと変化。夏時期の夕暮れに至るまでの時の流れを視覚的に表現した。コレクションノートによると、クリエイティブ・ディレクターを務めるサバト・デ・サルノにとって、夕暮れに象徴される二度とない瞬間こそが、誰しもにとって自分自身を見出せる瞬間であり、本コレクションはそんなかげがえのない瞬間を称えるものだという。
コレクションタイトルにもなった「casual grandeur(さりげない壮大さ)」とは、これまでサバト・デ・サルノがこだわり続けてきたテーラリングやランジェリー、レザー、1960年代のシルエットを通じて形作られるものであり、グッチの伝統を絶え間なく探求すること、そして真摯に向き合うという彼の意思が込められている。
場内にミッキーブランコ&Kelsey Luの『French Lessons』が流れると、ショーはスタート。ファーストルックは、メンズライクな短丈のワークジャケットと腰履きのワイドパンツを合わせたシンプルなルック。パンツの裾がスニーカーに被さるように山型にカットされている。矢継ぎ早に、“ウェブストライプ”を配したタンクトップとワイドパンツ、さらに、ヘムラインにギャザーを寄せたホルダーネックのワンピースが続く。アクセサリーとして共通するのが、バンブー型のネックレスやブレスレットだ。これらの“バンブー”モチーフは、先述した伝統への探究心を示すものであり、これ以外にも「グッチ バンブー 1947」のオリジナルバッグに加え、レザーやラッカー、アクセサリガラスなどでアレンジした小物に応用されるなど、コレクションを通じて多方に散見された。
また、サバト・デ・サルノが得意とするランジェリーから着想を得たスリップドレスもいくつかのバリエーションで登場。精緻なレースディテールが目を引くシアーなドレスは、レザーグローブやホースビットのロングブーツといったハードなアクセサリーと合わせることで、フェティッシュでありながら女性の力強さを添えている。ヘッドウェアとして多用されていたスカーフには、イラストレーターのヴィットリオ・アッコルネロ・デ・テスタが描き下ろしたオリジナルの「フローラ」を採用。グラデーションカラーのサングラスとのコンビが、60年代のムードを加速させる。
前任者のミケーレに比べて、アイコンモチーフは控えめな印象だが、それでも要所で用いられていた。中盤以降に登場していたワンピースやジャケット&ショートパンツなどには、“バンブー”モチーフをグラフィカルに再解釈したオリジナルパターンをプリント。コンパクトで構築的なシルエットは60年代のスタイルを踏襲しており、小物使いも含めたクラシカルなリゾートスタイルは、永遠のスタイルアイコンであり、ジョン・F・ケネディ夫人のジャクリーン・ケネディのスタイルを彷彿とさせる。また、ショーの終盤で3パターンほど披露されたラフィア素材をベースに、ブラウンレザーでトリミングした一連のアイテムも強く印象に残った。
本コレクションのキーモチーフとなった“バンブー”に関しては、ブランドの日本上陸60周年を記念したコラボレーションプロジェクトの一環として、日本のアーティストがヴィンテージバッグを再生したワンオフの「グッチ バンブー1947」バッグも予定されている。他にも、ブランドを代表する“ホースビット”は、ローファー、プラットフォーム、クリーパー、バレリーナ、アンクルブーツといった幅広いフットウエアに用いられている。
ショーの最終盤には、裾が引きずるほど長い、超オーバーサイズのコートが登場。ピークドラペルのチェスターコートやファットスリーブのバルマカーンなど全5タイプが、クラシックなGGパターンやバンブー”モチーフプリントなどで披露された。
フィナーレでは、1980年代〜90年代にかけて活躍したイタリアの女性シンガー、マリーナ・フィオルダリーゾのヒット曲「Non Voglio Mica La Luna」が流れる中、この日登場したモデルたちが揃ってランウェイを歩いた後に、サバト・デ・サルノも後を続く。カンツォーネ風の80’sポップスは、今っぽいクールネスとは程遠いものであったが、会場の一体感も含めて多幸感や祝祭的なムードを盛り上げるには、これ以上ない選曲であった。約1年前、自身のデビューコレクションを「ancora(もう一度)」と銘打ち、「もう一度グッチを好きになってほしい」と語っていたサバト・デ・サルノ。フィナーレに登場した本人の満足そうな笑顔や観客の好意的な反応は、前途洋々な新生グッチの未来を予感させた。
GUCCI
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Text:Tetsuya Sato