フィリップ・パレーノ、国内最大規模の個展 @ 箱根・ポーラ美術館 | Numero TOKYO
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フィリップ・パレーノ、国内最大規模の個展 @ 箱根・ポーラ美術館

 『私の部屋は金魚鉢』2024年 Courtesy of the artist Photo: Ken Kato
『私の部屋は金魚鉢』2024年 Courtesy of the artist Photo: Ken Kato

フィリップ・パレーノはフランスを拠点に活躍するアーティスト。現在、箱根のポーラ美術館にて、国内では最大規模となる個展「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」が開催されている。初期作品から初公開のインスタレーションなど、パレーノの多様な表現が感じられる構成となっており、同館への新収蔵となる代表作の映像作品『マリリン』も公開している。2024年12月1日まで。

『マリリン』2012年 ポーラ美術館 Photo: Ken Kato
『マリリン』2012年 ポーラ美術館 Photo: Ken Kato

映像、音、彫刻、オブジェ、テキストやドローイングなど、さまざまな手法で作品を手がけるフィリップ・パレーノ。ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センター、テート・モダンなどでも個展を開催し、世界で注目を集めるアーティストだ。

日本では2019年に東京・ワタリウム美術館にて「オブフェが語りはじめると」(※1)を開催。そして2025年に開催される国際現代美術展「岡山芸術交流2025」ではアーティスティック・ディレクターに選任されている。

(※1)参考記事:Numero.jp「見逃せない!フィリップ・パレーノの日本初個展」

たゆたうバルーンの魚、ひとりでに奏でるピアノ、点滅するランプ、大きなスクリーンの映像。現実とフィクションと仮想の境界が曖昧になるような、そしてどこか懐かしさを感じる光景が現れる。AIなどの先進技術を用いながらも、バルーンやピアノ、ランプなど、身近なオブジェを取り入れ、ノスタルジックで、温かみのある世界。ポーラ美術館の展示室の大きな窓からは木々が見え、まるで作品の一部のよう。屋外には太陽を追跡して光を反射するミラー作品の展示も。

『ヘリオトロープ』2023/2024年 Courtesy of the artist and Esther Schipper, Berlin/Paris/Seoul Photo: Ken Kato
『ヘリオトロープ』2023/2024年 Courtesy of the artist and Esther Schipper, Berlin/Paris/Seoul Photo: Ken Kato

パレーノは、さまざまな建築家、音楽家、アーティストたちと共同で作品を生み出してきた。彼は展覧会を一つのメディアとして捉えており、自身の展覧会を「カメラのない映画」と形容することも。その作品での体験は、まるで舞台装置に入り込むようで、そして自分は観客なのか、演者なのか、不思議な気持ちになるかもしれない。

その活動は多岐にわたり、近年はルイ・ヴィトンのウィメンズコレクションのショーの舞台美術にも参加している。(※2)

(※2)参考記事:Numero.jp「ジェスキエールが描く未来への旅「ルイ・ヴィトン」 2024秋冬コレクション」 

『ふきだし(ブロンズ)』2024年 Courtesy of the artist Photo: Ken Kato
『ふきだし(ブロンズ)』2024年 Courtesy of the artist Photo: Ken Kato

芸術とはどのように体験されるべきなのか。そんな問いかけを続けるパレーノの作品を体感できる貴重な大規模個展。ぜひ、ポーラ美術館を訪れて、ゆっくりと楽しんでほしい。

フィリップ・パレーノ:この場所、あの空
期間/2024年6月8日(土)~12月1日(日)会期中無休
会場/ポーラ美術館 展示室1、2、5、屋外
住所/神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
URL/www.polamuseum.or.jp/sp/philippe-pareno/
※詳細は公式Webサイトをご確認ください。

Text:Hiromi Mikuni

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