能登半島のさいはて=先端で出合う「奥能登国際芸術祭2023」
能登半島の先端に位置する石川県珠洲(すず)市で、14ヵ国より59組のアーティストが参加する「奥能登国際芸術祭2023」が11月12日(日)まで開催中。アーティストたちが珠洲という場所に向き合い、それぞれの地域に根差して制作した作品が展示されている。さらには一期一会のパフォーミングアーツ、祭りや食などの伝統文化など、能登半島を回りながら地域とアートに出合える芸術祭だ。
2017年、2021年に続き、今年で3回目となる「奥能登国際芸術祭2023」。作品展示マップを眺めると、作品以外に塩田の印がいくつもある。珠洲市には、日本で唯一、古代から続く「揚げ浜式製塩」が守り継がれているという。塩田千春の『時を運ぶ船』には、塩田に敷き詰める砂を運ぶために使われた砂取船が用いられている。
かつての小学校を改修した「スズ・シアター・ミュージアム」は、市内の民具を保存・調査・展示する博物館と、現代美術作家のアート作品を展示する美術館が融合した、これまでにないかたちのミュージアム。さらに9月には、建築家・坂茂が建築設計した「潮騒レストラン」もオープン。
旧保育所の体育館にあるのは、カールステン・ニコライのインスタレーション。アルミの円盤にテニスボールがあたると賑やかな音が鳴る。その隣には彼が選んだ子どもの本が展示された絵本の部屋も。
中世日本を代表する焼き物「珠洲焼」と、自身のルーツでもある景徳鎮の磁器を用いた作品を手がけたのはリュウ・ジャンファ。2017年には、まるで流れ着いたかのように海岸に展示され、現在は珠洲焼資料館に設置されている。
(参考記事)Numero.jp「劉建華(リュウ・ジェンホァ)中空を注ぐ」@十和田市現代美術館へ
そのほか、週末を中心にパフォーミングアーツやワークショップなども多数展開。10月7〜9日は、衣装を手がけるひびのこづえと、ダンサー・振付家の島地保武、音楽家の小野龍一、オーディションで集ったダンサーたちによる「Come and Go」が公開される。
かつての学校や保育園、廃線跡、住民とのプロジェクトや、海岸や野営地、漁港で。かつて日本海の先端として栄えた歴史や、豊かな文化が残る珠洲という地で、ここでしか出合えない時間を共有してほしい。
また、能登半島の10月は秋祭りが多数開催される。神輿を先導する巨大な奉燈「キリコ」が登場する、日本遺産にも認定された「キリコ祭り」もぜひ。様々な情報が集う公式HPで、詳細をチェックして。
奥能登国際芸術祭2023
期間/2023年9月23日(土)〜11月12日(日)毎木曜日休館
会場/石川県珠洲市全域
URL/oku-noto.jp
Text:Hiromi Mikuni