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【連載】「ニュースから知る、世界の仕組み」 vol.49 ドラマ『離婚しようよ』が世界的ヒット

Sumally Founder & CEOの山本憲資による連載「ニュースから知る、世界の仕組み」。アートや音楽、食への造詣が深い彼ならではの視点で、ニュースの裏側を解説します。

vol.49 Netflixシリーズ『離婚しようよ』がグローバルヒット

Netflixシリーズ『離婚しようよ』独占配信中
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Netflixで先日より配信されている『離婚しようよ』、面白くてあっという間に観終わってしまっていました。

ドラマ『離婚しようよ』、Netflix国内1位&世界10位 TBS初 香港・台湾でも人気

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2307/13/news126.html

宮藤官九郎と大石静の2人での“くどうしずか”スタイルでの共同脚本、1話ごととかではなく、シーンごとに細々とお互いで書き分けて作られたとのこと、結果的に話の筋は大石静さんのテイストが6〜7割程度、逆に演出にはクドカンのエッセンスが多めに散りばめられている印象でした。主演の松坂桃李、仲里依紗の2人をはじめとする登場人物の多くが虜になっている選挙の熱さとサバサバとした人生のコントラストが際立っていて、よくできていたなあと。今っぽいハッピーエンドのオチも好きでした。

今回の作品はTBSの制作で、担当の磯山晶プロデューサーが“編集者”的にもおそらくめちゃくちゃ優秀で、普通はこのクラスの脚本家2人を使ってもこうはならないところ、このバランスのイメージの落とし所が当初からある程度はできていて、そもそもここを目指して制作していったのだろうなとひしひし伝わってきました。

ある種まともな弁護士役を演じた古田新太とか、やり過ぎまではいかない寸止め感の効いた受け入れやすいクドカンテイストはなかなか贅沢なもので、誰にでもこの塩梅のコントロールをできるものではないはずです。議員秘書役だった尾美としのりもその象徴、皆、怪演というより快演でした。

クドカンも1人で手掛ける作品の場合は、そして舞台の脚本、演出ならもっと自身のエンジンを蒸すかんじでそれはそれで愉しめるものだと思いますが、今回のようにまた別の切り口でマスに向き合わざるを得ない側面のある仕事に取り組むと、結果的に単体の仕事にも客観性を入れ込むみたいな観点ではいい影響が出る部分があるかもしれないな、と思ったりもしました。

先日、東京芸術劇場で上演されていたNODA・MAPの最新舞台『兎、波を走る』も観たのですが、野田さんの職人芸を愉しむという意味ではよくは出来ていたなと思いつつ、個人的には前作『フェイクスピア』の方が好みだったところもありました。

もし5年に一度くらいでも野田さんがテレビドラマの演出を手掛けたりなどされていたら、分かりやすさという目線ではまた別物の舞台を作っていたところもあったかもしれないなとふと思ったりもしたのでした。

今回の『離婚しようよ』の予算は通常のテレビドラマと比較して、バカみたいに多額だったわけではないながら、なかなかいわゆるテレビドラマだとこうはならない気もするのはどうしてなのでしょうか。一話一話ごとに視聴率と睨めっこして作らなくてよかったり、キャスティングも自由にできたりスポンサーへの配慮がいらなかったりの部分が影響する部分があるのかもしれません。

上にも書きましたが今回はテレビ局のTBSが制作を手掛けており、自社の既存IPの活用でない形で配信のみという今回のシリーズを手掛けたのは、制作スタジオとしてもグローバルに出て行こうとしている流れの試金石的な位置付けでもあるはずで、その部分がどうなっていくのかもそれなりに気になります。

テレビはこうはならない、といいつつも、今月から放送がはじまった同じくTBSの日曜劇場の連続ドラマ『VIVANT』は、豪華キャスト、モンゴルロケから爆破シーンと通常の連ドラの3倍程度の予算がかけられているそうで、クオリティが高くて驚きました。少なくともアジア圏では通用するレベルのコンテンツに仕上がっている印象で、配信ドラマでグローバルに戦うことで、結果的に通常のドラマのクオリティにも影響を与えていくところもあるのかもしれません。

Netflixシリーズ『離婚しようよ』
独占配信中
https://www.netflix.com/jp/title/81476361

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Text:Kensuke Yamamoto Edit:Chiho Inoue

Profile

山本憲資Kensuke Yamamoto 1981年、兵庫県神戸市出身。電通に入社。コンデナスト・ジャパン社に転職しGQ JAPANの編集者として活躍。その後、独立して「サマリー」を設立。スマホ収納サービス「サマリーポケット」が好評。

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