6つの街角スナップ! 私とドレスの関係
春の訪れとともに高まるドレスを着たい気持ち。そこで自分らしいスタイリングを楽しむスタイリスト、モデル、ショップオーナーたちを街角スナップ!ドレスの選び方やデイリーに着こなすポイントについて話を聞いた。あなたらしい一着を探しに行こう。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年5月号掲載)
【モデル 小田貴子 & 小田寛子】
68組のツインを起用し話題となったグッチの2023年春夏コレクションに登場し脚光を浴びた小田貴子&小田寛子。私服の着こなしについては互いに異なり、それぞれ独自のスタイルを楽しんでいる様子。
POINT 01
シンプルに一枚で着たい派
「これはヴィンテージショップで購入したアルマーニのドレス。シンプルながらも背中が開いているデザインがセクシーで惹かれました。最近はスタンダードに一枚で着るのが好き。カラーはモノトーンで特にブラックが多いです。他のアイテムをプラスするより素の要素を出すことで思考もシンプルになっているような気がします。同じアイテムを買ってもお互い着こなし方が違うんです。貴子はメンズライクに、私は女性らしい要素を必ず入れています。二人とも幼い頃からそのスタイルは変わらないですね」(寛子)
POINT 01
ドレスはあえて腰に巻いてアクセントをつける
「ドレスはそのまま着るのではなく、袖を通さず腰部分で巻いてアクセントをつけるスタイルにハマり中。私の体形に合っているんだと思います。持っているドレスの数は少ないほうだと思いますが、その中で今日はどう変形させて着てみようかと考えるのが楽しいですね」(貴子)
POINT 02
柄×柄で攻め込む
「このドレスは世田谷のヴィンテージショップ『tahlia store (タリア ストア)』で購入。袖部分にボリュームがありアニマル柄で強めのデザインですが、そこへさらに柄のトップを合わせて攻め込んでみる。カラーのトーンを揃えれば意外にまとまりが出ます」(貴子)
左:小田貴子(おだ・たかこ)、右:小田寛子(おだ・ひろこ)。1992年生まれ、新潟県出身。モード誌やランウェイショーを中心に幅広く活躍。「ツイン」をテーマとしたグッチの2023年春夏コレクションのでモデルに抜擢され、いま注目のツインモデル。Instagram:@takako_oda @ohhiro
【モデル、コラージュアーティスト 花梨】
モデルとして活躍しながらコラージュアートで独自の世界を創作する花梨。無類の古着好きで、この季節からほぼドレスを着ているという彼女のドレス愛に迫る。
POINT 01
レイヤードを楽しむのが鍵
「春先からほぼ毎日の確率でドレスを着ています。これは代官山のヴィンテージショップ『jeanne valet(ジャンヌバレ)』で買ったもので実は、メンズなんです。おそらく60年代くらいに宗教のユニフォームとして男性が着ていたそうです。しっかりした生地と袖口のレース使いがお気に入り。スタイリングは基本レイヤードが多く、真冬はドレス×ドレスで着たりもします。この時期はベストやデニムに合わせて、きれいめになりすぎないようにバランスを考えます。夏でも一枚で着るよりキャミソールを重ねてカジュアルに着たいかも」
POINT 02
お手本にするのは漫画家 大島弓子の世界
「ドレスは30着くらい持っていますが、ほとんどがロング丈で広がりのある大きめのデザインです。なぜ好きなのかをさかのぼると、漫画家の大島弓子さんが描く女性像が大好きで影響を受けているように思います。パフスリーブにボリュームがあり、ウエストから広がるデザイン。見た目の世界観はガーリーなんですが、ストーリーに出てくる台詞が意外に冷厳で(笑)。そのギャップを私自身のスタイルに落とし込むのが楽しいんです」
(かりん) 1997年生まれ、東京都出身。中学2年の頃からコラージュを作り始める。モデルとしての活動のほか、コラージュアーティストとして国内外のアーティストやメディアにアートワークを提供を行い、個展も開催。今年4月21日公開の映画『大阪古着日和』のヒロイン役で俳優デビュー。Instagram:@karin_works_
【プロップスタイリスト、フォトグラファー 早野アレックス】
学生時代に衣装デザインに興味を持ち、現在はプロップスタイリストとして活動しながらプロップ制作やリメイク、動画編集、写真撮影などすべてを自らの手で作り上げてしまう早野アレックス。自身もドレスも描く物語の世界観に登場する一つとして捉えている。
POINT 01
スタイリングのテーマは“物語に出てきそうな人”の装い
「高校時代から映画衣装がとても好きで、衣装デザイナーをメモしていたんです。その影響もあってか、コスチュームのようなデザインのドレスが多いです。通年のコーディネートのテーマは“物語に出てきそうな人の服”なんですね。『この子はどんな物語に出てくるかな』と想像しながらドレスを選んでいます。だから私もその物語の中の一人。自分に似合うか似合わないかを気にしないようにしていて、小物を合わせるときも後からピースのようにその世界観に当てはめていくイメージです。海外の小さなオンラインショップ『Ramonas』で見つけたこのドレスは、シックなピクニックにフランスパンを持って出かける情景が浮かびました」
POINT 02
黒一色ものは買わない! カラフルを全身で纏う
「大学時代の頃から黒一色の洋服を買わないと決めています。黒を着ているときの自分が怠け者に思えてカッコよくキマらないんです。なぜか黒の洋服だけどんどん毛玉だらけになってしまって私には合ってないみたい。私は柄物かカラフルなものだけを着ると決めて組み立てるほうがファッションを全力で楽しめる。今後は布染めやテキスタイルにもチャレンジしてすべてオリジナルでデザインしたドレスを作りたいと思っています」
(はやの・あれっくす) 1992年生まれ、愛知県出身。武蔵野美術大学卒業後、ファッションスタイリストを経て、プロップスタイリングを学ぶために渡英。ロンドンでアシスタントを経験しながら写真を学ぶ。帰国後は広告やCMを中心にプロップスタイリスト、フォトグラファーとして活動中。Instagram:@alexhayano
【SOLオーナー 関口かおり】
日の光を浴びることに幸せを感じ、“太陽”を指す「SOL」を自身のショップに名付けたオーナーの関口かおり。彼女が愛するのは輝きのあるカラーリング。エレガンスを大事にするドレスの着こなしとは。
POINT 01
年代をMIXして今の空気感を取り入れる
「基本的に60年代のものから新しいものまで年代に関係なく直感的に買い付けています。私自身のスタイリングも同様です。共通しているのは鮮やかなカラーが多いところ。今回の朱色のドレスは80〜90年代のヨーロッパ製のものです。首元のフリルやシルエットもドレッシーなデザインなので、メゾンブランドの白のジャケットとシルバーブーツを合わせてギャップをつくれば日常でも楽しめます。最新コレクションは必ずチェックして、インスピレーションをもらいながらヴィンテージを合わせていますね。フルヴィンテージでスタイリングする際も年代をミックスして“今の気分”を取り入れることを大切にしています」
POINT 02
スタイルをよく見せるスリットデザイン一択
「私は身長が低めなので、メリハリのあるスタイルに導けるかを常に考えています。だからドレスは絶対にスリットの入ったデザインを選びます! スリットから足を見せることで女性らしいシルエットをつくってくれる。ウエスト周りがシェイプされているシルエットやロング丈でできるだけ足長効果を取り入れることも欠かせません」
POINT 03
デイリードレスはマストでレイヤード!
「結婚式やディナーではドレッシーなキャミワンピースなどを一枚でバシッとキメたい派ですが、それを普段着として着てしまうのも好き。その場合は必ずジャケットとセットで羽織ったり、パンツに合わせたりレイヤードは欠かせません。大ぶりなアクセサリーを取り入れてエッジをきかせつつ、どんなスタイルにも必ず“エレガンス”を入れるようにしています」
(せきぐち・かおり) 約10年間にわたり都心のヴィンテージショップスタッフを経験後、2021年5月より自身がオーナーを務めるヴィンテージショップ『SOL』を東京・等々力にオープン。買い付けは主にアメリカで、皿や花瓶などの雑貨はメキシコまで足を運ぶことも。アイテムや年代・ジャンルは問わず自身の感性でセレクトしている。
SOL(ソル)
住所/東京都世田谷区等々力4-13-21 2F
TEL/070-9003-7730
営業時間/月〜金14:00〜19:00 土日祝 13:00〜19:00
定休日/水曜
Instagram:@s_o_l_pk
【スタイリスト 濱本愛弓】
ファッションの最前線で活躍し、最新トレンドを自身の流儀で楽しむスタイリストの濱本愛弓。大人でもトライできるミニドレスの選び方を教えてくれた。
POINT 01
ミニドレスを着こなすコツは素材感とカッティング
「20代後半の頃はロングドレスが多かったですが、30代になってミニ丈のものやショーツを買うことが増えました。なかなか挑戦できないと思う方もいると思いますが、選ぶポイントは素材感とカットワークに注目すること。今日着ているのはベロア生地で、深いVネックと太ももに大胆なカッティングが施されています。さらに10デニールのタイツで肌の出し方を調節すれば、露出しすぎずセクシーな雰囲気に。ジャケットやヒールでかっちりとまとめ上げることで大人なミニドレススタイルを楽しめると思います」
POINT 02
自分の体形に合ったアイテム探しをする
「トップとパンツのスタイルはどこかで締めるポイントをつくれますが、ドレスは区切りがないので自分の体形をよく見て合うか合わないかを選ぶことがポイントだと思います。私の場合はタイトめでスレンダーラインのタイプが合っているみたい。たくさん着て自分に合った一枚を見つけるのは、自分の体形を知ることにもつながるので面白いですよ」
POINT 03
もはや素材もシーズンレス! 自由に着たいものを着よう
「最近では夏にレザーやファーアイテムが登場したりと素材感もシーズンレスに変わってきています。今回のドレスはベロアでジャケットはツイード素材ですが、明るいカラーを選べば春先でも十分に楽しめます。デザイナーたちは作りたいものを作り、私たちは着たいものを着るというファッションの流れが来ているのかも」
(はまもと・あゆみ) 大阪の美容学校を卒業後、アパレル販売員を経験し、4年近くアシスタントを経て2018年に独立。モード誌やファッションメディアを中心に幅広く活躍中。Instagram:@ayumi6316
【PRANK PROJECT 奥村梨子 & mido】
今年2月に誕生したばかりの新ブランド「PRANK PROJECT」は一つのアイテムに数々のアイデアがちりばめられ、その日の気分によって形を変えられるデザイン性が魅力だ。PRのmidoとショップスタッフの奥村梨子に新作ドレスでそれぞれのスタイルを披露してもらった。
POINT 01
ミスマッチなものをあえてMIXする
「すべてレースとジャージー素材で作られているこのドレスは、ミスマッチなアイテムでどれだけレイヤードを楽しむかが鍵。中に着ているジャケットはロンパースになっているので合わせやすく、インナーとしても取り入れやすい。さらに強めのパープルカラーのトレンカを合わせて着飾りすぎず、あえてカジュアルな方向に落とし込んでみました」(mido)
POINT 02
スタイルに合わせてスリットを調節
「スリット部分がホックになっているので好みの開き具合に調節できます。思いっきり開けてクールなムードにしたり、すべて閉めて体のラインを強調する上品なスタイリングに仕上げても◎ どんなアプローチでもモードでエレガンスな雰囲気に仕上がります」(mido)
POINT 01
ドレスは崩して着こなしたい
「カジュアルなスタイルが多いので、ドレスも着崩して楽しみたいです。今回はヒールですが、スニーカーに合わせたりキャップをかぶれば一気に方向転換できます。“着こなす”より“どう着崩す”かが最近ハマっているスタイルです」(奥村梨子)
左:奥村梨子(おくむら・りこ)/PRANK PROJECT 青山旗艦店ショップスタッフ。右:mido(ミド) Instagram:@midoriohara/PR。“ミックス マッチ エレガンス”をテーマに、常識に縛られない大人の女性に向けて意外性と品の良さをミックスしたスタイル提案するメゾンスペシャルの新ブランド、PRANK PROJECT(プランク プロジェクト)は今年2月に青山にて旗艦店をオープン。
PRANK PROJECT(プランク プロジェクト)
住所/東京都港区南青山3-18-4
TEL/03-6455-4550
営業時間/12:00〜20:00
Instagram:@prankproject_official
Edit & Text:Saki Shibata