【連載】「ニュースから知る、世界の仕組み」 vol.44 Twitterの認証バッジ削除の謎
Sumally Founder & CEOの山本憲資による連載「ニュースから知る、世界の仕組み」。アートや音楽、食への造詣が深い彼ならではの視点で、ニュースの裏側を解説します。
vol.44 Twitter「認証バッジ」削除の謎
Twitterの著名人や企業、メディアなどが本人であることの証明として付けられていた青い認証バッジが、課金していないユーザーに対しては一斉に削除の扱いになったとつい先日ニュースになりました。
ツイッター、「認証バッジ」を削除 レディー・ガガやトランプ氏も
日本では月額980円を「Twitter Blue」と呼ばれるサブスクリプションに課金することで、認証バッジをアカウントに表示できるようになるのですが、この加入には本人確認が必要ないという、なかなかザルな仕様になっていることにまず驚きました。言うならば、お金さえ払えば誰でも青いバッジを付けてもらえる仕組みということです。
そしてこのBlueに課金するモチベーションは、そもそもは厳密な本人確認を経た著名人や名のあるメディアに(無償で)付与されている青いバッジがアカウントの横に表示されることで、他のユーザーが課金ユーザーアカウントを見たときに、さもTwitterに本人として認証されているという見え方が可能になることという認識でした。
ただ、今回そもそもの著名人など発信力高い人たちに付与されていたバッジを削除してしまったことで、青いバッジが毎月お金を払っています、というシグナリングにしかならなくなってしまっているはずで、この認証バッジ削除のアナウンスを見たときにさらに驚いたのでした。
Twitter Blueに毎月課金をしている有料加入者数は全世界で20万人弱程度と言われています。今回の削除のアクションは、その課金の効果をけっこうなパワーで無意味化してしまうかつ、Twitter Blue開始前からそもそもバッジの付与されていた発信力の高いユーザーのロイヤリティを削ぐようなアクションです。
果たしてそんな施策がなぜ行われてしまったのか、個人的にはかなり謎に感じていました。一説によると、そもそもオリジナルの青いバッジを付与されていたのは2万人弱と言われていて、今回のバッジ削除に際して有料に切り替えたのは数十人だったとのことです。この2万人のユーザーの有料ユーザーへの転換を意図していたものだとしたら、仮に50%がコンバージョンしても年間1.2億円程度の効果で、そこから課金ユーザーの離反まで想定すると、さすがにちょっとリスクが高すぎますよね……。
「認証バッジ」、一部復活 米ツイッター
https://www.afpbb.com/articles/-/3461241
いろいろ変だなと思っているうちに、なんと一部のユーザーの認証バッジが早速復活したと、ちょうど報道されていました。日本だとデジタル庁の河野大臣のバッジも復活したみたいで、フォロワー100万人以上のユーザーには再度付与されたとも言われていますが、実際はどうなのでしょう? 当然といえば当然の措置なのですが、そもそもなぜ削除しようという判断がなされたのかは、未だに僕には理解できていません。
僕のTwitterアカウントのフォロワー数は9,000人弱で、まぁ平均より多いかもしれないですが、インフルエンサーというほど多くもなく、InstagramやFacebookよりさらに気ままにもう10年以上続けています。この連載のありがたき読者のみなさま、@kensukey よかったらフォローしてみてください〜。
Text:Kensuke Yamamoto Edit:Chiho Inoue