EXILE NAOTOインタビュー「ブランドを続ける中で手にした経験と新たな視点は、パフォーマンスの魅力にもつながっていく」
EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのパフォーマーであり、HONEST BOYZ®️でも活躍するNAOTOが、クリエイティブディレクターを務めるブランド「STUDIO SEVEN」が来年7周年を迎える。アーティスト活動と並行しながら、着実に規模を拡大してきた「STUDIO SEVEN」のこれまでの歩みと、7年間の中で見えてきたこと、そしてこれからについて、彼にじっくり話を聞いた。
手探りで始まった服作り、クリエイターとの出会いから学んだこと
──まず「STUDIO SEVEN」の歴史を振り返りたいと思います。2015年秋冬に音楽・ダンス・ストリートカルチャーがバックボーンのブランドとして誕生しました。
「僕自身、ファッションが好きで、三代目のメンバー用に衣装を作ったことが始まりだったんです。そのときは、ブランドにしようとは考えていなくて、ただ、自分が作った証として『SEVEN』と名付けていました。“7”は三代目のメンバーの数でもあり、僕の人生の節目に登場する、ラッキーナンバーなんです。実は、2014年に『R.Y.U.S.E.I』で第56回日本レコード大賞を受賞したときの衣装も『SEVEN』でした。2015年にブランドを始めたとき、僕にとって大切な『SEVEN』をそのままブランド名にしようと決めました。『STUDIO』という言葉を加えたのは僕がパフォーマーだから。スタジオでリハーサルしたり、何かが生まれる場所はいつもスタジオだったので、僕にはスタジオという言葉がふさわしいと思って」
──2015年、三代目は初のドームツアー「三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2015 BLUE PLANET」を開催した時期でした。とても忙しかったのでは?
「ブランドを立ち上げた当初、素材ひとつ、刺繍やプリントの技法など、まずそれを覚えることが大変でした。服作りは、時間と労力、スタッフが必要な作業なので、かなりスケジュールは詰まっていましたけど、自分の好きなものを1つひとつ選択していく作業は楽しかったですね」
──1stコレクションから『HUMAN MADE®️』とのコラボレーションでした。
「『STUDIO SEVEN』はHIROさんの後押しに加え、NIGO®️さんとの親交がなければ生まれなかったと思います。NIGO®️さんは僕にとってレジェンドなので、ブランドの立ち上げからコラボレートできたことはとても光栄ですし、2018年にオープンした路面店『STUDIO SEVEN NAKAMEGURO』もNIGO®️さんにデザインしていただきました」
──NIGO®️さんとの交流の中で得たもの、学んだものはありましたか。
「たくさんあります。例えば、NIGO®️さんのアトリエに行くと、ドアノブやドアストッパーもカスタマイズしてあって、コンセントカバーひとつ、バスルームでさえもNIGO®️さんの世界観で構成されているんです。そのこだわりが服のデザインにつながっているんだなと思いましたし、クリエーションは遠い世界から引っ張ってくるものではなくて、普段の生活や、身の回りの全てから生まれるものなんだと感じました」
──他にも、「NEW BALANCE」「Maison MIHARA YASUHIRO」「HUNTING WORLD」「audio-technica」「UNITED ARROWS & SONS」など数多くのブランド・企業とのコラボレーションがありました。
「自分たちはアーティスト活動をする中で、過程や説得力はすごく大事にしていて、このコラボレートにも理由やストーリーがあるんです。高校の頃、三原康裕さんのショップSOSUによく通っていて、人生で初めて2万円以上の靴を買ったのもMIHARA YASUHIROのブーツでした。HUNTING WORLDのディレクターの相澤陽介さんとは、出身小学校が同じで、実家も○丁目まで同じくらい近いんですよ。そこから親交があってコラボレートさせていただくことになったり」
──GUとのコラボレートは、それとはまた違った流れだったんでしょうか。
「この出会いは衝撃でした。『STUDIO SEVEN』はEXILE NAOTOを知る方が手に取ってくださることが多いんですが、GUとのコラボでは、僕を全く知らない方にも届くんです。以前、プライベートで自然に囲まれたのんびりした場所を訪れたとき、外をぼんやり眺めていたら、これから畑仕事に行こうとして自転車を漕いでるおじいさんが、『GU×STUDIO SEVEN』のジャージを着てくださっていて。ここまで届いているんだと感動しました。僕らの何百倍もの規模だから、日本中にリーチするんですよ。それに、GUのみなさんのクリエイティブに対する姿勢や仕事の進め方にも感動しました。やっぱり、大きなブランドにはそれに値する理由があるんだと、『STUDIO SEVEN』があったから知ることができました」
――ブランドで培った経験が、パフォーマンスにプラスになったことは?
「僕だけじゃなくて、三代目のメンバーそれぞれがソロ活動で経験したことは、三代目として集まったときに、より視野の広さ、視点の面白さにつながって、三代目の魅力がより立体的で幅広いものになっていると思います」
食やライフスタイル、異業種とのコラボレーションで広がるクリエーション
──ミュージシャンが手がけるブランドとして、日本では屈指の規模だと思いますが、それは当初から想定していたんですか。
「ブランドを始めるなら、数年で終わる一過性のブランドにしたくはないと思っていました。こじんまりと展開するだけでは続けられないし、大きく広げすぎてもいけない。ブランドの成長とともに少しずつ規模の拡大を図りながら、とにかく続けることだけを目標に走ってきました。迷うこともあったし、その瞬間の最善を尽くして今があるという感覚ですね。7年が長いのか短いのかはわからないけれど、まずはブランドのアイコンである7周年を迎えられたことは、ひとつの節目になったと思います」
──これまでのアイテムの中で、思い出深いものは?
「現在のブランドロゴは、2018年に路面店をオープンするとき、NIGO®️さんにデザインしていただいたものです。それ以前に、僕の好きなネオンカラーでロゴをジェルプリントにしたアイテムを作ったんです。プリントのツヤと立体感、ネオンカラーが、ブランドイメージにハマったなという手応えがあって。パーカーとTシャツは1年を通じて展開したんですが、自分の中でブランドの方向性が見えたキーアイテムだったと思います」
──「STUDIO SEVEN」のクリエイティブディレクターとして7年。ブランドを始める前と今とで、ファッションの見方は変わりましたか。
「ブランドを続ける中で経験したことは、やっぱり楽しいことばかりではなくて。でも、どのブランドも経験していることなので、これがアパレルの世界なんだと、厳しさを噛み締めながら頑張ってきたところもありますね。僕は食やアートも好きで、3年前にはétéの庄司夏子さんとコラボレートしたりと、いろんな分野からもらった刺激がモチベーションになっています」
──ディフュージョンラインの「HONESTBOY®️」も、食とのコラボレーションがありましたね。
「『HONESTBOY®️』は、『STUDIO SEVEN』よりも、手が届きやすい価格帯で、ポップな世界観なんですが、肩肘張らずフットワークも軽いので、いろんなことにチャレンジできるんです。2年前には、VERDYと『HONEST DELI』という架空のフードショップをコンセプトにしたプロジェクトもあったり、これからも食とファッションを絡めた展開は考えています」
柔軟にチャレンジするから、手にできるものがある
──フットワークの軽さといえば、YouTubeの「EXILE NAOTO オネスト TV」でもファッションについてのコンテンツもありますよね。
「YouTubeチャンネルはスタートして2年なんですが、ダンスやファッション、いろんなことにチャレンジしています。昔だったらやらないことも、今はとりあえずやってみようと」
──スタッフの方から、NAOTOさんは周囲の意見を聞いて、取り入れることも多いと伺いました。
「ポジティブに捉えると柔軟だけど、反対に言うと優柔不断かもしれませんね。ダンスのことだったら経験値もあるし、EXILE、三代目のメンバーになるという夢を掴んだ自負もあるので、自分の中でひとつの正解があるんですが、ファッションはそれがない分、周囲の意見を聞きつつ、自分の目で見て情報を取り入れてチャレンジしようと思っています。もしそれが失敗したとしても、これでは結果が出なかったというデータが取れる。そんな挑戦をさせてくれるのもLDHという環境のおかげだし、ダンスを続ける中で身につけたものかもしれないですね」
──ダンスには、チャレンジ精神を養う効果もあるんですか。
「ダンスに限らず、1つのことに夢中になって結果を手にする経験は、何ものにも代えがたいと思います。努力が評価や結果につながると自信に繋がりますよね。何より大事なのはそれです」
──最後に、これからの『STUDIO SEVEN』の展望を教えてください。
「まずは7周年のアニバーサリーとして、今までにないコラボレーションを予定しています。これまで、自分の中で、このブランドとEXILE TRIBEの活動は全く別のものとして区別してきましたが、今回、新たな試みとして、GENERATIONS from EXILE TRIBEの佐野玲於と一緒にベロアのトラックスーツを作りました。トラックスーツはパフォーマーにとってユニフォームのようなものなんです。LDHで展開している『24karats』も、始まりはEXILEのリハーサルや衣装として着用していたベロアのトラックスーツだったんですが、僕らが継承する意味があるんじゃないかと。LDHは技術や経験を上の世代から下の世代に受け継ぐ伝統があって、そういうLDHのカルチャーをファッションに落とし込んでもいいんじゃないかと思っています。三代目は昨年10周年で、EXILEは今年20周年、『STUDIO SEVEN』は来年7周年なんですが、周年を盛り上げるのもLDHらしさなので、元旦には皆さんに喜んで頂けるような商品の発売があったり、色々と予定しています。『STUDIO SEVEN』も次は10周年を目標に、頑張っていこうと思っています」
STUDIO SEVEN NAKAMEGURO
住所/東京都目黒区青葉台 1-22-3
TEL/03-6303-2383
営業時間/12:00〜19:00
URL/https://www.seven-official.jp/
Photos : Masato Moriyama Hair : Go Utsugi (Parks) Makeup : Michiko Funabiki Interview&Text : Miho Matsuda Edit : Michie Mito