Culture / Feature
私たちが写真を撮る理由 vol.4 富田望生
普段は“撮られる側”の彼女たちはなぜ、自らカメラを構えシャッターを切るのか。ライフスタイルが一変した2020年。今年いちばん心に残った一枚とは。第四回は富田望生。(『Numéro TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年1・2月合併号)
いろんな感情を胸に切り取った海
今年は「とても人恋しくて」と、富田望生は話す。今までカメラを向ける先はもっぱら人だった。「おいしそうに食事する表情や何かに悩んでる横顔など、心の距離感が近い相手を撮ることが多くて。人を撮る機会が減ってしまったこの夏、自然を感じたくて、好きな海まで母に車で連れていってもらいました。その際に車内から撮った一枚です」。まばらな人影に非日常を感じた。「同時に悠然とした海——自然の動じなさも垣間見えたのが印象的でした」。
普段は人を撮るときも“自然さ”を大切に。「“おいしい?”“楽しい”など普段どおりの会話をすると、自然な表情が溢れ出す。その瞬間が最高なんです。一日も早く今の状況が過去になって、愛おしい人たちの一瞬を切り取れますように」
Text:Nao Kadokami
Profile
富田望生Miu Tomita
2000年生まれ。俳優。15年公開の映画『ソロモンの偽証』で注目を集める。主な出演作として、ドラマ『3年A組−今から皆さんは、人質です−』、『美食探偵』、NHK連続ドラマ小説『なつぞら』、映画『私がモテてどうすんだ』などがある。