パントビスコ × 剛力彩芽 対談「日常で触れる“やさしさ”のかたち」
連載「パントビスコの不都合研究所」でもおなじみ、マルチクリエイターのパントビスコが新刊『やさ村やさしの悩みを手放す108の言葉』を上梓。人気キャラの「やさ村やさし」さんによる癒しの名言をイラストと共におくる本書の出版を記念して、かねてから交流のある女優の剛力彩芽と対談。普段二人が感じている「やさしさ」とは?
パントビスコ「今日はお忙しいところありがとうございます」
剛力彩芽「こちらこそお久しぶりにお会いできて嬉しいです!」
パントビスコ「この対談は最初に似顔絵を描くことになっていまして」
剛力彩芽「そうですよね。絵心がないので本当に困ったものです(笑)」
パントビスコ「でもマスクをしているので顔の半分は描かなくて良いですね」
剛力彩芽「それも逆に難しそう!(笑)」
似顔絵、完成!
剛力彩芽画「パントビスコ」 / パントビスコ画「剛力彩芽」
(剛力彩芽)「わぁ、すごい! ちゃんとマスクしてる」
(パントビスコ)「目はやさ村やさしさんの目にしてみました。剛力さんが描いてくれた絵は、飲食店のキャラクターにいそうで可愛いですね」
「今回の本、楽しく拝見しました」
「ありがとうございます。皆さんの悩みや不安、モヤモヤを解決するものではなくて、何かを手放したり、ちょっとでも考え方が変わったりという心の変化のサポートができたらと思っています」
「私、キビ島キビシさんも意外と好きで。厳しいことを言っているんですけど、ごもっともですし、勇気をもらえるんですよ」
「そうですね、裏に愛情が隠れているキャラクターなので。ファンの方でもやさ村さん派とキビ島派に分れますね」
「剛力さんは、日常生活の中で人のやさしさを感じる瞬間ってありますか?」
「何だろうな〜…。あ、必ず『ありがとう』っていう人は素敵だなって思います。何に対してもありがとうって。何気なく発する人はやさしい人なんだろうなと感じますね」
「いつでも感謝の気持ちを伝えられる人は素敵ですよね」
「そういえば、この間舞台のお稽古で、自分ではそのつもりはないのですが疲れを見せていたみたいで。何気なく共演者の方からLINEをいただいて、その時にすごくやさしさを感じました。後々聞いたら、あの時彩芽ちゃん元気なさそうだったからって。『大丈夫? 何かあった?』って聞くのではなくて、あくまでも自分の要件で連絡をしてくださったのがとても嬉しかったですね」
「それは素敵なエピソードですね。やさ村やさしのキャラクターもそうなのですが、僕が思うやさしさの一つは押し付けるものではなくて、受け取った人がそう感じてくれたらいいな、くらいに思っているんです」
「それと、この間褒められてすごく嬉しかったのが、お手洗いの中にある洗面台を使ったら拭くようにしているのですが、コーラスの方に『誰も見ていなくてもやるのえらいね』と言ってくださって嬉しかったです。家では絶対にやらないんですけど(笑)」
「やさしい。もう一つ、僕が思うやさしさの要素に“自分がいないときに何かをする”というのが大きいのかなと思ってるんです。例えばプレゼントもそうですよね。物自体も嬉しいですけど、これをなぜ選んだかというストーリーも嬉しい。自分がいない時に、あれこれ考えてお店を探してくれたんだな、というやさしさ」
「確かにやさしいー!」
「剛力さんが先ほどおっしゃった、洗面台の話もそうです。いない時に感じるやさしさほど、嬉しいことないですよね」
「あぁ〜…本当ですね。こうやってやさしさを探すのっていいですね」
「何だか日本茶を飲みながら語りたくなるお話ですね」
「この本の中で、すごく好きな言葉があるんです。『引き出しがたくさんなくても、中に何が入っているかが大事なのさ』って。確かに!ってすごく思いました!」
「これは僕が常に思っていることなのですが、何でもできる器用な方っていますよね。絵も描けて、料理もできて、スポーツもできて…って。それは素晴らしいことですけれど、みんながみんなそうじゃない。一個でも好きなことがあったら、それが自分の身を助けることになったり、自信になるなぁと思って描きました」
「お芝居でもよく言われるんですよね。いっぱい引き出しがあったほうがいいよって。でも、これを見た瞬間に、別に引き出しが一個でもその中身が濃いものになるお芝居があってもいいな、とハッとしました。パントビスコさんはこういう言葉をどうやって考えていらっしゃるのですか?」
「よく『やさ村さんはパントビスコさん自身ですね』と言われることが多いのですが、僕はそんなにやさしくなくて、実はやさ村さんは僕がなりたい理想像なんです」
「そうなんですね〜! やさ村さんが一番なりたい人ですか?」
「そうですね。やさ村さんにもなりたいし、ゆるい犬のキャラクターのぺろちにもなりたいし、世相をバッサリ切るおばあちゃんキャラの二階堂ハツさんは素の自分が高齢者になった時にこんなこと言ってそうだな、というのはありますね」
「本当にいろいろなキャラクターに元気をもらったり癒されたりしています!」
「剛力さんが今出演中の舞台『No.9 -不滅の旋律-』 はどんな作品なんでしょう」
「ベートヴェンと彼の音楽と共に生きた人たちの物語です。傑作の森と言われた全盛期と、晩年の交響曲第9番が出来上がるまでを描いています。私はマリアという架空の人物で、ベートヴェンの側近として彼を支える女性を演じています」
「天才ベートーヴェンの人生はすごく観応えがありそうですね」
「ステージにはピアノが2台あって生演奏します。特に今、乗り越えなければならないことがある時代を生きている私たちにとっても響くお話だと思います」
「生の演技に生演奏、贅沢な時間ですね。なおさら感じるものが多そうです。絶対に伺います!」
『木下グループ presents No.9–不滅の旋律–』
公演期間/2020年12月13日(日)~2021年1月7日(木)
場所/TBS赤坂ACTシアター
演出/白井晃
脚本/中島かずき(劇団☆新感線)
音楽監督/三宅純
出演
稲垣吾郎/剛力彩芽
片桐仁、村川絵梨、前山剛久、
岡田義徳、深水元基、橋本淳、広澤草、小川ゲン、野坂弘、柴崎楓雅、
奥貫薫、羽場裕一、長谷川初範
やさ村やさしの悩みを手放す108の言葉
やさしい言葉で疲れた女子を癒やす謎の青年「やさ村やさし」が、不思議な旅へとエスコートし、心の重荷を手放す手助けをするというストーリー仕立て。ほっこり癒されたり、背中を押してくれる108の言葉をイラストとともにお届け。パントビスコ×やさ村やさしの対談も!
著者/パントビスコ
定価/¥1,200(税抜)
仕様/四六版 144ページ
発行/主婦の友社
www.amazon.co.jp/dp/4074446650
Photos: Koji Yamada Edit & Text: Yukiko Shinto
Special Thanks: Longrain TOKYO