SNSと上手に付き合えば、未来の展望が開けるよ。
本日10月28日発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2019年12月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズ レター。
インスタグラム(以下:インスタ)やフェイスブック(以下:FB)、ツイッターの利用者数は年々、増えているのは言わずもがな、です。私はインスタの投稿をFBとツイッターでもシェアするのですが、使用頻度は上昇中です。先月、インスタのいいね!の数が非表示になった時期がありました(いいね!してくれたフォロワー一覧は出るのですが、総数が非表示。数えるわけにもいかず、結果、把握しきれないという状態です)。どのぐらいの人にリーチをしたのか一瞬で把握できないというもどかしさ、これが数値の魔力だと気づきました。
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誰でも周囲からいいね! をもらうことはうれしいものです。今号では、実際に周りの人からいいね! と言われたものや褒められたもの、また褒められそうなものを集めてみました。さらには、SNS上だとアルゴリズムに操作され、自身の関心ある情報しか入ってこないという特性に反し、いろんなジャンルに精通したクリエイターたちに、新しい“いいね! な視点や動き、物や価値”を紹介してもらいました。ぜひ、知る喜びも味わってくださいね。
ところで、いつの頃からかインスタのアカウントページに広告という窓ができました。今回、この広告を体験してみました。まずはターゲットの誘導先を自身のプロフィール、ウェブサイト、DMの三択からセレクトします。次にターゲットとなる配信先を地域、趣味・関心、年齢・性別などから作成します。操作が面倒な人は自動を選ぶこともでき、私も自動を選びターゲット作成をAIに託しました。次に消化上限の予算と日数を選びます。私のフォロワー数だと1日¥100なら推定リーチ数は140〜370ぐらい、¥1,000に上げると1600〜4100人に増えるというシミュレーションのもと、1日1ポスト上限¥500で3日間、お気に入りの愛猫ショットや小誌の表紙画像を数点、広告しました。
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いちばんヒットしたのが3日間で¥1,362を支払った愛猫のポスト。約30倍のいいね! が付き、馴染みない言語でコメントが届き、フォロワーの倍以上の人にリーチし、その84%が男性でした(猫は男性に響くのでしょうか。ちなみに私のフォロワーは76%が女性です)。なるほど。いいね!の数を買うとはこういうことなのかと納得(ちなみに、デジタル市場ではこのような出稿を成果報酬型アフィリエイト広告と称し、今回のように一時的に数を増やす際に使用されるのがブースト広告。認知を広げ拡散させる際によく活用されます)。ここまできて、これはハマりそうだと思いました。多少のお金を使っても、いいね! やフォロワー数を増やすことは、イコール、影響力のある数字を持っている人につながるからです。
このブースト広告にハマりそうな危機から脱しなければ、また、それが何につながるのかを冷静に判断しなくては、SNSに消耗され乗っ取られかねません。SNSを何のために使っているのか自問自答が始まります。
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白濱イズミとしてアーティストとして活動を始めたラブリさんは、個展「“デジタル”と“私”との関係 私はどうやら数字らしい」を開催し、日々、SNSなどで数値化される価値の是非を問いかけました。そんな彼女と、SNSの研究者であり社会情報学者でもある東京経済大学コミュニケーション学部教授の佐々木裕一さんに対談をしていただき、SNSとの付き合い方について尋ねました。インスタを介して交流を増やし仕事につなげたり友情を育んだりというフィジカルな展開で使いこなすOKAMOTO’Sのドラマー、オカモトレイジさんにも話を聞きました。
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今号を通して気づいたことは、SNSを使う目的がクリアであるかどうか。SNSを主軸ではなくツールとして存在させ、その先には実際のフィジカルな行動や出会いにつなげられればさらに素晴らしいものになるということ。そのうちに愛猫本をクラウドファンドで出版できれば、最高だな〜なんて未来の夢を描ければ、まさに、それ、いいね! ですね。
Numéro TOKYO編集長 田中杏子
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Twitter: @akotanaka Instagram: @akoakotanaka