写真家・高橋恭司 「世界の終わり」とその続き
写真家・高橋恭司による写真集『WOrld’s end』の刊行を記念し、東京・末広町のアート複合施設「ARTS CHIYODA 3331」内にあるnap galleryと、東京・乃木坂のBooks and Modern + Blue Sheep Galleryの2会場にて、写真展「WOrld’s End 写真はいつも世界の終わりを続ける」が開催中。
90年代より広告や海外雑誌「Purple」などで時代の本質を鋭く捉えた美しい質感のある写真を発表し、写真家たちに多大な影響を与えている高橋。個展「夜の深み」(2016年/nap gallery)や、グループ展「Elysian Fields」(2000年/ポンピドゥーセンター)を開催し、『The Mad Broom of Life』(1994年/用美社)、『ROAD MOVIE』(1995年/リトルモア)など写真集も数多く発表している。
本展では、nap galleryにおいて、約30年前に訪れたイギリス南部の町ダンジェネスで見た、映画監督・デレク・ジャーマンの庭と小屋の写真を展示。Books and Modern + Blue Sheep Galleryでは、そこから時間と空間を隔てて撮影された2010年代後半のベルリン、ロンドン、東京の路上での写真を中心に、新作映像も上映している。
映画監督であると同時に、画家、詩人、舞台美術家であったジャーマンは、1986年にHIV感染の宣告を受けたころにダンジェネスという町と出合い、そこに移り住む。打ち捨てられた小屋“プロスペクト・コテージ”を住まいとしながら、小石だらけの地に庭を作る生活を始める。庭には、草花だけでなく、流木や腐った鉄など、海岸で拾い集められた漂流物を用いた造形が施された。生前よりゲイであることを公表し、94年に52歳でこの世を去ったジャーマン。高橋は、その2年前の92年にダンジェネスを訪れており、「そこは世界の終わりのような場所だった。同時に、そこにはすべてがあった」と語っている。
30年の時を経て、映像と写真の時代に生きたジャーマンが遺したものへの高橋のメッセージとは? その答えを見つけに、展示会場へ足を運んでみてはいかがだろう。
「WOrld’s End 写真はいつも世界の終わりを続ける」
会期/開催中〜9月28日(土)
会場/nap gallery
住所/東京都千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331 206
開館時間/12:00〜18:30
休館日/日、月、火、祝、9月4日(水)〜7日(土)
URL/napgallery.jp
※最終日14:00〜15:00には、高橋と東京都写真美術館の学芸員・伊藤貴弘によるトークイベントも開催。
同時期開催
会期/開催中〜9月7日(土)まで
会場/Books and Modern + Blue Sheep Gallery
住所/東京都港区赤坂 9-5-26パレ乃木坂201
開館時間/12:00〜19:00
休館日/日、月
電話/03-6804-1046
URL/booksandmodern.com
写真集「WOrld’s End」
発売日/2019年8月26日(月)
発売元/Blue Sheep
アートディレクション/クリストフ・ブランケル
価格/¥4,000
Text : Akiko Kinoshita