ファッション業界を席巻する、謎のイットガールたちの正体とは
いまファッション業界を騒がせているインフルエンサーは、紛れもなくバーチャルモデルたちだろう。彼女たちは完璧な顔立ちとプロポーションの持ち主でありながら、発する言葉や振る舞いは、どこにでもいる普通の女の子と変わらない。人々の羨望と親しみを手中に収め、話題をさらうスポットに現れてはキャッチーな情報を拡散し、SNSのタイムラインで存在感を発揮している。しかしその出生は、まだ謎が多いまま。ここでは、注目の4人を紹介する。(「ヌメロ・トウキョウ」9月号掲載)
ピンク髪のトレンドキャッチャー
IMMA(イマ)
艶やかなピンク色のボブヘアが目印の日本で初めて生まれたバーチャルモデル。トレンドの洋服に身を包み、夜な夜なファッションイベントやアートスポットに出現しては、自撮りをインスタグラムにアップ。その際に「#あたしCGらしい」のタグとともに投稿するのが彼女のお決まりだ。また、さまざまなアーティストやインスタグラマーとのコラボレーションでも知られる。2019年秋冬のパリコレクションのショー会場に姿を現した。
しなやかで美しい10頭身の持ち主
SHUDU(シュドゥ)
美しく黒い肌と透明感のある大きな瞳、どんなドレスも着こなす完璧なプロポーション。シュドゥは、世界で初めて誕生した“実態のない”スーパーモデルだ。イギリスの写真作家キャメロン・ジェームズが3Dイメージング技術を駆使して作り上げた作品ともいえる。彼女を一躍有名にしたのが、歌手リアーナのコスメブランドFentyのキャンペーンへ起用されたこと。オレンジのリップをしたエレガントな姿は息をのむほどに美しい。
パワフルに活動するドーリーガール
NOONOOURI(ヌーヌーリ)
大きくて真っ黒な瞳、150cmの小柄な体。さらにトレードマークのアイラインと黒髪。そのアニメティックなルックスは、バーチャルモデルでよく語られるリアリティとは一線を画す。キャラクターのような存在でありながら、モード誌のカバーを飾り、ファッションブランドとのタイアップもこなす。その活動範囲の広さ、共演するセレブリティの知名度はトップレベル。クチュールを愛し、着こなす姿にも堂々たるものがある。
言葉遣いもネオギャルな現代っ子
AOI PRISM(葵プリズム)
渋谷での出没率が高く、身に着けるアイテムは極彩色ばかりの永遠の20歳。自らインスタグラムの投稿に「#ネオギャル」とタグを入れるギャルのバーチャルモデルだ。ストリートファッションとブルーのツインテールも“今っぽい東京”を思わせる親近感がある。自らを「ぷり」と呼び、投稿欄のテキストと絵文字遣いもギャルならでは。自ら「ヲタクであること」が大事にしている価値観とも語る。日本文化のキーパーソンとなる日も遠くなさそうだ。
Text:Aika Kawada Edit:Saki Shibata