ビーチ気分を盛り上げる、おすすめミュージックリスト
聴くだけで海に行った気分になったり、実際に海に行きたくなったり。私たちをビーチへ連れて行ってくれる音楽をプロがセレクト!(「ヌメロ・トウキョウ」2019年6月号掲載)
ザ・ローリング・ストーンズ『BLACK AND BLUE』(1976)
ならず者たちのサマーソングス
ロックでビーチといえば初期のザ・ビーチ・ボーイズに代表されるサーフミュージックだが、ここは変化球。「ホット・スタッフ」「チェリー・オー・ベイビー」など、“ロック命”なようで実は時代の流行に節操のない彼らがソウルやレゲエに傾倒していた頃は、DRYビールのようなキレとコク。
YOGEE NEW WAVE『BLUE HARLEM』(2019)
シティポップの蒼い詩情
近年、日本の音楽シーンを賑わせている存在が、はっぴいえんどや山下達郎らに代表される“シティポップ”の影響を独自の音楽へと昇華させた若手アーティストたち。その一組に挙げられる彼らのサードアルバムは『島3部作』の最終章。都会的なセンスのサウンドスケープと詩情から匂い立つ、どこまでも続くような“終わり”と“始まり”の物語が心を締め付ける。
オリヴィア・ネルソン『FOR YOU』(2019)
カリブ海の血を引くUKの新星
ジョルジャ・スミス、エラ・メイ、デュア・リパと新世代の女性アーティストが大豊作中のUK。次なる注目株はカリブ海の島国セントヴィンセントの血を引く24歳。1曲目の「Hideaway」は現実のつらさから距離を置くために訪れたビーチでの心象を歌った曲とのこと。90年代のヒップホップやソウルのテイストを想起させる、スイートでオーガニックな音楽性は要チェック。
カルヴィン・ハリス『FUNK WAV 4 BOUNCE Vol.1』(2017)
トロピカルなEDMの金字塔
EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)ブームの代表格DJが放ったヒット作。80年代のムードと当代の重要人物を軒並みゲスト参加させたブラックミュージックのマナーで編まれた、2000年代のファンクミュージック。トロピカルな気分にさせてくれるキャッチーな心地よさが。日本ではフランク・オーシャンをフィーチャリングした「スライド」のサビが「アマイ!」と聴こえると話題に(笑)。
カミラ・カベロ『Camila』(2018)
だめんずはラテンの風物詩?
元フィフス・ハーモニーのメンバー。セクシーなルックスも人気のキューバ・ハバナ生まれ、アメリカ・マイアミ育ちの22歳。悪い男に引っかかって故郷を懐かしむ想いを歌った「ハバナ(feat.ヤング・サグ)」(本作収録)で全米1位を獲得。2018年の音楽で最も売れた曲となった。打ち込みとアコースティックのバランスが絶妙。ラテンならではの情熱的な女心が満載。
サザンオールスターズ『SOUTHERN ALL STARS』(1990)
江ノ島・茅ヶ崎だけじゃない
スペイン語による「愛は花のように(Olé!)」、アカペラを多重録音した「忘れられた Big Wave」、沖縄がモチーフの「ナチカサヌ恋歌」、初のオリコン1位シングル「さよならベイビー」など、傑作だらけのサザンのアルバムのなかでも、特に夏と海の情緒があふれる一枚。3月末からスタートしたデビュー40周年記念の全国ツアーでは本作の収録曲も演奏されている模様。
ネッド・ドヒニー『HARD CANDY』(1976)
ビバリーヒルズ青春白書?
AOR(アルバム・オリエンテッド・ロック)の名盤。適度に心地よい声とリズムと甘酸っぱいメロディによって歌われる青春の葛藤がビーチへ馳せる想いとダブる。「恋は幻」は椎名林檎率いる東京事変もカバー。ちなみに彼はビバリーヒルズに一族の名を冠した通りが存在するほどの資産家の出。音楽性とカリフォルニアのムードを的確に捉えたジャケット写真も秀逸。
ジャック・ジョンソン『ザ・エッセンシャルズ』(2018)
聴けば速効ノースショア気分
2000年代のチルアウトなビーチミュージックといえばオアフ出身のこの人。本作は2018年のフジロック出演を記念して、2011〜17年の楽曲で構成した日本独自企画のベスト盤。アコースティックにサーフィン、ネイチャーなライフスタイルをミックスしたクロスカルチャーの旗手として現在も多くのファンを持つ。ノースショアの波と穏やかな風に包まれること請け合い。
Illustration: Yuko Saeki Selection & Text:Masaki Uchida