世界の有名国際映画祭を席巻!『僕はイエス様が嫌い』
いま世界の映画祭で絶賛されている注目の作品がある。5月31日(金)より公開される、奥山大史(ひろし)監督の『僕はイエス様が嫌い』だ。これが初長編映画となる奥山監督。世界が見いだした日本の若き才能とは。
弱冠23歳の新鋭監督・奥山大史が贈るエレガントな珠玉作
一本の小さな日本映画が世界中で静かな感動を呼んでいる。監督は1996年生まれの奥山大史。彼が青山学院大学在学中に撮った長編デビュー作『僕はイエス様が嫌い』(英語題『JESUS』)は、スペインのサンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少(当時22歳)で受賞。さらにスウェーデンのストックホルム国際映画祭で最優秀撮影賞、中国のマカオ国際映画祭でスペシャル・メンション賞といった国際的評価を獲得し、いよいよ日本公開となる。すでにフランス、スペイン、韓国などでも劇場公開が決定しているらしい。
物語はシンプルだ。主人公は小学生の男の子ユラ(佐藤結良)。彼は祖母と一緒に暮らすことになり、東京から雪深い地方のミッション系の学校に転校する。最初は日々の礼拝など、慣れない習慣や環境に戸惑うユラだが、だんだん生活に楽しみを覚え、和馬(大熊理樹)という友だちもできる。
そんな折、ユラのそばには、他の人には見えない小さなイエス様がいつも居るようになっていた――。
端正な構図で切り取られた日常の光景に、おとぎ話の色合いが帯びる。とにかくお笑い芸人のチャド・マレーン演じるミニサイズのイエス様が抜群に可愛い!
千円札の力士を相手にトントン相撲したりなど、合成による見せ場もチャーミング。映像的な豊かさは本作の大きな魅力のひとつで、撮影や編集も奥山監督が兼任している。
こういったユーモラスなタッチから、やがて一転。突然ユラに大きな試練が訪れる。それは思春期に差し掛かる前の、無垢な少年の心を襲う人生の不条理といったものだ。
本作のお話は奥山監督の実体験がベースらしい。子どもの頃に芽生えた世界や大人たちへの疑問――それをフィクションの構築に向けて対象化し、子どもたちの自然体の演技を引き出した演出などで、美しい詩篇のような珠玉作に昇華した。新しい才能の誕生をぜひ目撃してほしい。
『僕はイエス様が嫌い』
監督・脚本/奥山大史
出演/佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン、佐伯日菜子
2019年5月31日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
URL/https://jesus-movie.com/
©︎2019 閉会宣言
Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito