映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー 』をまだ観ていないなんて! | Numero TOKYO
Culture / Editor's Post

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー 』をまだ観ていないなんて!

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM
©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

のんびりしすぎたお正月休み。そろそろ通常生活へのウォーミングアップを、と出かけた先で、絶賛発売中の「Numero TOKYO」 1・2月合併号のテーマ「運命のギフト」とでもいうべき映画に出合ってしまいました。

その映画の名は『シシリアン・ゴースト・ストーリー 』。タイトルとフライヤーの印象のみで前情報を入れてなかったため、シチリアを舞台にした、少しミステリアスで可愛らしいティーンエイジャーのラブストーリー? 映像もきれいそうだし、軽く観られていいかも!と油断しまくりで席に着きました。

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM
©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

2018年ヒットした映画『君の名前で僕を呼んで』で、ティモシー・シャラメの美貌にいたく魅了された私的には、主人公役のガタエーノ・フェルナンデスくんの美少年ぶりを堪能するというなんとも安易な鑑賞姿勢。

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM
©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

が、彼に思いを寄せていた女の子の純粋な強さ、私たちが思い描く典型的なシチリアとは異なる繊細で陰のある情景……ストーリーが進むにつれ、胸が張り裂けそうなるという自分でも予期せぬ感情の揺さぶりに襲われておりました。エンドロールが流れる頃には、夢と現実がないまぜになり、言葉では言い尽くせない気持ちに。

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM
©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

現在アマゾンプライムビデオでも観ることができる『グレートビューティー/追憶のローマ』を撮影したルカ・ビガッティによる映像美、オーストリアの個性派女性アーティストsoap & skinのサントラ、そして何より社会的な問題をファンタジーに包み込んで魅せたデュオ監督、ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァデュオの手腕が、この映画を特別なものにしています。

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM
©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

関東では新宿のシネマカリテのみで、1月下旬までの上映のようなのでお早めに(他の地域はまだこれから公開のところも)。あまり詳しい内容はあえて書きません。ぜひ劇場で観て、心を震わせて欲しい作品です。

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM
©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

『シシリアン・ゴースト・ストーリー』

監督・脚本/ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ
出演/ユリア・イェドリコヴスカ、ガエターノ・フェルナンデス
新宿シネマカリテほか全国順次公開
URL/sicilian-movie.com

Profile

古泉洋子Hiroko Koizumi コントリビューティング・シニア・ファッション・エディター。『Harper's BAZAAR』『ELLE Japon』などのモード誌から女性誌、富裕層向け雑誌まで幅広い媒体での編集経験を持つ。『NumeroTOKYO』には2017年秋よりファッション・エディトリアル・ディレクターとして参加した後、2020年4月からフリーランスとしての個人発信を強め、本誌ではファッションを読み解く連載「読むモード」を寄稿。広告のファッションヴィジュアルのディレクションも行う。著書に『この服でもう一度輝く』(講談社)など。イタリアと育った街、金沢をこよなく愛する。
Instagram: @hiroko_giovanna_koizumi

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2025 N°183

2024.11.28 発売

Future Vision

25年未来予報

オンライン書店で購入する