生ける伝説、イルミン・シュミットが放つ渾身のピアノ・ソロ
1970年代クラウト・ロックシーンを語る上で外せない、革新的なサウンドで広く影響を与えた伝説的バンド「CAN(カン)」のメンバーであり、解散後もソロ、映画音楽、オペラなど幅広く活躍するアーティスト、イルミン・シュミット(Irmin Schmidt)のソロ・ピアノ・アルバム『5つのピアノ作品集(原題:5 Klavierstücke)』をリリース。
ちょうど半世紀前に結成され、パンク、ニューウェイヴやオルナタティヴ・ロック、エレクトロ・ミュージックなど多くのジャンルの音楽に多大な影響を与えたドイツのロックバンド、CAN。そのメンバーであり、CAN解散後もソロ、映画音楽、オペラやオーケストラの指揮などで幅広く活躍、今年81歳となったイルミン・シュミットが、ソロ・ピアノ・アルバム『5つのピアノ作品集(原題:5 Klavierstücke)』を発表した。
プリペアドのプレイエル、そして100年もののスタインウェイ、2台のグランドピアノと対峙して作られた本作はなんと、一度きりの演奏を録音したもので、エディットや修正も施さず、他の楽器や電子的な機材も使用していないのだとか(聞こえてくる環境音は、スタジオ周囲の音を録音したもの)。プリペアド・ピアノならではの、時にパーカッシヴ、時にメタリックな音色が、衰えることを知らないクリエイティビティが張り巡らされた空間に、呪術的な趣を加えている。
Text:Minami Mihama Edit:Masumi Sasaki