2018年の「KYOTOGRAPHIE」、その見どころは?
テーマに「UP」の2文字を掲げた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018」。果たしてどんな眺めが広がるのか? ここでは、今年の注目ポイントを厳選してピックアップ。高まる期待にいざ、move on up(顔を上げて進め)!(「ヌメロ・トウキョウ」2018年5月号)
ジャン=ポール・グード『加工/アップデートされたグレース』ペインテッドフォト、ニューヨーク、1978年 © Jean-Paul Goude (会場)京都文化博物館 別館 京都市中京区三条高倉
ジャン・ポール・グード、国内初の本格個展が実現
写真家、グラフィックアーティスト、デザイナー、映像監督など多才に活躍する希代のイメージメーカー、ジャン=ポール・グード(1940-)。グレース・ジョーンズを起用した広告をはじめ、アイコニックな表現で高い支持を集める彼の本格的な個展が、わが国で初めて実現。東京駅などを手がけた辰野金吾による1906年竣工の歴史的建築空間に、写真作品やインスタレーションを展示する。
フランク・ホーヴァット『ルーヴル河岸通りのカップル』1955年、パリ、フランス © Frank Horvat (会場)嶋臺ギャラリー 京都市中京区御池通東洞院西北角
シャネルが贈る、巨星フランク・ホーヴァットの写真展
毎年、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールから巡回で開催される珠玉の企画。今年は、ファッション写真の黄金期に名を馳せつつ、写真家仲間へのインタビュー集やiPad用アプリを発表するなど、写真表現の最前線を走り続けるフランク・ホーヴァット(1928-)が登場。嶋臺(しまだい)ギャラリーの伝統的な町家空間を舞台に、ジャーナリスティックな初期作から代表作、私的な作品などが公開される。
中川幸夫『聖なる書』1994年 © Nakagawa Yukio (会場)両足院 京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町591 建仁寺内
伝説のいけばな作家・中川幸夫の破格なる軌跡
「決定的な自由」を求めて流派の垣根を飛び越え、破格にして前衛的ないけばなの在り方を追求した中川幸夫(1918-2012)。建仁寺内の両足院(通常非公開)を会場に、現代アート界からも評価の高い華道家・片桐功敦がキュレーターを務め、中川が撮影した写真作品や書を展示。中川作のガラスのオブジェに片桐が花を生けるインスタレーションを発表するなど、その功績と対峙し、光を当てる。
ステファン・シェイムス『ジョージ・ジャクソンの葬式 セントオーガスティン教会』オークランド、1971年8月28日 © Stephen Shames / Steven Kasher Gallery (会場)藤井大丸 ブラックストレージ 京都市下京区足袋屋町318
ブラックパンサー党のすべてを捉えた写真群
1966年、差別撤廃や黒人の解放を掲げてアメリカで結成されたブラックパンサー党。当時学生だったステファン・シェイムスによって撮影されたその記録は、ドキュメンタリーの枠を超えた躍動感にあふれていた。後世の音楽や文化に多大な影響を与えたブラックパワー運動の核心を捉えた貴重な作品群が、KYOTOGRAPHIE初参加となる巨大な倉庫空間にて公開される。
Edit & Text : Keita Fukasawa