湯山玲子に聞いた“私の90年代カルチャー” | Numero TOKYO
Culture / Feature

湯山玲子に聞いた“私の90年代カルチャー”

現在、各分野で活躍中のクリエイターが影響を受けた、自身のルーツとなった90年代とは?(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2018年3月号掲載)


cinema/tv

デイヴィッド・リンチ

「80年代後期から注目のリンチだが、TVシリーズ『ツイン・ピークス』が画期的。ちなみにこのロングラン・ドラマシステムは、Netflixなどに受け継がれている強力なエンタメ方式。好きが高じて、故・川勝正幸さんと知り合い、一緒に現地探訪ツアーに行ったことも」
17年に続編が放映されたことも話題に。『ツイン・ピークス コンプリート・オリジナルシリーズBlu-ray BOX』¥12,000 発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント ©2017 Twin Peaks Productions, Inc. All Rights Reserved. ©2017 CBS Studios Inc.

music

リチャード・キャメロン

「90年代の欧米に起こった、ラウンジ系(ピチカート・ファイヴが発端のひとつとなり、全世界渋谷系を引き起こした音楽ムーブメント)ミュージシャンの代表格。企画担当した『SWITCH』で取り上げ、現在に至るまで親交がある」
湯山さんが企画担当したという『SWITCH』96年6月号(スイッチ・パブリッシング)の特集「アムステルダム、という生き方」。左がリチャード・キャメロン。右の二人とともにV.O.L.V.O(. ボルボ)というユニットを組んでいた。「SWITCH vol.14 no.5」

art

曽根裕

「私にとって現代美術の開眼者。海外の一流キュレーター、ギャラリーへの直接プレゼン、アーティストという生き方についてなど、彼の作品と活動を通して得たセンスは大きかった」
観客を巻き込んだプロジェクト型の作品、映像、彫刻、ドローイング、油彩画など、幅広く手がけるアーティスト。65年生まれ、東京藝術大学建築学科を卒業後、国内外で作品を発表。LA在住。

OTHERS

雑誌文化の最後の隆盛期
「バブル崩壊後、実は雑誌メディアは遅れてきたバブル期を迎える。90年代は消費者が多様性をもちはじめた時代。そのことと、企業の広告費予算が、少なくて多大な影響が出る、費用対効果の意味で紙メディアに流入したことで、雑誌文化が花開いた。自分自身も『SWITCH』などカルチャー誌でさまざまな企画ページを担当し、世界を取材」

写真時代
「意味でなく強度があるコミュニケーション手段として写真が脚光を浴びる。キヤノン主宰の写真コンテスト『写真新世紀』から、大橋仁、HIROMIX、野口里佳、佐内正史などの才能が世に出てブレイクした。カルチャー誌とも密接に絡み、そういった若手写真家との編集仕事も多かった」

クラブカルチャー誕生
「ソニーにテクノレーベルが立ち上がり、ケンイシイ、ススムヨコタなど世界的に活躍するテクノアーティストが登場。インターネットのアーリーアダブターたちがこのシーンにコミットした。自分自身は雑誌の取材で海外の同時期のこのシーンに触れ、影響を受けた」

Edit:Sayaka Ito

Profile

湯山玲子(Reiko Yuyama)著述家、ディレクター。出版、広告の分野でクリエイティブ・ディレクター、プランナー、プロデューサーとして活動。同時に評論、エッセイストとしても著作活動を行っており、特に女性誌等のメディアにおいては、コメンテーターとしての登場多数。著書『女装する女』(新潮新書)『四十路越え!』(ワニブックス)など。

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