インテリアや家族、これからの展望について
大田由香梨の生き方とは?
“ライフスタイリスト”の名にふさわしく、衣食住の全てをコーディネートするマルチな才能の持ち主、大田由香梨に聞く。
──インテリアの参考にしているものは?
「それも特になくて。よく○○系ってスタイルをカテゴライズするじゃないですか。あの感覚も私にはないんです。気分が変われば色を塗ればいいし、自分の好きなように手を加えていけばいいと思って。強いて言えば、フォトグラファーのセルビーによるインテリアフォトサイト『The Selby is in your place』や、海外のウェブマガジン『COVETRUR』などをたまに見ています」
──片付けに関しては見せる収納としまう収納、どちらのタイプですか?
「仕事柄ものは多い方なんですが、ほとんど事務所に置いてあるので、自宅にあるのはごく最小限のもの。収納に関しては見えるところだけにしまうのがマイルール。どこか見えない場所にしまってしまうと持っていることを忘れてしまうから嫌なんです。家には作り付けのクローゼット以外ドロワーも置いていません。そのため、収納のキャパを超えそうになったら処分します。手放すときは一人でスタイリングして、写真を撮って作品として残してから人に譲ったりしています。それでもすぐに洋服などが増えてしまうので、2、3ヶ月に1回くらいの割合で断捨離しています」
公私ともに支えてくれるパートナーに出会って
──この家でご主人と犬1匹、サル4匹とともに暮らしている大田さん。公私ともに支えてくれる素敵なパートナーに恵まれ、いまとても充実していますよね。
「そうですね。彼とは私がアシスタントをしているときからの付き合いなので、出会ってからかれこれ13年くらい経ちます。独立して二人で会社を立ち上げようとしていたとき、仕事はお互い別でやったほうがいいと周りの人に止められたこともあったんですが、お互い信頼しきっているので、逆に一人のときより何もかもいいコンディションで仕事に臨めるようになりました。もちろん時には対立することもありますが、一人だとものすごく不安。すべてを二人三脚でやっているので、辛いことや悲しいことも一緒。そのぶん嬉しいことや幸せも二倍になる。彼は苦楽を共にできる心強いパートナー。本当に感謝しています」
自分も周りも幸せに感じるものを作っていきたい
──大田さんのカフェや事務所、そしてご自宅を取材させていただいて感じたのは、ご自身の好みやスタイルにブレがない。そして自分が幸せだと感じることに忠実な気がしました。
「いつも自然体でいたいとは思っています。何かに縛られたり、自分らしさを失うような生活はしたくなくて。昔から音楽が好きで、好きなミュージシャンにジャック・ジョンソンというアメリカのオアフ島出身のシンガーソングライターがいるんですが、大スターなのに彼は普段、海辺で静かに暮らしているんです。飾り気がなくてギター一本で歌うシンプルなスタイルで、歌声には人を幸せにするような温かみがあって。ああいうミュージシャンみたいな生き方に憧れるんですよね。自分の好きなことで人も幸せにしてあげられるような。たった一回の人生だから、自分も周りもみんなが幸せに感じられるようなものを作っていきたいと思っているんです」
──プライベートも含めこの先の夢やプランはありますか?
「日本人の衣食住はかなり成熟してきて、これからもっと人々の生活スタイルも変わっていくと思うんです。その変化に合わせて自分らしい世界観を提案していきたいと思っています。ただ一方で、今は使い捨てのものが増えているし、低コスト重視で作られたものがどんどん増えてしまっているので、人々がものを大切にしていけるような流れも作っていきたくて。特に食べるものや住む場所は人として一番大事なもの。毎日の生活の土台となる部分だから、素材からでき上がるまでをきちんと知る必要があると思うんです。毎日をていねいに生きる、そんな温度を感じる生活を提案していきたいですね。プライベートでは30代も半ばなので、子供も欲しいと思います。だけど今すごく仕事も楽しいので、タイミングはわからないですね。最終的には健康でハッピーに生きていけたらそれだけで幸せ。生きていると思いがけない出来事はどうしても起こるだろうけど、今この瞬間を大切にしながら変化も楽んで生きていけたらいいですね」
Photos:Ayako Masunaga
Text:Mari Higure
Edit:Yukiko Shinmura, Kefa Cheong