21世紀少女 vol.10FRANCIS LOLA & ELLEN V LORALA発、インスタアイドルはいかにして生まれたか | Numero TOKYO
Culture / Post

21世紀少女 vol.10
FRANCIS LOLA & ELLEN V LORA
LA発、インスタアイドルはいかにして生まれたか

フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介。今回のゲストは、LAから東京コレクションのために来日していたインスタグラマーのEllenとFrancis双子のような“ユニコーン”ルックで活動する彼女たちに、これからのSNSについて話を聞いた。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2016年1・2月合併号掲載

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軍地彩弓が読み解く
「SNS製アメリカンドリーム」

#ローラとローラ。エレン・V・ローラ(@ellenvlora)とフランシス・ローラ(@flamcis)。二人合わせて#lolanlora。彼女たちに会ったのは東京コレクションの会期中。場所は渋谷のヒカリエ。インスタグラムで見ていた二人は、いつも双子のように同じピンクヘアがトレードマーク。アイラインばっちりのキャッツアイ。今回は、メイベリンのアンバサダーとしてLAから初来日だった。

インスタグラムのフォロワーは二人合わせて40万人以上。渋谷の街で彼女たちを撮影すると、周りのネオギャルたちとシンクロして違和感を感じない。「東京に来たのは初めて! とっても興奮しているの。キュートな原宿ガールだったり、オープニングセレモニー系のアーバンな格好をしている子たちだったり。みんなすごくおしゃれで個性的だと思う。LAの子はみんな同じような格好をしてるけど、日本の子はみんな、とってもユニーク。真っ黒の髪でレザーの服を着たSMみたいな格好をしている子もいれば、ベビーピンク、ベビーブルーの服を着て金髪の子もいるよね」。

今では「メイベリン(Maybelline)」のように彼女たちをアンバサダーとしてスポンサードする企業も増えている。つまり、プロのインスタグラマーとして今を生きている。そのきっかけはちょっとしたことだった。「最初は、本当はただスタイリングをアップしていたんだけど、フォトグラファーを目指してる友達に撮ってもらって。そこから髪を紫に染めたの。そしたらフォロワーが一気に増えて。やっぱり何か挑戦的なことをすると、そこからフォロワーが増えたわ。そういうことをするのは私たちが最初だったと思うの」。

二人が出会ったのもインスタグラマーの撮影会。「インスタは小さなコミュニティーみたい。会ったことなくてもインスタ上で知ってるから、実際に会ったときからもうお互いのことがわかってるの」。今、インスタの次にアメリカで流行っているのはSnapchatとYouTube。今も彼女たちは自分たちのサイトを持っている(pureevl.com)。そしてこれからやりたいことはYouTubeで番組を持つこと。ファッションだけじゃなくって、メイクやインテリアなど彼女たちがメディアになって、たくさんの人に伝えたい。それは雑誌もテレビも介在しない新しいツール。インスタから始まって彼女たちの未来は、すべて手のひらのスマホの中にある。スマホからスーパースターへ。これが今のアメリカンドリームなのだ。

the recipe of me
私の頭の中

21世紀的感覚を持った新世代の若者は、普段どんなことを考えているのだろう? そのヒントは、彼らの周りの“モノ”にもちりばめられている。FrancisとEllenの持ち物は、どこか原宿の女の子たちにも通じるところがある。だから親近感が湧くのだと思った。

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(左上から時計回りに)
1. Francisが原宿の竹下通りで買った、ハート形のバックパック。
2. チョーカーやハーネスは、彼女たちのファッションには欠かせない。上のEllenのチョーカーは「Valfre」、下のFrancisのハーネスは「DEANDRI」のもの。
3. 二人とも、iPhoneケースは「Valfre」のものを愛用。人気急上昇中のLAブランドで、日本でも個性的なiPhoneケースのネット販売を中心に、じわじわと人気を集めている。

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(右上から時計回りに)
4. Francisがヘッドドレスにしているチョーカーは、東京ブランド「BUBBLES」のもの。
5. Francisが渋谷スペイン坂で買ったポンポン付き靴下。「LAにはなかなかこんな可愛い靴下がないから、日本で見つけてうれしい!」
6. Ellenの靴はロンドンのブランド「EEIGHT」の星柄ブーツ。
7. Francisが愛用している靴は「UNIF」のもの。
8. メイベリンの12色パレット。二人ともメイクにはこれを使っているそう。

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(左上から順に)
9. インスタグラムやブログにアップする写真は一眼レフで撮影したもの。FrancisはSONY、EllenはCanonを愛用。
10. Ellenのヘッドバンドは「VIDA KUSH」のもの。
11. Ellenが渋谷スペイン坂で買ったフェザーイヤリング。

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(左上から順に)
12. Francisは子どもの頃から『セーラームーン』が大好きだったそう。「セーラームーンと私は誕生日が一緒なの!」
13. Ellenの部屋のお気に入りコスメ&アクセコーナー。
14. Ellenのお気に入りの「FRENDS」のヘッドフォン。

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FRANCIS & ELLENの年表

2012年
二人ともインスタグラムを始める

2013年
インスタを通じて二人が出会い、ハッシュタグ「#lolanlora」で活動を始める

2014年
ブロガーとしても活動を開始

2015年
メイベリン公式インスタグラマーとして来日
 

FRANCIS & ELLENへの5つの質問

──初めて日本に来てみて、どう思いましたか?

Francis(以下F)「まず印象的だったのは、いろんな場所がとっても清潔でキレイだってこと! あとは、みんな共存してる感じ。気を使い合うし、すごく親切。そうだね、あとは、いろんなことがとっても便利にできているのにも驚いた。LAではみんな個人プレイだけど、日本の人たちは助け合いの精神があると思って感動したわ」

Ellen(以下E)「日本に来て日本食を沢山食べたけど、全部おいしかった。日本には食べ物のバリエーションがたくさんあって羨ましいわ」

──尊敬している人や憧れの人は誰ですか?

F「お姉ちゃん。いつも優しく助けてくれるの。私がいま私であるのも、全部お姉ちゃんのおかげ」

E「私はお母さんかな。韓国出身だけれどお父さんに出会ってアメリカに来て、英語もしゃべれなかったのに、今では自分でビジネスもやってるの。セールスや会計もするし、服のパターンまで自分で引いちゃう。私のこともいつも助けてくれて、アートがやりたいっていったときも「あなたがその格好をしたいならそうしなさい」って言ってくれた」

──今後の目標、挑戦したいことは何ですか?

F「今やっていることで前進することかな…。立ち止まらないこと。落ち着かないこと。次のステップに移りたい」

E「次に私たちがやりたいことは、YouTube。でも今すでに活躍してる人たちと同じことがしたいわけじゃないから、何か新しいことに挑戦したい。いま思っているのは私たち二人のライフスタイルを見せるリアリティーショーみたいなイメージかな。あとは、自分たちの洋服のブランドも将来的には持ちたいと思ってる」

──今いちばん興味があること、今いちばん怖いと思うことは、それぞれ何ですか?

F「興味があることは、もっと旅行がしたいな。カルチャーショックを受けることもあるけど、たまにアメリカに飽きることもあるの(笑)。怖いことは、年を取ってから後悔することかな」

E「私はいろんな人に会うことに興味がある。音楽やファッション業界だけじゃなくて、たくさんの人に会って面白い話を聞きたい。怖いのは、大切な人をなくしてしまうこと。家族とか友達が死んでしまったらって考えるのが一番怖いかな」

──10年後の日本はどうなっていると思いますか?

E「大好きよ! 日本の子たちはすごくおしゃれでユニークだと思う! キュートな原宿ガールもいれば、アーバンスタイルの子もいるし、カラフルな髪色の子も、黒髪でSM風スタイルの子もいる。それに比べてLAの子たちは、みんなビーサンにジーンズにTシャツで、同じ格好ばかり。LAではみんなと違う格好をしていたらジロジロ見られるし、ひどいときには写真まで撮られるわ。日本人はインディペンデントよね。他人にあまり干渉しないからかな?」

Photos:Maki Taguchi Director:Sayumi Gunji Text:Rie Hayashi

Profile

FRANCIS LOLA(@flamcis)& ELLEN V LORA(@ellenvlora) それぞれ258k、170kのフォロワーを持つ、アメリカで人気急上昇中の“ユニコーンスタイル”インスタグラマー。さまざまなブランドとコラボもしている。

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