
年中温暖な気候に美しいビーチリゾート、どこか懐かしさを覚える段々畑、そして日々の営みの中に祈りが溶け込む静かな暮らし。バリ島は、効率や速度を求められる日常で硬直した日本人の心を解きほぐし、心身のバランスを整えるリトリート先として打ってつけだ。その舞台が、サンスクリット語で「安息の地」を意味する「アヤナ」であるならなおのこと。
東京ドーム約19個分、広大な敷地に点在する4つのホテル

バリ国際空港から約12キロメートル、車を走らせること約20分。ジンバラン湾を望む断崖絶壁に、東京ドーム約19個分の広さを誇るバリ島最大の統合型リゾート「アヤナ バリ」はある。トロピカルガーデンに包まれたリゾートは、まるでテーマパークのように広大で、国籍を超え老若男女、様々なニーズに応えるサービスや設備がそろう。

リゾートの総客室数は993室で、旅の目的に合わせて選べる4つのホテルが点在している。全室にプライベートプールを配した「アヤナ ヴィラズ バリ」、森と水の瑞々しさを体現した「リンバ by アヤナ バリ」、そしてモダンシックな「アヤナ セガラ バリ」。

中でも注目すべきは、2025年5月に大規模な客室リニューアルを遂げた5つ星ホテル「アヤナ リゾート バリ」だ。崖の上に位置する「アヤナ リゾート バリ」は、インド洋の水平線に沈むサンセットを特等席で眺められるホテルで、開業時から存在するアヤナの象徴でもある。

294室の客室はすべて52平米以上のゆとりを持ち、大理石のバスルームには深いバスタブが備わる。世界的建築事務所「WATG」が手掛けた空間は、バリ島内の村々で作られた木彫レリーフや、カマサン様式の天井画といった伝統工芸と現代的なミニマリズムが交差する静謐な佇まいだ。

オーシャンビューの客室バルコニーからは、目の前に広がるインド洋を一望できるほか、客室によってはサンセットが見られることも。刻一刻と表情を変える自然の風景と溶け合う、美しい部屋のつくりだ。
美食の巡礼が叶う30のレストラン・カフェ&バー

「アヤナ バリ」は、食の選択肢の多さも桁違い。リゾート内にはバリ料理はもちろん、インドやタイ、日本、中華、イタリアや地中海料理など、10ジャンル、合計30を超えるレストランがある。今回はNumero的食アドレスをピックアップして紹介したい。
海と空が溶け合う、サンセットの聖地「ロックバー」

バリ島のサンセットスポットとして最も名高い場所といえば、断崖にせり出すように建つ「ロックバー」だろう。「アヤナ リゾート バリ」からビーチ側へ向かい、インクリネーターで崖下へと降り立つと、その名の通り岩石の上に建つ海の特等席とも言えるバーが現れる。

幅270メートルにも及ぶ「ロックバー」は、オープントップのバーカウンターや食事を楽しめるディナーテーブルなど7つのシートタイプがある。ビジター利用も可能だが、人気のサンセットタイム(16:00〜17:00)は宿泊者の予約が優先のため、ホテルの予約と共にぜひ「ロックバー」も予約を。

一番人気は、メインエリアから橋を渡った岩石に建つプライベート感あふれるラウンドデッキだ。周囲を見渡す限り大パノラマで広がるインド洋。時間帯によって様々な表情を見せる空、足元でダイナミックなしぶきを上げる波の音など、自然が持つパワーを五感で感じられる。

ここで味わいたいのは、海、太陽、夕日といったバーのロケーションからインスピレーションを得たシグネチャーカクテルだ。南国のフルーツやスパイスを使っており、喉を潤すだけでなく、視覚からもリゾートの昂揚感を与えてくれる。

赤紫に染まるマジックアワーの中、海風に吹かれながらグラスを傾ける時間は、「アヤナ」滞在におけるハイライトになること間違いなしだ。
波打ち際のテーブルでバリ風シーフードバーベキューを味わう「キシック」

「ロックバー」に隣接する「キシック」は、波音とともに味わうバリ風シーフードバーベキューレストラン。砂の上にテーブルが設えられ、海沿いの席は目の前まで波が打ち寄せるオーシャンフロントならではの開放感だ。ここでは、その日に近場で水揚げされた新鮮な海の幸から好みのものを選び、炭火で豪快に焼き上げてもらえる。

「エビのバリニーズソース」は、プリプリとした食感にエキゾチックなスパイスの香りが重なる一品。「イカのレモンバターソース」は爽やかな酸味が素材の甘みを引き立て、「鯛のガーリックバターソース」は香ばしさが食欲をそそる。これらに添えられる自家製サンバルや、シャキシャキとした食感の空芯菜の炒め物、カゴにバナナの葉を敷いて供される白米など、バリローカルのおもてなしも旅情を誘う。
バリ、インド、タイなど一流のアジア料理がそろう「ダマール」

宿泊客も多様なら、ホテルで働く人々も多様だ。「アヤナ バリ」には世界各国の優秀な料理人が集っており、特にそのレベルの高さを感じたのがアジア料理の「DAMAR(ダマール)」である。

インドネシア伝統の温野菜サラダ「ガドガド」や「ナシゴレン」、タイのスパイシースープ「トムヤムクン」、カッテージチーズを使いバスマティライスを合わせた「インドカレー」など、どれもシェフたちのクラフトマンシップが光る。美しいロータスの池に囲まれた、バリ島らしい屋外レストランの風情にも癒やされるはずだ。
インドネシア産ワインも味わえる地中海レストラン「スクーザ」

ドレスアップしてとっておきのディナーを愉しむなら、2022年11月「アヤナ セガラ バリ」内にオープンした「Scusa(スクーザ)」へ。バリ島ならではの豊かな海産物や、リゾート内にある「アヤナファーム」から届けられる瑞々しいハーブや野菜を用いた地中海料理がテーブルを彩る。
前菜の「マグロのタルタル ストロベリーガスパチョ添え」には、バリ島の白ワイン「ISOEA」を合わせるのもいいだろう。

メインに選びたい「タリオリーニ マリナーラ」は、ムール貝やアサリ、エビやイカなど魚介の旨味が太めのパスタにしっかりと絡み合い、芳醇な海の香りが鼻腔をくすぐる。シャンパーニュをはじめ、イタリアやスペイン、ポルトガルなど、バリ島最高峰の地中海ワインリストもお見逃しなく。
連泊の朝を彩る3つのレストラン

連泊していると朝食に飽きが生じてしまうものだが、そこはバリ島最大級のリゾート。「アヤナ リゾート」「セガラ」「リンバ」に宿泊の場合は、アジア・エスニック料理の「パディ」、インターナショナルレストランの「トゥゲ」、「カラン」の3つのレストランが利用できる。

アヤナ内にある「パディ」では、東南アジア文化が混ざり合うバリならではの朝食風景が広がる。スパイスの香りが食欲を刺激するインド風パンケーキの「ウッタパム」や、旨味が凝縮されたインドネシアの焼きそば「ミーゴレン」。さらにショウガやターメリックなどを使ったインドネシアのハーブ&スパイスドリンク「ジャムウ」は、細胞から体を目覚めさせてくれるはずだ。多種多様な南国フルーツやヨーグルト、焼きたてパンが並ぶビュッフェ台は、視覚からもエネルギーを与えてくれる。
蒼い海と一体化する、世界最大級のタラソテラピーでリフレッシュ

スパ体験もまた白眉だ。22,000平方メートルという広大な「アヤナスパ」の中には、寺院のように神秘的なヒーリングヴィレッジにトリートメントルームやサウナがあるほか、世界最大級のタラソテラピープールまである。

目の前に広がるインド洋から直接汲み上げた海水が、体温に近い温度で満たされたプール。一歩足を踏み入れれば、そこには空と海、そしてプールの青が溶け合う開放的な風景が広がる。約60分から120分かけて巡るハイドロセラピーは、12のステーションに配置された緻密な水圧ジェットが、身体のあらゆる部位の強張りを解きほぐしていく。

海水のミネラルが皮膚を通して浸透し、身体の芯から生命力が再起動するようなタラソセラピーならではの心地よい感覚。波の音を聴きながらただ浮いているだけで、細胞ひとつひとつが深い休息を得ていくようだ。

リゾート内に点在する14ヶ所のプールも、時間が許す限り満喫したいところ。「ヴィラ」にあるアイコニックな「リバープール」はもちろん、海とのインフィニティな光景が魅力の「アヤナメインプール」、ファミリーで利用しやすい「リンバ カバナプール」など、そのレパートリーはウォーターパークのように多様だ。

さらにリゾート内には、白い砂浜とクリアな青い海が広がる「クブビーチ」もある。公共のビーチだが限られた人しか知らない隠れ家スポットのため、静かでプライベート感があり、落ち着いたビーチタイムを過ごしたい人にもってこいだ。

リゾート内はトラムが数分おきに巡回しており、移動そのものがアトラクションのようでもある。濃緑の木々や、時折姿を見せる野生の猿、色鮮やかな南国の花々を眺める時間は、リゾートの呼吸に心身を合わせていく癒しのひとときだ。

「アヤナ バリ」での体験の根底に流れているのは、バリの人生哲学「トリ・ヒタ・カラナ」。「神(内なる精神)」「人」「自然」の三者が調和して初めて、真の平和と幸福が訪れるという教え。「アヤナ バリ」はこの哲学を、単なるスローガンではなく、ゲストが触れるすべての瞬間に宿らせている。

波音に魂を委ね、五感を研ぎ澄ます。伝統と革新が紡ぎ出す「アヤナ バリ」での滞在は、心からのリラックスをもたらしてくれるはずだ。
AYANA BALI(アヤナ バリ)
住所/Jalan Karang Mas Sejahtera, Jimbaran, Bali, Indonesia 80364
TEL/+62361702222
URL/www.ayana.com/ja/bali/
取材協力:アヤナ バリ
Photos & Text:Riho Nakamori
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