パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホル、猫画家として知られるルイス・ウェインなど、猫は時代を超えて多くの表現者を魅了してきた。現代でも、作品や書籍、空間、フードなどを通して猫を表現するクリエイターが活躍している。そこで、Numéro TOKYOが気になる“猫クリエイター”7名と活動をご紹介。彼らが猫をテーマにする理由と猫の魅力とは。
オーダーメイドも可能!
猫の魅力がぎゅっと詰まった「gyunyuya」のぬいぐるみ

SNSで話題を呼んだぬいぐるみ作家「gyunyuya」。どこか懐かしい雰囲気がありながら、キッチュでエッジの効いた素材感と色を活かした作風で猫のぬいぐるみを制作している。オーダーメイド作品も唯一無二。愛らしい表情や細部のディテールにこだわりが見える。また、カプセルトイも展開し、手軽に楽しめるコレクション性と遊び心を兼ね備えたアイテムを提供している。

「生後3.5ヶ月の保護猫と暮らし始めて虜に。猫の魅力は仕草やジャンプ力、声、目や鼻、爪や肉球、毛の質感のコントラスト、小さな歯や動くヒゲ、耳の形、柔らかさやあたたかさ、それぞれの個性や甘い香りなど無限ですね。猫が持つ魅力を造形として表現することを大切にしています。愛猫のネルちゃんは、パウチの『モンプチ リュクス』が大好き。食べると楽器の音のように『モァアン』と鳴くのですが、水で薄めた『モンプチ リュクス』では同じように鳴いてくれない(笑)。面白いです」

多摩美術大学卒業。愛猫との出会いをきっかけに主に猫をモチーフとした動物のぬいぐるみを製作するように。オリジナル作品の制作と展示を続けながら、動物を愛する人々からのオーダー作品制作依頼も不定期で受注。2/20〜3/4は『necoma』でチャリティーアートプロジェクトに参加し、3/1〜3/31はDE CARNERO CASTE東京店で個展も開催する予定。
Instagram@gyunyuya
アノニマスでスタイリッシュな佇まいな
まねきねこを作る「菊池俊治」

陶芸作家の菊池俊治による猫のまねきねこは、土の風合いを生かした素朴とユーモラスなフォルムが魅力。釉薬を抑えたやわらかな質感と凛とした仕上がりながら、右手、左手、両手を上げたかわいらしい3種類のポーズとのギャップが愛嬌たっぷり。同作家が製作するカップやソープディッシュと揃えてディスプレイしてみては。
「友人へのプレゼントとして猫のまねきねこを一体作ったところ、とても喜んでもらえたことが作品制作につながりました。まねきねこは、全体のバランスを見ながら、耳や腕を少し誇張してデフォルメし、猫の人に媚びないところを表現しています。猫の日に思うのは、『猫たちが元気に暮らしてくれたらいいな』ということ。不定期で、オンラインショップにて作品を販売しています」
イラストと文章で綴る、みゃあの物語
「ひげが ながすぎる ねこ」著者、北澤平祐

『ひげが ながすぎる ねこ』は、作家・イラストレーターの北澤平祐による絵本。見る者の心を溶かす淡い色使いとゆるやかな描線とタッチが味わい深い。主人公の猫、みゃあの不満げな表情と長すぎるヒゲに困ってばかりの言動は、まさしくザ・猫。大きな読者も小さな読者も視覚的に楽しめ、みゃあの個性と物語の展開も夢中になれる。愛猫家への贈り物にもぴったりの一冊で、作品をモチーフにしたグッズも販売中。


「近所で猫を二度拾って飼い始めたことがきっかけで、猫をテーマに作品を描くようになりました。猫の天然で天邪鬼な性格を表現しつつ、永遠に理解できない存在としての魅力を描き出しています。猫の日にはつい頭の中で『にゃあにゃあにゃあ』とつぶやいてしまうほど愛着があります。飼っている黒猫は、写真が大の苦手。カメラを向けると威嚇するため、口を開けた写真しか撮れず困っています」
アメリカに16年間在住後、帰国し、イラストレーターとしての活動を開始。書籍の装画や、洋菓子フランセのパッケージをはじめ、幅広い分野でイラストを提供。2026年「ユニコーンレターストーリー」(集英社/ホーム社)で、第41回坪田譲治文学賞を受賞。著書に「しおりとめくり 北澤平祐作品集」(PIE)、「ゆかいようかいノート」(小学館)、「ひげがながすぎるねこ」(講談社)、「ルッコラのちいさなさがしものやさん」(白泉社)などがある。
Instagram@howanthecat
URL/www.hypehopewonderland.com
着るだけで愛猫家の証
猫Tシャツを手がける「AKISHIKA」

「AKISHIKA design」は、自分用に作ったTシャツが評判となって生まれたブランド。ストリートファッションさながらの大きめサイズのTシャツに、遊び心と猫への愛が溢れるグラフィックプリントを施している。可愛さやユーモアを大切にし、スタルジックなスーベニアグッズのような雰囲気をまとっている。キャップなどの展開もあり、“動物好き”の日常のコーディネートにさりげなく取り入れたいアイテムが揃う。

「猫をモチーフにしたおしゃれなTシャツがあまりなかったので、自分で作り始めました。生気の抜けた表情や少し不細工な顔など、猫の個性的な表情を取り入れています。猫の魅力は、人との付かず離れずの絶妙な距離感。長年一緒に暮らす14歳のBOSSは家族の癒し。最近は猫の日のイベントにも参加しており、オンラインショップではさまざまな猫グッズを販売しています」

Tシャツを中心としたオリジナルグッズのオンラインショップを運営。海外のスーベニアグッズを感じさせるようなちょっと懐かしいデザインやパロディものまで、可愛いさの中にちょっと癖のあるデザインが特徴。
Instagram@akishika_design
シャー顔も!個性溢れる4匹
「Philly chocolate」の猫チョコレート

「Philly chocolate」による、迫力満点の4匹の猫を型どったボンボンショコラ。甘さ控えめで上質なクーベルチュールを使い、見た目も味わいもこだわった一箱はギフトにうってつけ。それぞれ、スパイシーで大人っぽい香りのチャイ、爽やかな酸味とピンクペッパーの刺激が楽しいパッションフルーツ&ピンクペッパー、生姜の風味が温かいジンジャー、フルーティーな香りが個性的なティムットペッパーと、個性豊かな味わいだ。

「繊細な造形で猫の個性を表現したいと思い、なるべく可愛くしすぎず、猫らしい迫力や『何を考えているんだろう?』というミステリアスな雰囲気を出すことにエネルギーを注ぎました。猫の魅力は、少し不気味さも含む謎めいた存在感で、チョコレートの世界観と相性がよく、他の動物にはない洒落感や物語性を生み出せるところです。子どものころアメリカンショートヘアを飼えそうな機会があったものの、アレルギーで断念した思い出も。現在、4匹の猫チョコには根強いファンがいて、今後は香水や石鹸などの展開も検討中です」
「ときめき」が生まれますように。素敵なお洋服やジュエリーをみつけたときのときめき。そんな素敵な瞬間をチョコレートをもらったとき、そして贈ったときに感じてもらえたら。ちょっとしたお祝いやお礼に、かわいくて、おいしい、まるで「ファッション感覚の」ギフトチョコレートでありたいと、Phillyは考えています。
Instagram@philly_chocolate
温泉後に絶対に訪れたい熱海の名所
たぶん猫に会えるバー「Muddy Cat」

静岡・熱海にある“猫に会えるかもしれない”バー「Muddy Cat」。保護猫出身のミチルちゃん、てんてんくん、タビ子ちゃん、一太郎くんといった個性豊かな猫たちとお酒を楽しめる空間だ。SNSでは猫たちの日常やユーモラスなポーズがバズり、コアなファンが多い。少人数席のアットホームな雰囲気で、猫好き同士のディープな語らいが夜な夜な繰り広げられている。猫を眺めながらくつろげ、「またたび酒」などのカクテルや地元のお酒も取り揃える。予約がおすすめの人気スポット。


「猫たちとの日常を楽しめ、猫好きがくつろげる場所を提供できるバーとしてオープンしました。グッズは自分が本当に欲しいと思えるアイテムを作りたくて始め、かわいくなりすぎないことを意識しつつ、猫の丸く柔らかい体や、気まぐれだけれど人間を好きでいてくれるところを形にしています。猫の日は『Muddy Cat』の姉妹店『泥猫倶楽部』をオープンした思い出深い日。猫との関わりを大切にしており、近々保護猫シェルターも開設予定。保護猫たちの里親募集中で、猫好きが集う場所として活動を広げています」
熱海の街外れにある「猫に会えるかもしれないバー」です。店主の飼い猫が気分でお店に出てきたりこなかったりします。姉妹店「泥猫倶楽部」では売上の一部が保護猫活動費になるオリジナルグッズも販売中。
Instagram@muddycat.atami
猫の給仕がいる「小楽園」や猫ポットに加え
ショートフィルムも制作する矢島沙夜子

アーティストの矢島沙夜子は、猫の給仕がいる和洋菓子店「小楽園 TEA SALON & BOUTIQUE」をオープンしたり、そこで陶器の猫のフォルムのポットを販売している。最近は「The Small Utopia & The Cats」という猫のお人形が主演のショートフィルムを制作したばかり。この映像作品は、猫のお人形を作るところから始まったという。人が寝ている間に垣間見られる、猫が暮らすもう一つの世界で起こるストーリーだ。


「『人間と猫。今は哺乳類の中でも遠い存在のようでいて、もしかすると語られていない遠い昔の物語や、今とは違う蜜月の時代があったのではないか──』そんな空想が芽生え、猫を題材に制作を続けています。デフォルメはあまりせず、目元や口元の端正さ、しなやかな手足、無駄のない体の構造といった本来の造形美を、できる限りリアルに描くこと。人間社会に順応する愛らしさの奥に息づく、俊敏な身体能力と野生の本能。その両面を併せ持つところに強く惹かれます。家の真ん中で無防備に眠る姿も、思いがけない失敗を重ねるところも、すべてが愛おしい。強さと無防備さ、野生と甘えを内包しながら人と共に生きる存在。その不思議さと尊さを想像し続けることが、創作の源になっています」
東京出身。映像、グラフィック、フード、プロダクト、広告、ファッション誌のディレクションなど、幅広い分野で活動中。代々木上原に、桃源郷の土産物屋をイメージした和洋菓子店「小楽園 TEA SALON & BOUTIQUE」をかまえる。雑誌「装苑」で日本の民芸品に新たな価値を与える「矢島沙夜子のあたらしい日本民藝手帖」も連載中。
Instagram@sayokoyajima @shorakuen_tokyo
Edit & Text:Aika Kawada
