注目のアーティストファイル vol.4 画家・浅野友理子 | Numero TOKYO
Art / Feature

注目のアーティストファイル vol.4 画家・浅野友理子

活況を呈する日本のアートシーンで、いま注目のアーティストを紹介する連載。第四回は、世界各地を訪ね歩き、人と植物の関係を色彩豊かに描き出す画家、浅野友理子。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年12月号掲載)

出会いの記憶に色をのせて

保存瓶に入ったさまざまな薬草をモチーフにした『休らう薬草』2020年。「あいち2025」にも出展されている。
保存瓶に入ったさまざまな薬草をモチーフにした『休らう薬草』2020年。「あいち2025」にも出展されている。

畑に芽吹く種、生活に根づく草木。独特の色彩感覚で描かれる浅野友理子の作品が映し出すのは、人と植物との交差点だ。

彼女の作品制作は、常にフィールドワークから始まる。国内外のさまざまな土地を訪ね歩き、食文化や薬草、衣類の染料や編み細工といった生活道具など、その土地で育まれてきた人と植物の関係を一つひとつ読み解いていくのだ。例えば代々続く藍師のもとでは、火事で藍が焼き払われたあと、残った数粒の種子によって藍が再び芽吹き、伝統が受け継がれてきた話を耳にした。

2025年に発表された浅野の新作。
2025年に発表された浅野の新作。

「それぞれの土地の、受け継がれる種子や根、植物の持つエネルギーの強さに圧倒されたり、出会った人たちと植物の姿を重ね合わせたりすることもあります」

 

『地続きの実り」2025年。瀬戸の植生や窯業と植物の関係性に焦点を当てた作品。大皿に瀬戸で出合った植物を絵付けした。Courtesy of SNOW Contemporary
『地続きの実り」2025年。瀬戸の植生や窯業と植物の関係性に焦点を当てた作品。大皿に瀬戸で出合った植物を絵付けした。Courtesy of SNOW Contemporary

そうした一期一会の出会いの記憶を、彼女は豊かな色彩で描き留めていく。縦横無尽に張られた根。キャンバスいっぱいに青々と描かれる葉。茎からみずみずしく垂れ下がる実。その全てが圧倒的な自然の力を感じさせる。

「絵の中の植物の種子や蔓や根っこが、行く先々で出会ったエピソードと重なり合うことで、生き生きとした生命力を感じられる表現になればと思っています」

そんな浅野の作品は、古来の知恵や労働、循環するいのちへの視座をはらみながら、現代社会が忘れかけた自然との共生の感覚を穏やかに呼び覚ます。

 

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Select & Text : Asuka Kawanabe Edit:Miyu Kadota

Profile

浅野友理子 Yuriko Asano 1990年、宮城県生まれ。2015年に東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻洋画研究領域修了。主な個展に「綯い交ぜ」(宮城、2021年)、「山のくちあけ」(東京、2018年)など。「VOCA展2020 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」大原美術館賞受賞。2月14日(土)〜3月1日(日)にビルドスペースで個展「たびの溢れ種」を開催。
URL/www.asanoyuriko.com/
 

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