活況を呈する日本のアートシーンで、いま注目のアーティストを紹介する連載。第四回は、世界各地を訪ね歩き、人と植物の関係を色彩豊かに描き出す画家、浅野友理子。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年12月号掲載)
出会いの記憶に色をのせて

畑に芽吹く種、生活に根づく草木。独特の色彩感覚で描かれる浅野友理子の作品が映し出すのは、人と植物との交差点だ。
彼女の作品制作は、常にフィールドワークから始まる。国内外のさまざまな土地を訪ね歩き、食文化や薬草、衣類の染料や編み細工といった生活道具など、その土地で育まれてきた人と植物の関係を一つひとつ読み解いていくのだ。例えば代々続く藍師のもとでは、火事で藍が焼き払われたあと、残った数粒の種子によって藍が再び芽吹き、伝統が受け継がれてきた話を耳にした。

「それぞれの土地の、受け継がれる種子や根、植物の持つエネルギーの強さに圧倒されたり、出会った人たちと植物の姿を重ね合わせたりすることもあります」

そうした一期一会の出会いの記憶を、彼女は豊かな色彩で描き留めていく。縦横無尽に張られた根。キャンバスいっぱいに青々と描かれる葉。茎からみずみずしく垂れ下がる実。その全てが圧倒的な自然の力を感じさせる。
「絵の中の植物の種子や蔓や根っこが、行く先々で出会ったエピソードと重なり合うことで、生き生きとした生命力を感じられる表現になればと思っています」
そんな浅野の作品は、古来の知恵や労働、循環するいのちへの視座をはらみながら、現代社会が忘れかけた自然との共生の感覚を穏やかに呼び覚ます。
Select & Text : Asuka Kawanabe Edit:Miyu Kadota
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